気が付くといつも考えていることは、イギリスの情勢によって、イギリス靴が買えなくなるかもしれないという事…。完全に重症な私です。
でも、大好きなチャーチのコンサル、チェットウィンド、ディプロマットがダメになったときに、同じものが買えなくなるかもしれないという恐怖は結構私の中ではあるのです。
でも、世の中何が起きるかはわからない。本当にイギリス靴が欲しくても変えないという事態は起きるかもしれないのです。
イギリス靴が大好きな私ですが、何が何でもイギリス靴でなければならないとは当然考えてはいません。
むしろ日本の靴ブランドなんかを見渡すと、こちらの方がいいのではないか?と思う事は多々あります。
縫製が細かく、技術的に世界に負けていない日本の靴。デザインや靴のオーラという面においても、日本の靴はもはや世界に負けていないのです。
と、いうわけで今回は日本の靴ブランドを紹介したいと思います。
今回ご紹介するのは驚異の値段でハンドソーンウェルト製法を作っているユニオンインペリアルです。
目次
ユニオンインペリアルの歴史
ユニオンインペリアルは1958年創業の国産靴メーカー、世界長ユニオンが2008年に立ち上げたブランドです。
創業当初にイタリアの「マレリー」と技術提携を行っており、数ある日本の靴ブランドの中でも、イタリアの製造技術を多く取り入れてきたブランドです。
事実、イタリア靴ではお馴染みのマッケイ製法を日本で初めて導入したのは、世界長ユニオンなのです。
イタリア靴ブランドは、家族経営の小規模ブランドが多く、手作業で靴を作る文化が今も強く根付いていますが、世界長ユニオンはその中でも特に、ハンドステッチで仕上げるモカ縫いの技術を長い時間をかけて磨き上げてきたのです。
「ユニオンインペリアル」ブランドをメインに手掛けている今もそのハンドステッチによるモカ縫いは同社の看板商品となっています。
製法は後に詳しく説明しますが、ハンドソーンウェルト製法を取り入れているものがとくに有名で、その他にはグッドイヤーウェルト製法を使った堅牢な靴を作ることを得意としています。
驚くべきは低価格で9分仕立てを世に送り出していること
ユニオンインペリアルというそのモカ縫いの技術をハンドソーンウェルト製法に活かし、3万円代という驚愕の値段でハンドソーンウェルト製法の靴を世に送り出しています。
ハンドソーンウェルト製法の一部の工程を中国の工場で行っているそうですが、それでもこの値段は驚かされます。
ハンドソーンウェルト製法とは、別名9分仕立てと言います。
その名の通り、10あるうちの9は手仕上げで作り、最後の外周の出し縫いだけ、機械で行うという手間のかかった製法なのです。ちょっとしたブランドがハンドソーンウェルト製法で靴を作った場合、定価は10万円以上になるのが普通なので、3万円台でハンドソーンウェルト製法の靴を作っていることがいかにすごいことかがお分かりいただけるかと思います。
ハンドソーンウェルト製法は、グッドイヤーウェルト製法の元祖となった製法です。
大きく違うところは、すくい縫いという工程をハンドメイドするところにあります。
グッドイヤーウェルト製法の場合、リブテープという縫いシロとなる部品を接着します。リブテープ=リブを、ウェルトという出し縫いを行うためのもうひとつの縫いシロとを機械ですくい縫いを縫い付けていきます。
そうして縫い上げられたウェルトに本底をつけて出し縫い=2回目の縫いをかけることで、グッドイヤーウェルト製法の靴は出来上がります。
それに対しハンドソーンウェルト製法はグッドイヤーウェルト製法でリブテープを付ける箇所に、リブテープを使いません。
それではどうするのかというと、中底の裏側を手でつまみ上げて、堀を立てるように、革の壁を作り、それを縫いシロとしてウェルトとすくい縫いで縫合するのです。
グッドイヤーウェルト製法は手間のかかるハンドソーンウェルト製法を大量生産向けに改良したものなんですね。
縫いシロとなる革を起こすのも手作業ですが、当然すくい縫いも手で縫い上げていきます。このすくい縫いが職人さん曰く、とても力のいる仕事で大変だそうです。
力いっぱいきつく縫い上げないと緩んできて靴が分解されてしまうんです。なので、とても重要なパートなんですね。
それを安定したクオリティで作り続けるユニオンインペリアルはすごいんです。
ハンドソーンウェルト製法の利点
ハンドソーンウェルト製法の靴は、構造上リブテープを使わずに革であるために、非常に反り返りが柔らかになるという利点があります。よって屈曲性の良い靴が作られるんです。
また、革で起こした溝の深さは、グッドイヤーウェルト製法で使われるリブテープよりも深さがないため、その溝に敷き詰めるコルクが薄くなります。
そのため、グッドイヤーウェルト製法の靴よりも比較的軽くなり、かつクッション性は大きく損なわれず(グッドイヤーウェルト製法の靴の方が、コルクに厚みが出せるので、クッション性自体はハンドソーンウェルト製法の靴よりも良いと思います)、しなやかな靴が出来上がるので履いていて非常に履きやすい靴が出来上がります。
コスパは本当に高い靴だと思います。
ユニオンインペリアルといえばまずはUチップ!
先程も紹介しましたが、ユニオンインペリアルは得意なのがモカ縫い。
ですから、ユニオンインペリアルの靴といえば、Uチップなのです。
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Uチップは快活なイメージもありますし、外羽根の靴になりますので、甲の締め付けもきつくなく、とても履きやすい靴になります。着こなし次第ではお仕事の日からお休みの日まで幅広く使えるため、非常に使いやすいでしょう。
もちろんハンドソーンで作られた、端整なシルエットの靴も見逃せません。
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この靴はハンドソーンにアノネイのレザーを使って驚異の4万円台!!驚くばかりです。
今後ひとつひとつフォーカスしてユニオンインペリアルの靴も紹介していきたいと思います。ぜひお楽しみに!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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