バルカラー・コート(ステンカラーコート)のススメ 

昨日今日と急に冷えた一日でした。街中はわりと普通な顔をしてノーネクタイに薄いジャケットを着て歩いていた人がいましたが、寒くなかったのでしょうか。

これだけ涼しくてもネクタイをしないというのは、いったい何なのでしょうか。

単にめんどくさくなってしまったのか、せっかく始まったクールビズ期間の社内雰囲気を損ねない為なのか…?

よくわかりませんが、怠惰になっているだけだと思います。

身だしなみに意識がいかないのは良くないですよね。

近いうちにネクタイについても記事にしますが…。

ネクタイの前身はクラバットで、首の回りに巻くスカーフのようなものだったようです。
それが発展し同時に単純化されて現在のネクタイにいたったということです。
クールビズが広まり、ノーネクタイの人も増えている中ネクタイがいまだに廃れないのは、それに取って代わるほどのフォーマルな服装スタイルがに確立されていないからです。

また、スーツの役割をよく理解し、楽しんでいる人を見ていると、ネクタイを疎かにしている人はいないと感じます。ネクタイがなくならないのは、お洒落を楽しみ有効活用している人がいるから他ならないでしょう。

さて、こんな急に肌寒くなった日に、サッと羽織れる外套というものが欲しいところ。

夏以外の3シーズン着れる便利なコートがあります。

それがバルカラー・コートです。

いわゆるステンカラーコートというものですが、これ1着あるだけで着こなしの幅も広がって、お洒落面的にも大活躍の一着です。

目次

バルカラー・コートとは ステンカラーコートじゃないの?

和製英語名で「ステンカラー」こと「バルカラー・コート」は、スコットランドのインヴァネスの近郊にある「バルマカーン」という土地名に由来すると言います。

「ステンカラー」は和製英語で、「ステン」はフランス語の「soutien」=「支える」と言う意味の言葉(英語のsupportに相当)に由来するとも、後ろが立ち上がって前に落ちている襟からStand Fall Collarに由来するとも言われています。

日本ではステンカラーコートの愛称で浸透しているかと思います。

当サイトでは、一応きちんとした名称に沿って、バルカラー・コートと呼ぶようにします。

バルカラー・コートの特徴は、身体を被うように包むシルエット。そして、レイン・ウエアの機能特性でもある、裾に向かって雨滴を流すためのAライン(Aの字形のように裾へ拡がる)とラグラン袖です。ラグラン袖は肩の動きを阻害しないため、着ていてとっても楽です。

ゆったりとしていて優美で余裕のある男のスタイルを確立させます。

ゆえにひざ下まで裾があり、A字状にフレアーがかかっているのが、バルカラー・コートの本来の姿です。

このゆったりとしていて、機能性に富んでいるという点は、バラクータG9などのウェアとも共通しているポイントです。さすがイギリス生まれのコートです。

このAラインこそ男の雰囲気を倍加させ、格上げするのですが、少々おじさんくさく見えるという側面もあります。ファッションを追う若い人にはあまり好まれないシルエットになるかもしれません。

元来の目的とそれを実現させるためのシルエットは、現代的に捉えると、ファッション的には取り入れにくいようです。

現在の市販品に見られるコートは、このAラインやゆったりとしたフォルムを採用せず、モード感の強いタイトな作りをしているものが目につきます。

アクアスキュータムでも、丈は本来の姿よりもかなり短くなり、膝よりも上となっています。

バルカラー・コートに使われる素材は様々

バルカラー・コートには様々な素材が使われます。

ウール、カシミア、ナイロン、コットンが一般的でしょうか。

ウールのバルカラー・コートは、ブラウンカラーにヘリンボーン素材が素敵です。このツイードのバルカラー・コートが好例です。

こんなコートも一着あるといいですよね。

どんな素材でも活かしきれるのがバルカラー・コートの懐の大きさですが…

王道はベージュのコットン

バルカラー・コートの王道といえば、やはりコットン100%のものです。カラーはベージュ。もしくはカーキがかったベージュ。もしくはネイビー。これにつきます。

防寒というよりは、防風・防水の意味合いが強いコートになります。

そしてコットン100%のバルカラー・コートこそ、冒頭に紹介した夏以外の3シーズンに羽織れるコートになります。

ここ数日の寒さをしのぐのにも、ちょうどよく、私もバルカラー・コートを羽織っていました。

生地の重みもないため、持ち運びにも苦労しません。たたんでもウールのようなシワもつかないため実用性が非常に高いのです。

昨日・今日のような天気には欠かせない、男のワードローブに必携のアイテムです。

「ティファニーで朝食を」のジョージ・ペパードのバルカラ・ーコートを見よ

このバルカラー・コートの着こなしの最大の好例は、「ティファニーで朝食を」でジョージ・ペパードが着ているバルカラー・コートです。

どうみても既製品ではありえず、間違いなく誂えものであることがわかります。

形だけは少々変形していますが、とにかくこのジョージ・ペパードのコートの着こなしがカッコいい。全てのことを水に流そうとでもいうように、バルカラー・コートをまとったまま雨に打たれるシーンは今の映画にはない美しさがあります。

この映画、オードリー・ヘプバーンばかりに目が行きがちで、しかもコートというと、ヘプバーンも着たということでバーバリーのトレンチコートばかり取り上げられますが(もちろんバーバリーのトレンチはこれまた素敵なのですが)、このジョージ・ペパードのバルカラー・コートの着こなしっぷりはよ~く見ておいた方がいいでしょう。

ボタンを留めずにスーツの上にサッと羽織った姿…

肩にコートをかける仕草…

全てが男らしくて痺れます!

おススメのバルカラー・コートはクラシックな本来の姿

輝けライフ!的にはクラシックで本来の姿のバルカラー・コートをおススメします。

モダナイズ版であれば、このくらい。

これならスーツの上に羽織って野暮ったくみえません。

あまりに短丈で、膝よりもずっと上のちんちくりんなバルカラー・コートもありますが、男の風格を損ねるので絶対にやめたほうがいいと思います。

むしろオッサンと呼ばれてもいいから、たっぷりとしたシルエットラインのバルカラー・コートを羽織った方がいいです。

とはいえ、こういうバルカラー・コートを見つけるのはちょっと難しくなっています。

この手のバルカラー・コートを探すのであれば、バーバリーやアクアスキュータムあたりの老舗のイギリスブランドを覗くといいかもしれません。

既製でなければ、イギリス系の仕立てを得意とするテーラーに行って相談するといいでしょう。

若い人は特にたっぷりとしたラインのコートを若いうちに着慣れておくと良いと思います。

いざおっさんになったときに、難なく着こなせるようになっているはずですよ。

そうして、男の雰囲気は増していくものです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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