Church’s(チャーチ) 御三家その③ Consul(コンサル) イギリス靴のストレートチップといえばこの靴!

今まで、チャーチのラスト73から続く名モデルとして、当サイトではチャーチ御三家と銘打って紹介してきました。

内羽根ウイングチップのChetwynd(チェットウィンド)

→Church′s(チャーチ) Chetwynd(チェットウィンド)に関して詳しくはこちらから

内羽根セミブローグのDiplomat(ディプロマット)

→Church′s(チャーチ) Diplomat(ディプロマット)に関して詳しくはこちらから

そして、今回紹介するのは御三家の中でも最もポピュラーなモデル、内羽根ストレートチップConsul(コンサル)です。

目次

Consul(コンサル)の概要

Consul(コンサル)はラスト73草創期、1940年代にはその姿が確認でき、年代によって若干の仕様が変わりつつもずっと変わらずチャーチの看板モデルとして売り出され続けてきました。

モデルネームの意味は「領事」です。

同じラストを使い、同様の変遷をしてきた、Diplomat(ディプロマット)とChetwynd(チェットウィンド)の3つを合わせて御三家モデルとして呼んでも差し支えないと思います。

現在のコンサルはラスト173によって形作られており、程よいノーズの長さが加わることによってドレッシーさを増しました。

個人的にはやはり旧チャーチのコンサルはストレートチップにしてはかなり野暮ったい雰囲気と言わざるを得ない気がします。今日的に美しいかというとそうでもないと思います。

かなりオールドスタイルなイギリス紳士風のファッションスタイルに合わせないと、なんとも変な空気になります。

こう、、、とっちゃん坊や的な…。

輝けライフ!的にはストレートチップこそ、良質なモデルを選ぶべきであって、着こなし云々の前に、がっちりと誠実な姿勢を表すための靴だと思っています。

まあ、確かに誠実ではあるんだけど…ちょっと田舎臭すぎる気がしてしまいます…(笑)

旧チャーチのコンサルで「ハズシ」的な考えは、当然フォーマルシーン以外で行うべきであって、2足目、3足目のストレートチップでいいのではないかと思います。

対して現行のコンサルはラスト173を使うことによってストレートチップの形が、かなりバランス良くアップデートされました。

ストレートチップはシンプルなデザインであり、最もフォーマルな靴の1つとして、様々な重要な場面に使う必要があるために、その見た目を大きく左右するラスト、そうです、木型がとっても重要なのです。
ラスト173は適度にモダナイズされ、よってそこから生み出される靴は見た目が洗練されました。

このコンサルであれば、旧型よりも、気兼ねなく色んなスーツに合わせることができて安心です

旧型と現行を並べてみると微妙でわかりにくいのですが、履くと決定的な差が現れるので不思議です。やはりフォーマルシーンに履く靴があまりに野暮ったいのもちょっと使いにくいと思います。

この微妙なさじ加減で、大きな違いが生まれる靴というのは、やはり奥深いと感じずにはいられません。

輝けライフ!としては、コンサルであれば断然に現行のモデルをおススメします。

ストレートチップは男なら必携

ストレートチップは男の人なら必携の靴です。まず、どんな場面でも履けるということが一番の理由です。そして冠婚葬祭などのフォーマルシーンにも問題なく履けます。

(ストレートチップよりも格式の高いオペラパンプスや内羽根のプレーントウを履かなければならないフォーマルシーンは現代においてほとんどないので、今回は考察の対象外とします。)

逆に冠婚葬祭を代表とするというフォーマルさを求められる場面で、そもそもストレートチップの靴を持ってないから履いていけない、という状況を作り出すのはどうかと思います。

「ある程度の服装が要求されるフォーマルシーン」では、自分の存在を消すことが重要なのです。(結婚式の主役でもない限りです)

そんな時に穴飾りの多い靴を履いていくのは、個人的にはやはり遠慮がないと思います。

つまり自分の都合…例えばストレートチップを持ってないから、とか結婚式だから華やかなのを履いていけばいいや、というのは、自分がそのフォーマルシーンにおいてどういった立ち位置なのかが全く理解できていないと思います。

