秋を飛び越えて冬が迫っている2017年。冬支度を進める人も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
冬と言えばブーツ!
一にも二にもブーツですよね。秋から春先にかけてまでが1番活躍するシーズンです。
レッドウイングに代表されるアメリカのワークブーツ、イタリア靴にあるようなマッケイ製法で薄く軽く作られたドレッシーなブーツ、そしてブーツを語る上で欠かせないイギリスのカントリーブーツです。
そして、そのカントリーブーツの代名詞とも呼ぶべきなのが、イギリス靴ブランド、Tricker’s(トリッカーズ)が作るカントリーブーツです。
今回はTricker’sとその代名詞であるカントリーブーツの魅力に迫ります!
目次
カントリーブーツとはどういうブーツ?その起源は?
カントリーブーツとはカントリー(田舎)という名称が付いているように、田舎で誕生した靴です。
詳しくその起源を解説していきます。
イギリスは階級社会です。昔のイギリスの上流階級の貴族は閑静な田舎で暮らしていました。その貴族が嗜んでいたのがハンティングです。
ハンティングの際は、茨の草むらの中もものともしない厚手のツイードのジャケットを羽織って猟銃を持ち、履いていたのがカントリーシューズです。
原型は湿地帯に入ったときに、靴に侵入してくる水を早く逃がすために革に穴が開けていました。これが現在のウイングチップの穴飾りとして、その当時の名残が残っています。
そのため、カントリーブーツと呼ばれるデザインのブーツの多くはウイングチップになっています。
そして、やはりイギリスで作られたものこそ、カントリーブーツと呼ぶのにふさわしいのです。
こんな起源があるので、カジュアルなデザインの中にも上品さがあるのです。
この上品さはアメリカのワークブーツには出せないもので、ジャケットやネクタイも馴染みが良く、着こなしの幅が広いのが特徴です。
イギリスには著名な靴ブランドがいくつかありますが。カントリーブーツではどのブランドよりも有名なメーカーがあります。
それがTricker’sです。
Tricker’sの歴史
1829年に、靴作りの名人といわれたJoseph Tricker(ジョセフ・トリッカー)が「R.E.Tricker Ltd」という会社を立ち上げました。これがトリッカーズのブランドの始まりです。当時から農作業用、不動産管理人、地方のジェントルマンに向けたヘビーなカントリーブーツを作ることが有名でした。
ジョセフ・トリッカーの息子、Walter James Barltrop(ウォルター・ジェームズ・バルトロフ)は1840年、7歳のころから防水用のカントリーブーツを作り始めたという話も残っており、現在も同族によって連綿と経営が紡がれています。そして現在では5代目となります。
1904年にノーザンプトンのセントマイケル通りに工場を移転しました。今なお、この工場でトリッカーズの靴は作り続けられています。
1960年代になると、革の鞣しの技術が一気に向上し、強く耐久性のある革が使われるようになりました。そして技術も革新し、より木型のラインに沿った靴を作れるようになっていきました。
そして今なお、2代目ジェームズが最初に作った防水用のカントリーブーツの品質を基準として、誇りある職人たちにその伝統が守られています。
そして、その功績を認められ、イギリス王室でも使われた実績から、ロイヤルワラント(英国王室御用達)の称号を授かったブランドにもなりました。
トリッカーズの魅力
歴史も180年以上ある老舗ブランドであるトリッカーズは、創業当初から守られている、手仕事を惜しまずに作られていきます。
未だに製造はベンチメイドです。職人1人が1つの靴の全工程を担当し、作っていくのです。
トリッカーズの靴はグッドイヤーウェルト製法によって、堅牢に作られています。
さらに、ソールもダブルソールになっているものが多いため、分厚く重く、そして硬いのが特徴です。
革はマットで、光沢感があるというよりは、ずっしりとした風格が靴に出ています。
最初はその硬さゆえに履き馴染ませるまでかなりの時間を要します。
しかし、履き馴染んだ後の履き心地、そして風合いの変化は、その靴のオーナーにしか出せない味となり、唯一無二の靴と変化していくのです。
まさに「育てていく靴」というべき靴で、エイジングが他のどの靴ブランドの物よりも楽しめるかもしれません。
カントリーで使われる靴ですから、当然耐久性も並ではなく、オールソールをしながら、長年履くことが可能です。
ドレスシューズでは考えにくいことですが、トリッカーズの場合は、靴に付いた傷さえも、靴の良さとして変化させる独特のオーラを持った靴なのです。
代表モデル Malton(モールトン) M2508
トリッカーズを象徴するカントリーブーツがMALTON(モールトン)です。ブローグが施されたやや丸みのあるラウンドトゥのラスト(木型)は4497Sを使用しています。
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カントリーブーツの完成形、アイコンともいえるでしょう。マロン、エイコンといった、イギリスらしい黄味がかかったブラウンが人気カラーです。
当然ちょっとやそっとでは色落ちしないので、タフネスさは折り紙付きです。もちろん雨にも強いので、こまめに手入れしながら気を付けて履くという靴ではなく、ガシガシと履いていくのがトリッカーズの履きこなすコツです。
ジーパンだけでなく、ツイードなどのパンツにも合う万能ブーツです。
これからの寒い季節に一足取り入れてみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございます。