このサイトが、みなさんの靴磨きの参考になればと思い、なるべく更新の頻度を落とさずに、記事をアップして行ければと思っているこの頃です。
さて、今までにブラシ、リムーバー、デリケートクリーム、仕上げ用クリームと色々お話をしてきました。
結構周りの友人に話を聞いていても多いのですが、非常に大切なシューキーパーを使わない人がいます。シューキーパーは絶対革靴に必要です。ハンガーにかけずにスーツを床に放り投げているのに等しい行為ですからね…。
まあ、シューキーパーの話はまた後日するとして…
今日は靴磨きの出来を左右してしまうほどの違いが出る、コバインキを使った、コバ周りのお手入れについて紹介していきます。
目次
コバって何?どこの部分をいうの?
コバとは、靴の土踏まず部分より前方を縁取る細い帯状の革、つまり「ウェルト」と呼ばれるパーツの中で、甲革よりも外側にはみ出ている部分を指します。別名で「エッジ」とも呼ばれます。コバはほとんどの靴についています。
コバは何のためについているの?
コバが張り出していないと、甲革が直接壁や石などの障害物にあたってしまい、傷ついてしまうからです。車でいうバンパーの役割です。
生きている動物の皮膚であれば傷は治癒しますが、革靴になっているものは当然生きていない革になるので、いったん傷つくと復元することは不可能です。
コバよりも甲革のほうを張り出した、デザイン性を重視した靴もありますが、やはりこういう靴は甲革のつま先部分などが削れてしまいます。甲革にダメージを与えたくなければ、しっかりとコバが張り出している靴がおすすめです。特にイギリス製の靴はコバが張り出しており、チャーチなどはその傾向が顕著です。
コバインキとは
コバインキとは、名前のとおりコバに使用するインキです。
コバインキを使用することによって、コバ周りの毛羽立ちを抑え、色の剥げてしまった部分を補色し、綺麗に仕上げます。
このコバインキを使用するか否かで、靴を磨いた後の見栄えが全く変わってしまうほど、靴磨きの工程では重要なものです。
いくら甲革=アッパーの部分が綺麗でも、サイドのコバの部分が泥だらけであったり、色が剥げたままの汚い状態にしてしまうと、全体の印象が損なわれてしまいます。
ですから、しっかりと綺麗に靴を履きたいということであれば、靴のお手入れには欠かせないものです。
コバに色つきの靴クリームを塗るのはいけないの?
決して悪いことではないと思います。
グッドイヤーウェルト製法などに代表される、しっかりとそこを縫い上げた靴には、ウェルトがついています。ウェルトは革製ですので、クリームなどで補色をすることができます。
しかし、色が沈着しないため、やはりコバインキを使用した方がコバ周りの仕上がりは綺麗になります。
コバはヤスリがけをする、と靴の手入れ雑誌に書いてあるけど?
私は個人的にコバにヤスリがけをすることはオススメしません。確かに三百番ほどの細かな目の紙ヤスリでウェルトを削ると、平らになり、毛羽立ちをなくすことができます。
しかし、削るということは、その部分を無くすこと。ウェルトにはダメージを与えることになります。
例えば、グッドイヤーウェルトの靴は、オールソールしやすい靴になりますが、もしコバを削りすぎてしまった場合、リウェルトといって、ウェルトのパーツをつけ直さなくてはならなくなる可能性があります。
オールソールが15,000円ほどだとしたら、さらにリウェルトだけで10000円近くかかるので、25,000円もの修理になってしまうのです。
まだリウェルトが出来れば良い方です。
いかにグッドイヤーウェルトと言えども、ウェルトと中底が同時に痛んでいたら、オールソールは実質的に不可能になってしまいます。
グッドイヤーウェルトの靴は、中底が分厚いので、その靴をかたどった木型を使って癖付けをするのですが、インポートシューズなどになると、海外の工場にその木型があるため、交換が出来ません。
このようなことがありますので、むやみやたらに雑誌などを盲信して、コバにヤスリがけをするのは私は絶対にオススメしません。
コバの毛羽立ちが気になるようでしたら、他にも対処方法はあります。
ヤスリがけしてもらいたいなら、靴磨き屋に持ち込みましょう。おそらく、リペア屋や靴磨き屋でも一部はヤスリがけをしないと思います。それほどコバを形成するウェルトは繊細なパーツになるのです。気を付けましょう。
ちなみに対処方法というのは、コバクレヨンを使う方法です。
これは、またコバクレヨンの記事をアップする際に詳しく説明します。
コバインキの使い方
使い方は至って簡単です。
コバに付着している汚れを馬毛のブラシでブラッシングして落とし、泥汚れなどが付いている場合は、リムーバーを布にとって拭き落とします。
そのあと、甲革にインキが飛ばないように注意しながら、ぐるりと靴を一周インキがけし、乾けば完了です。
実際に使ってみましょう。
この靴のように、つま先の部分は特に傷つき、コバの部分の色が剥げやすく、毛羽立ちやすい箇所です。
さっとブラシとリムーバーで汚れを落としたら、インキを塗っていきます!
いかがでしょうか?これだけでもパキッと見えるのです。
ワンランクアップさせる仕上げ方
実は、コバインキを塗ると、コバがぎらぎらと光ります。これだと少しぎらつきが強くなってしまいます。
これなんかもぎらついてますね。
靴修理屋などは、コバインキを使った後にバフがけを行うので、インキのムラもぎらつきもなくなりますが、一般の家庭にバフがけ用の機械はないので、別の方法でこのぎらつきを抑えなければなりません。
そこで登場するのが、鏡面磨きに使用するワックスです!
私はサフィールのワックスを使っています。コバインキが乾いたら、このワックスを指先にとって、塗り込んでいきます。そして、ほんの一滴だけ水滴をつけて指でこすります。そうするとワックスが光ります。コバインキのぎらつきをワックスのロウ分がマットな風合いにすることで光沢感を抑えられるのと同時に光沢感を程よい感じに仕上げられるのです。
いかがでしょうか?
コバ周りのお手入れをするだけで靴磨きの仕上がり方が劇的に変わりますよ。
コバの手入れを見落としていた方は、ぜひこの記事を参考にして、コバの手入れもしてみてください。
最後まで読んで頂きありがとうございます。