じゃあ、ストレートチップさえ履いていればいいのかというと、そういう問題ではありません。

なぜストレートチップを履かなければいけないのか?ということをよくよく考えてみる必要があるでしょう。

その控えめなストレートチップという点では、このコンサルほど適したものも、なかなかありません。「領事」の名前が与えらたのは必然でしょう。

全く主張することなく、素朴で誠実。

コンサルは「ストレートチップはやはり本来控えめな靴であるべきだ」と納得できる、非常に頼もしい靴です。

(控えめを求める、という意味を重要視すると、同じイギリス靴でも私はガジアーノのストレートチップは違うと思いますし、嫌いです。)

その他のストレートチップと比較してみよう

ストレートチップは本当に色々な形があります。

例えば

ジョンロブであればシティ。

クロケット&ジョーンズならオードリー。

エドワードグリーンであればチェルシー。

ロークならオルドウィッチ。

チーニーならアルフレッド。

今ここに挙げたイギリス靴ブランドのストレートチップはどれも顔つきがそれぞれ違って、みんないい靴です。

ストレートチップこそ、よくよく選んでみるべきです。色々比較してみましょう。

もちろん、ジョンロブのシティを含め、コンサルはこれらに負けない「誠実さ」が詰まっています。

ラスト73時代のコンサル

ラスト73は古くからチャーチの代表ラストとして認知されてきたラストです。

ゆえに、未だにチャーチといえばこのラスト73だという人もいるほどです。

今は廃盤になってしまいましたが、復活を求める声も多いのです。

今回はこの旧チャーチを代表するラストでもある、ラスト73を紹介していきます。

旧チャーチ ラスト73 

1940年に生まれ、同社が1999年にプラダグループの参加に入るまでチャーチの顔としてブランドを牽引してきた、クラシックなセミスクエアトウのラストです。

ラスト「73」は創業年の1873年にちなんでつけているとも言われており、同社がどのような位置づけでこのラストを扱っていたかは容易に想像ができます。

まさにブリティッシュクラシックを絵に描いたような、チャーチの伝説的ラストです。

ラスト73を採用したモデルは、現在のラスト173を採用したモデルに多く受け継がれています。

代表モデルは内羽根ストレートチップのConsul(コンサル)、内羽根ウイングチップのChetwynd(チェットウィンド)内羽根セミブローグのDiplomat(ディプロマット)、シングルモンクスリッポンのWestbury(ウエストバリー)シングルモンクのBeckett(ベケット)などの名作を作り上げました。

製造年代によって同じモデルの靴でも、微妙にトウの形状は異なりますが(詳しくは後述)通しているのは、ラスト173よりも捨て寸が明らかに短く設定されており、見た目も履いた感じも寸が詰まったような印象になります。そしてボテッとしていること。

ラスト173でUK7.5Fの靴を履いているなら、このラスト73においては、UK8.0Fにするのが良いでしょう。それくらい縦方向の寸は詰まっています。

今でもごくまれに別注で復活します。

現在、プラダの傘下になり、よりラグジュアリーな商品展開をしているチャーチは、ショップ別注品をほとんど受け付けていないそうですが、ついこの間、大丸で限定復刻していました。

以前私がチャーチに質問のメールを送ったところ、やはり新たな道を歩み始めているチャーチにとっても、このラスト73だけは特別なようで、場合によっては復刻も有り得るという返信がきました。

