クロケット&ジョーンズの代表作といえば、2002年に誕生したAUDLEY(オードリー)。クロケット&ジョーンズの中の最高級ラインである、ハンドグレードコレクションの顔でもあります。
その顔つきはシンプルで力強いイギリス靴ながら、色気を感じさせるのは、パリ直営店で生み出されるラスト337を使用したモデルだからでしょう。
フランスのドレスシューズは「直線」のラインが目立ちますが、オードリーにもそのエッセンスが組み込まれているような気がします。
さて、この人気モデルのオードリーは現在、ラスト違いで5種類のオードリーが出ています。
オードリー、オードリー2、オードリー3、オードリー4、オードリー5とそれぞれに特徴が出ています。
これは初代オードリー。すっかりイギリス靴の中でも定番の靴となりましたが、やはりクオリティと佇まいは既製靴の中でも高レベル。
5モデルもあるオードリー。
たまに伊勢丹新宿MEN’S館やトレーディングポストが特別企画でオードリーの歴代モデルを揃えてお披露目するイベントを開催します。
そして、そのイベントの紹介があり、写真も載っているわけなのですが、どのモデルがどのラスト(木型)を使用しているかなど、詳細にまとめているサイトは一切ないんです!
これって結構ダメなことだと思うんですけど、なぜか揃いも揃ってラストの情報を載せていません。
それならこのサイトでまとめてやろう!ということで、今回は歴代オードリーのラストやその履き心地、デザインをお話していきます。
目次
AUDLEY(オードリー) 歴代5モデル
AUDLEY(オードリー) Last337
ラスト337を使った初代オードリーです。
|
2002年春、パリ店内に工房を構えるビスポーク職人の意見を取り入れ、新しいスクエアラストを開発しました。
それがこのオードリーに使われているラスト337です。このラストをハンドグレードコレクションとし、当社の高級ラインとして発表。今までのメインコレクションよりもフィット感を高め、足入れの感覚もややタイトに設定しました。337ラストは、たくさんの木型を持つ当社の中でも抜群の人気を誇り、今もなお、同ブランドを代表するラストとなっております。ヒールカップは雑誌などで紹介されているほど、小ぶりではありません。むしろ大きいほうかと思います。
しかし、ここからがイギリス靴のすごいところです。
最初カカトがゆるく浮きがちな靴も、コルクが沈み、底に返りがついて、足にフィットしてくるとカカトが抜けないんです。
「オードリーのカカトのフィッティングは馴染むとしっかり確保される」という嘘のような話を友人から聞いて、友人のオードリーを履いたら、これが本当で、靴の前半分がしっかり返ることで、カカトがホールドされるんですよ。
やはり名靴と呼ばれるのには、それなりの理由があるということですね。
AUDLEY2(オードリー2) Last350
国内流通が極めて少ないオードリー2。
ラスト350自体が日本人向けに開発されたものでもないため、フィッティングが平均的に日本人に合っているかというと、「合います!」とは断言できません。
試着した私の感想としては、やはりヒールカップが大きく、ヒール周りのホールド感は弱いと感じました。
もしかしたらオードリーのように、返りがつけば、抜けにくくなるのかもしれませんが、ちょっとそれでも怖いと思うほど、ヒールカップのホールド感を感じられませんでした。
どんだけ欧米人さんはカカトが大きいのでしょう?
このオードリー2、日本ではまずお目にかかかれないため、一部では幻のオードリーと言われています。
たまに出てくるのは伊勢丹新宿MEN’S館やトレーディングポストがオードリーキャラバンで、歴代モデルを揃えたときくらいです?
英語で検索しても、検索結果が引っかかってこないところを見ても、日本だけではなく世界的に見ても多くは出回っていないことが予想されます。
トウの形状はポインテッドトウにならない程度のラウンドトウ。クロケット&ジョーンズらしくノーズの長さがエレガントさを際立たせています。
オードリーを1から5まで揃えたい人は、ヤフオクとeBayを毎日チェックしましょう。
AUDLEY3(オードリー3) Last367
ラスト367を使用したオードリーがオードリー3です。
|
ラスト367は、2012年頃、初代オードリーに使われているラスト337の”Eウィズ”をベースに誕生しました。
ラスト337よりも、カカト周りのフィッティングを向上させるためにヒールカップを小ぶりにし、気持ち内振り型の木型設計により小指周りにゆとりを持たせたラスト。ウエストラインも絞っているため、ホールド感はグッと高まっています。
当初は伊勢丹の別注モデルとして誕生したオードリー3ですが、今は伊勢丹限定の枠も取り払われ、色々なショップで購入することができます。
カカト周りがしっかりしている点は歴代オードリーの中でも、ピカイチです。
AUDLEY4(オードリー4) ラスト369
ラスト369を使った4代目オードリー。
サイドラインを際立たせるためにエッジの効かせ、トウをスクエアにすることによって、シャープなディテールになっています。
このラスト369を使ったオードリー4もレアなモデルです。ラスト369はクロケット&ジョーンズのパリ直営店のみでの展開で、「パリラスト」の1つです。
このラストを使って靴のセレクトショップの雄、トレーディングポストが別注でオードリー4を作ったため、それが日本で初めてのお披露目となりました。
AUDLEY5(オードリー5) ラスト373
ラスト373を使用したものがオードリー5です。
伊勢丹新宿店MEN’S館が別注したかなり珍しいオードリーです。
他のお店ではまず見かけないはずです。
小指の付け根より先のアウトサイドのカーブがかなり強く入っており、ノーズの長さも際立つ少し変わったスクエアトウのラストです。
イギリス靴というよりも、イタリア靴のようなシルエットです。
ヒールカップとウエストを絞って、カカト周りのホールド感を高めているので、カカトが小さい人でも安心です。
つま先にかけての形状からして、履く人の足を選ぶラストです。万人受けするタイプではありません。
指幅があるスクエア型やギリシャ先広型の足型の人には合いにくいと思います。
私の足型はスクエア型なので、完全に指先がアウトサイドカーブが当たってしまいました。
一方、カカト周りの絞り込みは歴代モデルの中でも秀逸でした。
伊勢丹新宿MEN’S館では現在ほぼ完売しているようなので、リバイバルが期待されます。
オードリー5兄弟を揃えたいという方は、リバイバルか伊勢丹限定の期限が切れて他企業でも販売されることを祈りましょう。
オードリー歴代5モデルを比べて思うこと
さて、このようにオードリーの歴代モデルを見比べてみると、ラストがあまりに違うため、同じ名前を持っていても全く違う靴だということがわかります。
確かに「オードリー」なので、全てハンドグレードラインの、選び抜かれた革と、より時間をかけて作られた素晴らしい靴だというのはいっしょなのですが、
クロケット&ジョーンズの熱狂的ファンで、コレクターでもない限り、5モデルを試したり、ましてや揃える必要も全くないと思います。
そもそも履き心地の面も、違うラストですから、変わるのは当たり前のことです。
私はこの5モデルはサイズは全てUK7.5と変わらないのですが、やはりラストと足が合う合わないという根本的な問題があります。
基本はオードリーとオードリー3を抑えておけば大丈夫
そういったわけで、歴代オードリーの中でも、国内流通量やラストのことを考えると、元祖となった初代オードリーと日本人向けにヒールカップを絞ったオードリー3だけを抑えておけば、基本大丈夫です。
試し履きをしたいときに、探せば大体どこかのショップで扱っているでしょうから、安心できます。
個人的にはやはりオードリー3のほうが、日本人にはよく合うのではないかと思います。
ぜひこのサイトの情報を活用して、オードリーを今一度確かめてみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。