アイウェアの話を今回はしていきます。
裸眼での視力に難がある人は欠かせないものでしょうし、近年ではデスクワークも増え、スマホも大きく普及した今、パソコンなどから発せられるブルーライトをカットする目的で眼鏡をかける人も多いことでしょう。
昔はレンズの厚みが抑えられなかったこともあって、「眼鏡=目が悪い人だけがかけるもの」という構図がありましたが、今となってはそれは遠い過去の話です。
目を守る意味合いでもかけることが増えた眼鏡は、実用アイテムの枠を超えて、お洒落アイテムのひとつとして広く認知されるに至っています。
私の勤める会社内にも伊達眼鏡をかけている人もいるくらいです。
身に着けることが多いのであれば、そのアイテムにこだわるべきだと私は思います。
眼鏡は当然、人の顔にかけるものであり、ファッションのアクセントとしてシャツの胸ポケットにひっかけるとしても、身体の上半身におのずと集まるもののため、他の人から目につきやすいのです。
当サイトがメインで紹介している紳士靴よりも、目につきやすい分、こだわればこだわるほどすぐにその意図がわかるものです。(逆に靴はおざなりにしやすく、おざなりにするからこそ悪目立ちしやすいです。)
もう「眼鏡」ではなくアイウェアと呼ぶべき時代なのかもしれませんね。
今回はそんなアイウェアを代表するブランドの1つであるOLIVER PEOPLES(オリバーピープルズ)を紹介します。
目次
OLIVER PEOPLES(オリバーピープルズ)の歴史
OLIVER PEOPLES(オリバーピープルズ)は1987年にLarry Leight(ラリー・レイト)とその弟のDennis Leight(デニス・レイト)、そしてラリーの長年の友人であるKenny Schwartz(ケニー・シュワルツ)の三人がカリフォルニア州ロサンゼルスで創業したブランドです。
1号店をオープンするとともに次々とオリジナルコレクションを発表しました。
オリバーピープルズはそのアイウェアのクオリティもさながら、経営戦略も工夫されたものでした。自社のアイテムにラグジュアリーなイメージを持たせるために、数々の高級百貨店に限定して販売するという戦略をとります。
これはオリバーピープルズを従来のアイウェアブランドとは違い、高級感のあるアイテムで最高級のサービスを提供したいという思いがあったためです。
ブランド名は、彼らの原点ともいえるヴィンテージのフレームにあったサインに由来します。
オリバーピープルズ一号店では、競売で競り落としたヴィンテージのアイウェアをヒントに現代風にアレンジし、ファーストコレクションとしました。
そのヴィンテージのコレクションの中にはカタログや金型、レンズとともにある受領書も紛れ込んでいました。「オリバーピープルズ」とサインされた受領書の主はオーナーか販売業者と思われますが、彼に敬意を表して「オリバーピープルズ」というブランド名となりました。
オリバーピープルズのコンセプトと魅力
オリバーピープルズのコンセプトは「古き良き時代と現代の融合」です。
ブランド名の由来ともなった、ビンテージアイウェアとそれに紛れていた「オリバーピープルズ」の受領証のサイン…。
オリバーピープルズのアイウェアは1980年代後半に創業者達が購入したアメリカ製のヴィンテージアイウェアから着想を得てデザインされ始めたのが始まりです。
そのどれもがアメリカを代表するボシュロム社やアメリカンオプティカル社で生産されていたものです。
創業者の一人であるラリー・レイト自身、ブランド創業前からラグジュアリーアイウェアショップで働いた経験があり、かつ自身でアイウェアを製作していたこともあり、オリバーピープルズのファーストコレクションのヴィンテージアイウェアに現代的なエッセンスを加えた革新的なデザインは瞬く間に人気となりました。
創業年である1987年、ラリー・レイトがアンディ・ウォーホル氏のために特別にデザインしたフレームがVOGUE誌の表紙を飾ったことで、オリバーピープルズの評判は確かなものとなりました。
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オリバーピープルズの魅力といえば、やはりビンテージアイウェアに着想を得たシンプルで品の良いアイウェアです。
デザインは華美ではなく、どちらかというとシンプルなのがオリバーピープルズの特徴です。
誰が装着しても嫌味にならず、落ち着いた雰囲気がでます。
一部有名アイウェアになると、見ただけでそのブランドとわかるものもあり、捉え方次第では流行を追いすぎている、といった印象を与えかねませんが、その点オリバーピープルズはそういったことがないため、あまりブランドものを得意としない人にもおススメです。
オリバーピープルズに使われる素材
最も高品質な素材のみを厳選し、アセテート、メタルフレームそして技術的に難しいとされるコンビネーションフレームを製作しています。
アセテートのカラーリングに関しては、掛けやすく、顔の印象が良くなるよう自然から取り入れたオリジナルの美しい色彩にこだわり、生地メーカーとも綿密な関係を築いています。ブランドの象徴的な色となったべっ甲柄や、流行を取り入れたカラーリングを展開しています。
メタルの色合いに関しては、アンティークゴールドやピューターといった、様々なカラーバリエーションを含む、ファーストコレクションをベースにしたオリジナルのカラー展開となります。
チタンフレームはそのと軽さと丈夫さから、負荷が少ないかけ心地と長期間の着用も可能な耐久性を兼ね備えています。
オリバーピープルズは価格も魅力
オリバーピープルズのアイウェアはブランド力に恥じない、高いデザインクオリティがあります。誰の目に見ても、品の良いアイウェアです。
価格はおおよそ3万円台です。
そんなオリバーピープルズは他の高級アイウェアブランドと比べても、比較的価格も安く求めやすいアイウェアブランドとなっています。
DITAやトムフォード、トムブラウンといったブランドになると、だいたい4~5万円がスタートになってきます。
オリバーピープルズはそれらに比べ、なぜ価格が魅力的なのでしょうか?
①日本製だから
それは日本に流通しているオリバーピープルズのアイウェアが日本で作られているからです。
1989年、オリバーピープルズは日本はオプティックジャパン(株)と製造販売についてライセンス契約を交わしました。
オプティックジャパンはもともと山本光学(株)という会社です。生産地はもちろん日本眼鏡一大生産地の福井県鯖江市です。
日本の眼鏡製造技術は世界トップクラスで、海外ブランドの多くが日本製であることは、もはや周知の事実です。
最終的には「イタリア製」となっていても、ほとんどの工程を日本で行い、最後の仕上げだけイタリアで行う、いわゆるノックダウン生産も多いと聞きます。
その点オリバーピープルズは最初から日本で一貫して作るため、流通コストはグッと抑えられます。
また、素材に関してもひとつの理由があるでしょう。
②プラスチックフレーム素材がアセテート
オリバーピープルズに使われるプラスチックフレームの素材はアセテートです。
アイウェアに使われるプラスチック素材にもうひとつセルロイドがあります。
アセテートはセルロイドに比べ、製造がしやすく、扱う上で危険が少ないため(これに関してはまた後日詳しく解説します)、ここでもコストを抑えることができます。
③デザインがシンプル=工程もシンプルに
オリバーピープルズのアイウェアはシンプルです。
これはコスト差がでる大きな理由かもしれません。
ビンテージにインスパイアされたモデルの数々は、奇をてらったものも少なく、シンプルイズベストという言葉がぴったりなものが多くなっています。
デザインがシンプルな分だけ、製造工程も複雑なものは少なくなり、工賃は下がります。
同じアセテートを使い、鯖江が生産拠点のDITAは今や6万円台となっていますが、DITAはその中でも素材にもこだわりますし、製造工程も複雑で手作業を惜しみなく取り入れます。
オリバーピープルズは手作業も工程にありますが、ポイントポイントで機械作業を取り込んでいるのです。それは公式サイトにも書かれています。
逆にシンプルな部分に磨きをかけられるからこそ、シンプルながら、品格が備わったアイウェアが出来上がるといってもいいかもしれません。
これこそブランド戦略であり、価格とクオリティのバランスがちょうどよいところに価格設定をしていると考えられます。
オリバーピープルズの代表作 OP505
さて、そんなオリバーピープルズですが、オリバーピープルズには様々な人気モデルがあります。
その中でもひときわ人気が高い代表作といえば、「OP505」になります。
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1920年代のビンテージアイウェアを彷彿させる、レトロな雰囲気のボストン型アイウェアです。
カラー展開も豊富です。
サングラスタイプもあります。
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この505をかけている有名人はとても多いのですが、イギリスロックバンド「POLICE」のボーカルであったスティングがかけていたのが一番有名かもしれません。
ボストン型は柔らかく優しい雰囲気を演出することができるため、相手に嫌な緊張感を与えないことが強みだと私は思います。
何より落ち着いた雰囲気がありますから、成熟した大人のスタイルにはピッタリです。
まとめ
今回はオリバーピープルズの歴史やブランドの魅力を解説しました。
シンプルで使いやすく、嫌味がないというのは、日用品だからこそ必要なことだと思います。
私はビスポークシューズの美しさも好きですが、量産品ながらもブランドの意地や消費者への想いが込められた実直な既製品の靴も大好きです。
逆にビスポークシューズでは全く感じられない、リアルな感じがあると思います。
オリバーピープルズには既製靴ブランドと同じような、実直性、リアルを感じます。
決して安物ではありませんが、コストパフォーマンスが良く、誰が使っても様になる、これが「価値」なのではないでしょうか。
次回以降、ひとつひとつモデルをピックアップしていきますよ。お楽しみに。
最後まで読んでいただきありがとうございます。