革靴は消耗品。そんな考えはないですか?
形あるものの道理で、革靴はいずれ寿命を迎えるものです。寿命を迎えるのだから消耗品といえるでしょう。
ただ、革靴は消耗品ではありますが、普通の使い捨て品とは少々異なってきます。
きちんと保湿をして、革に潤いを与え、ローテーションを組みながら履いていれば、短くても5年、もっと長持ちさせようと思えば20年以上持つものです。
革靴のお手入れの方法に関しては、今まで何回かお話しているので、そちらを参考にしてみてください。
革靴のお手入れやローテーションもさることながら、革靴を長持ちさせる秘訣は…
オールソールをしないこと!
え?オールソールすれば、また新品の底になるから履けるんじゃないの?
そう思われるでしょう。それは間違いありません。
では、このオールソールをしない!とはどういう意味なのでしょう?
目次
オールソールをしない!の真意
オールソールをしない!という真意は、オールソールを無駄に回数を重ねずに、靴の内部のパーツを傷めないようにするということ。
例えば、グッドイヤーウェルト製法で出来た靴をみてみましょう。
このようにグッドイヤーウェルト製法で出来た靴は、まず内部で中底に接着されたリブテープ、甲革、ウェルトをすくい縫いし、最後に本底=ソールをつけて、すくい縫いによって固定されたウェルトとソールを出し縫いをするという構造上2回縫い合わせているものになります。
グッドイヤーウェルト製法で出来た靴をオールソールするときは、ウェルトに縫い合わされたソールを外して、新たなソールをつけて縫い合わせます。
そのため簡単にオールソールが出来、オールソールによるダメージも最小限なのが特徴です。
しかし、ウェルトがメスステッチで出来ているものだと話が変わってきます。
これはクロケット&ジョーンズのオードリーというモデル。クロケットの靴は結構メスステッチを採用していることが多いですね。
名前のとおりメスで切り込みを入れたような見た目が特徴です。
ウェルトのギザギザの上に、細い線が通っているのがメスステッチの跡。
縫い糸が目立たないので、エレガントな雰囲気に仕上がるのが良い点です。
しかし、縫い糸がもともとどこの穴を通っていたのかが目視できないため、目測で出し縫いをかけていくことになります。結果としてウェルトがグチャグチャになり、2回目のオールソールが困難ということになりかねません。
そうなってくると、ウェルトを付け替えるためにすくい縫いをしなくてはいけなくなります。
ですが、リブテープが傷まないように慎重に縫わなくてはいけません。中底の傷みが激しいと、土台がしっかりしていないので、縫い合わせるのも難しくなるのです。
次はマッケイ製法を見てみましょう。
マッケイ製法で作られた靴は甲革も丸めて、ソールと一緒に一気に縫い上げる製法を取っています。ですから、甲革も程よく厚みがあり耐久性のあるものを使われていなければ、甲革の穴が裂け、二度と縫えなくなってしまいます。
マッケイ製法の良さはその柔らかな履き心地にあります。その履き心地の良さを活かすために、甲革も柔らかいものを使う傾向にあるため、縫いをかけ直すことで傷みも出やすいのです。
ですから、極力出し縫いをすることによって穴が広がったり裂ける事態を避けたいところ。
まとめ
グッドイヤーウェルト製法にしても、マッケイ製法にしても、オールソールの危険性という点をまとめると、
靴の寿命を延ばすためには、そもそもオールソールをしないように、ソールの延命を心がけることが必要になってきます。
オールソールをしないようにするためには、様々な方法があります。
その中でも、ラバー半張りを施すことによって、レザソールの補強をするというのが有効な手段になってきます。ラバーが減ってくれば、取り換えればいいわけですからね。
最初からフルラバーソールの靴もいいですね。ラバーを再び上から張り直したりすることはできません。
ラバー半張りを見た目や、その屈曲性の悪さなどから敬遠される方もいらっしゃいますが、靴の延命に最適な手段なので、その良い点にもスポットを当てて考えてみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございます。