クロケット&ジョーンズ CROCKETT&JONES  イギリス靴随一の人気ブランドに迫る

ジョン・ロブ、エドワード・グリーンと来て、今回紹介するのはクロケット&ジョーンズです。
今、その人気の高さは先に紹介した2ブランドを凌ぐものになっています。
クロケット&ジョーンズというと、一昔前は裏方で色んなブランドのOEMで、安いイギリス靴というイメージが強かったのですが、今や完全にそのイメージはなくなり、イギリス靴の中でもトップブランドの地位を築き上げました。

目次

クロケット&ジョーンズの歴史

クロケット&ジョーンズ社は、1879年、ロンドンより北に1時間ほど行った場所にある靴の聖地、ノーサンプトンで創業した靴メーカーです。チャールズ・ジョーンズ氏と、その義理の兄弟ジェームス・クロケット氏によって設立されました。現在は4世代目に入り、今でもジョーンズ家のジョナサン・ジョーンズ社長によって経営されている老舗の企業です。
ジョン・ロブ、チャーチ、アルフレッド・サージェントなど多くのイギリス靴メーカーが海外企業の資本となる中、今なお創業家が大切に会社を引き継いでいる数少ない企業です。

1990年には英国における輸出貢献が認められクイーン・アワードも受賞しました。 また、1990年代後半からロンドンのジャーミン・ストリート、シティー、そしてバーリントンアーケードに出店、さらにはパリにも出店と、積極的なブランド戦略を展開しております。 現在の社長であるジョナサン・ジョーンズは、「これまでの伝統的な靴製造の基本は変えずに、新たなる機械によるスピードと精度を向上させる」事や「その靴がクラシックであっても、形や素材、色等を微妙に変えてファッションとしても楽しめ、10年以上履いても常に趣味のいい靴といわれ続ける靴を作る」という哲学のもと、現在も手作業で靴が作られています。

人気の秘密

クロケット&ジョーンズが人気の理由はいくつかあります。
①長年様々なメーカーのOEMを手掛けてきたことによって培われた技術力と品質の高さ

②数多くの注文に対応する臨機応変さと時代への順応性

③トレンドを牽引する確かなファッション性

大まかにわけるとこの3点になるでしょうか。

技術力と品質

長年様々なブランドの名前を背負って、OEMをしていただけあって、作りの良さが素晴らしいです。
その技術力の高さを裏付けるように、ジョン・ロブがパリで既製靴をスタートした時にOEMを手掛けていたのはクロケット&ジョーンズでした。
また、素材の質にもこだわっていて、革の裁断室も自然光のあたる北側の部屋に配置し、細かな傷も見逃さない徹底ぶりです。

臨機応変さと順応性

創業家の同族企業であるため、各ブランドの様々なニーズに臨機応変に応えられるのが売りです。
例えば、昔は別注に受け答えていたチャーチも、1999年プラダの傘下に入って以降は、別注はよほどのことがない限り受け付けなくなっています。それはやはりプラダグループとしてのイメージを守るという企業戦略もあってのことですが、クロケット&ジョーンズの場合はそういった親企業の意向を汲みながら運営をしなくても済むため臨機応変にニーズに応えられるのです。
日本からはBEAMS、SHIPS、ユナイテッドアローズなど名だたるセレクトショップがトレンドを抑えたモデルを発注しています。
ですから、時代の最先端のニーズへの順応性もあるのです。

ファッション性

ジョナサン・ジョーンズの「その靴がクラシックであっても、形や素材、色等を微妙に変えてファッションとしても楽しめ、10年以上履いても常に趣味のいい靴といわれ続ける靴を作る」という哲学は間違いなく世間のニーズに当てはまっています。
トレンドを牽引するセレクトショップなどへのニーズへの順応性が研ぎ澄まされたクロケット&ジョーンズは、今やファッショントレンドを牽引しています。
トレンドとは、流行り廃りに影響されがちですが、クロケット&ジョーンズの靴は違います。
クラシックだけれども、趣味の良い靴は、流行り廃りで朽ちません。

木型の数は世界最大数

クロケット&ジョーンズの最大の特徴は、世界中で最も多くの木型の種類を有する靴メーカーということです。
そのためデザイン・バリエーションやデザインに適した素材選びに秀でています。
それは「ジョージ・クレバリー」、「ジョン・ロブ(パリ)」といったビスポーク専門の靴店の靴を高級既製靴ブランドとして成功させた面でもわかります。

人気を支える名ラスト337とディミトリ―・ゴメス氏

裏方ブランドであったクロケット&ジョーンズが表舞台で脚光を浴びるのは、2002年が転機でした。
それが名ラスト337の誕生だったのです。
パリ店に靴職人、ディミトリー・ゴメス氏が削ったセミスクエアラストです。
このラストはクロケット&ジョーンズの最上級ラインであるハンドグレードラインに採用され、今までのクロケット&ジョーンズのイメージを完全に刷新した傑作です。

この木型とストレートチップのオードリーは同ブランドのフラッグシップモデルです。

映画007シリーズにも採用されました

人気スパイ映画007シリーズの50周年記念作品である、第23作目「スカイフォール」からクロケット&ジョーンズは007シリーズに協賛しています。

ジェームズ・ボンドに扮するダニエル・クレイグの足元を、スーツに合わせた様々な黒のドレスシューズや、カントリースタイルに合わせたカントリーブーツが飾っています。

007シリーズというと、今まではチャーチやジョン・ロブ、グッチやフェラガモが採用されていたのですが、有名映画の主人公が履く靴として採用されるまでに至ったクロケット&ジョーンズの靴は、世界に名高いイギリスへと完全に進化を遂げています。

名作3選

クロケット&ジョーンズでは木型の数だけ、数えきれないほどのモデルが出ており、それだけ魅力の多い靴を世の中に出しています。

それだけの靴の中から3つ選ぶのは困難を極めますが、今回は以下の3モデルを紹介いたします。

オードリー

これだけは間違いのない不動のクロケット&ジョーンズ、フラッグシップモデルです。

オードリーはラストによって5つの種類に分かれますが(例えばオードリー2、オードリー3など)

やはりラスト337を使用した初代オードリーが王道でしょう。

自然なセミスクエアの木型はイギリスの伝統的なトウの形状を保ちつつ、ほんのりとしたノーズの長さが、野暮ったさを排したエレガントな印象を与える傑作です。

モールトン

Uチップのモールトンは、横幅も広めで日本人の足に合いやすいラスト292を採用したモデルです。

底にはリッジウェイソールが使われていることが多くカントリーな雰囲気が出ています。

かといって、パラブーツやJMウエストンのUチップよりもスマートさがあるため、スーツにも合わせられる守備範囲の広さが魅力です。

 

キャベンディッシュ

今やどのセレクトショップにいっても、見ない店はないというくらい、人気のタッセルローファーです。

均整の取れた履き口とアッパーの比率、上質なカーフと丁寧なモカ縫いが特徴です。

黒のスムースレザーであれば、カジュアルだけでなく、スーツスタイルまで取り入れることの出来る万能さ。

茶スエードなどであれば、柔らかな雰囲気を出してジャケパンできれいにまとめることができる最強のタッセルローファーといっても過言ではないかもしれません。

伝統的なラウンドトウであるラスト325を採用したキャベンディッシュはタッセルローファーのマスターピースになりました。

このラストは60年以上使われ続けている、イギリス靴の歴史が詰まったラストです。

そして、日本人向けに開発した踵の小ぶりなラスト375を採用したキャベンディッシュ3は、ローファーを履きたくても踵が抜けて困っているという人にはうってつけです。トウはより内側に触れたエッグトウになっているのが特徴です。

こちらがキャベンディッシュ3です。

やはりトウがいくぶんシュッとしていますね。

クロケット&ジョーンズは常に時代の先を行く靴を発表しています。

今後も当サイトで紹介していきますので楽しみにしていてください!

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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