もしかするとこのラスト73が復活する日もあるのかもしれません。

製造年代によって微妙に顔つきや履き心地が違う

さて、このラスト73ですが、製造年代によって微妙にトウの形状が違うことがあります。

これは公式にはなっていませんが、マイナーチェンジを施していたのかもしれません。

イギリスで靴づくりの修行をしていた職人さんに話を聞くと、やや幻滅してしまうかもしれませんが、ラストは結構頻繁に捨てるそうです。

ラスト73などのド定番ラストであっても、使って老朽化が進めば捨てるようです。

そのたびに、ちょっとずつ変化しているという可能性は十分に考えられます。

事実履き心地も若干違うのです。

何故このようなことがあるか…。その理由は明確ではありません。もしかしたら個体差なのかもしれません。いや、個体差というにはあまりにも違う気もするのですが…。

コンサルではないのですが、同じラスト73を使った旧旧(70年代)のディプロマットと旧(80年代)のディプロマットで比較してみましょう。

右足が70’s、左足が80’sのディプロマットです。

どう見てもトウの形が違います。ゆえに指周りの履き心地が違います。

コバの張り出しもずいぶん違います。

同じディプロマットでも、このように70年代以前はコバもかなりすっきりしているモデルもあるのです。

ラスト173は

ラスト73はプラダ傘下になった直後、廃盤となり、半世紀以上ブランドを牽引してきたその役目を終えました。

その後2003年にラスト73の後継として、ラスト173が誕生しました。ラスト173はトウの形状もラスト73とほぼ同じのセミスクエアで、その朴訥とした雰囲気と捨て寸が十分にとられることにより、ラスト73に比べ、少しだけノーズが伸びました。

少しだけ甲も薄くなり、捨て寸が長くなったことにより現代人の足により合う靴へと進化したのです。

私自身も履きやすさはラスト173のほうがあると感じています。現代的ファッションに組み込む上でもハマりやすいと思います。

もしラスト73だけしかチャーチじゃない!と思っている方がいらしたら、ぜひこのラスト173も試してみて頂きたいです。

完成度も高いですよ。

どうしてもラスト73の靴が履きたければ、オークション市場で粘り強く待ってみましょう。

素敵なチャーチと出会う一助になれれば幸いです。

ラスト173のサイズ感

現代人の足を考慮して、ノーズが若干長くなり、見た目以上に中の捨て寸がしっかりと確保されるようになった現代のチャーチの定番です。

甲も薄くなり、無駄な甲の浮きがなくなり履きやすくなっています。

いわゆる「甲高幅広」の日本人に多いと言われている足型の人は、現代ではかなり減ってきていると言われています。

それは日本だけに限らないようで、世界中に顧客をもつチャーチは新しい現代人の足に合った靴の形を作り上げたのです。

個人的にとても気に入っているのが、ヒールカップです。

日本人は欧米の人と比べカカトの骨が小さく出来ているため、欧米人向けのラストだと、全くカカトがホールドされずに、歩くたびにスポスポ抜けてしまうことがあります。カカトの抜ける靴ほど履きにくいものはないですよね。

この点、チャーチのラスト173を使った靴は、カカトのフィッティングが他のイギリス靴ブランドの物と比べても、よく出来ていて、カカトの抜けが気にならないのです。

チャーチでもラストによっては踵の緩い欧米仕様のものもありますが、このラスト173に関してはよくできていると毎度感心してしまいます。

このカカトのフィッティングの良さは実はラスト73の頃からも感じられるもので、そういった実用性の面をないがしろにしないチャーチの姿勢は、時が経ち、会社の内情が大きく変わっても失われることのない大きな魅力です。

秘密はカカトが深く出来ており、土踏まず部分から内側に向かって履き口がシェイプされているため、この2点でカカトが抜けにくいようにできているのです。

参考までですが、

実寸左足26.3㎝、右足26.7㎝、ウィズはE程度の私は、UK7.5=26.0㎝のサイズを履いています。

これがラスト73の場合だと、こうはいかずUK8.0になります。捨て寸が長く取られている分、サイズ表記はいたって平均的なUKサイズ表記に準ずるサイズ感だと思います。

イタリアではイギリス靴は圧倒的にチャーチが人気なのですが、ミラノのお店にいくと、このラスト173を使ったモデルがたくさん置いてあるそうです。そこは本国イギリスのチャーチ直営店と大きく異なる点でしょう。

スーツに合わせてこそ、チャーチのコンサル

チャーチのコンサルは色気を狙った靴ではありません。むしろその真逆で、朴訥とした控えめな表情はラスト73の時代から全く変わりがありません。

旧来のファンからは「全体が長くなってしまった」という声があがるラスト173。

確かに比べてみると、長く見えるには長く見えるのですが、それはラスト73と比べるからであって、現在世の中に出回っている靴と比べると、やはりイギリス靴らしい全体的な短さとボリュームを感じさせる靴になっています。

合わせるスーツは余程モードなものでない限り、どんなスーツにも合います。

逆にストレートチップに合わないスーツ(柄や色が派手すぎるもの)は合わないでしょう。

無地のスーツ

ストライプのスーツ

チェックのスーツ

どれにも満遍なく合うでしょう。合わない理由が見つかりません。

特に、無地のスーツのような緊張感のあるスタイルにはストレートチップのコンサルは好相性です。

チャーチのコンサルはカラーバリエーションも豊富

70年以上チャーチの看板メニューとして愛されてきたチャーチのコンサルにはカラーバリエーションが豊富です。

まず定番のブラック

冠婚葬祭までオールマイティに使える万能シューズです。ぜひ持っておくべき、必携の一足。

特にレザーソールはフォーマル度が高くなり、靴底に無駄な厚みが出ないため、ラバーソールと比べ、想像以上にスマートな雰囲気になります。

もちろん革底ではなく、ラバーソールタイプもありますし…

雨雪にもビクともしない、悪天候に対して無類の強さを誇る、チャーチお得意のポリッシュドバインダーカーフを使用したモデルもあります。

雪の日や雨の日に結婚式やお葬式があっても、礼を失うことなく、しかも綺麗なままで履いていくことが出来ます。

→ポリッシュドバインダーカーフについて詳しくはこちらから

職場の雰囲気、服務規程によっては、穴飾りの入った靴が履きにくいという方が少し変わり映えを楽しむにはカラーが重要。

コンサルはカラーバリエーションも豊富なため、色味の違うブラウンカラーのコンサルもあります。

また、たまにスエードのコンサルというのも別注で見かけたりしますね。

まとめ

実にスタイリングの幅の広いコンサル。

年代によって、少し形を変えながらも、朴訥として誠実・真面目な雰囲気は守り続けたストレートチップの名品です。

日本人の足にも非常によくマッチする素晴らしいラストを使ったモデルですから、革靴初心者の方も、清水の舞台から飛び降りる気持ちで購入して、失敗する確率が低いのも魅力的です。

イギリス靴の醍醐味をぜひ、この靴を通して感じてみてはいかがでしょうか。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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コメント

  1. にわかチャーチャー より:

    初めまして。
    チャーチ初心者ですが、こちらのブログの信者と化してしまい、初心者にもかかわらず現行モデルのみならず旧チャーチにも興味津々な者です(苦笑)。非常に内容の深い記事の数々、ありがとう御座います。

    本記事で話題となっていました、73ラストの短い感じがコンサルの場合だと野暮ったい、という下りには確かに…と思わずにはいられませんでした。

    時々オークションで旧チャーチのコンサルが出ていますが、サイズが90Bなど、ロングノーズのBウィズのものが出ており、履き心地としては普段7.5F位を履いている人でフィットするようなのですが、どんなもんかいな?とイメージするのですがあまりイメージつかず、もしもこういうコンサルであれば野暮ったさは解消されて少しスタイリッシュになるのかなぁ?などと色々と夢想しています。

    ブログ主様の御経験でこういうBウィズの旧チャーチというのはどういう御印象をお持ちでしょうか?

    • バーリーコーン より:

      にわかチャーチャーさん
      コメントありがとうございます。
      返信が遅れて申し訳ございません。
      Bウィズの旧チャーチは履いたことがないのですが、実物を見るともはや別物の靴のような印象を受けますね。
      スタイリッシュさというのはあまり感じず、妙に長細い靴だな~という感じでしょうか。

      黒人は足が細いと言われますが、そういった人が多いアメリカ向けに主にA、Bなどの細いウィズを作っていたという話がありますが、事実なのではないかと思います。