ガジアーノ&ガーリング Gaziano & Girling イギリスの最先端を行く最高級靴

早いもので10月。そろそろ肌寒くなってきました。

さて、今回するのはイギリス靴続きで…

ガジアーノ&ガーリング!

ガジアーノ&ガーリングは2006年に誕生したイギリスの高級靴ブランドです。

その作りはイギリスの既製靴ブランドが主に採用する、伝統的で丈夫なグッドイヤーウェルト製法ながら、そのシルエットはフルハンドで作った靴に肉薄し、履き心地もフルハンドシューズに近い、既製靴としては最上級の靴といって過言ではありません。

むしろ個人的にはラスト(木型)への釣り込みから生まれる曲線美、ステッチの美しさはジョン・ロブを凌ぐと感じています。

今、高級本格靴の中で最も注目を集めているブランドですが、その歴史は意外にも浅く、年に誕生したばかりのブランドなのです。

その新気鋭のブランドがなぜ今の地位を築いたのか、まずはその歴史から追ってみましょう

目次

ガジアーノ&ガーリングの歴史

ガジアーノ&ガーリングはトニー・ガジアーノとディーン・ガーリングの2人が2006年に創設したブランドです。

100年以上続いている老舗が多い、イギリス靴ブランドの中で最も新しく、登場するや否や一気に人気靴ブランドとなり、2014年にはロンドンに直営店をオープンするなど、新鋭のブランドです。

靴の聖地ノーザンプトンから25㎞ほどに位置する、ケタリングという町に工場を構えています。

イギリスは「靴」の生まれ故郷でありますが、靴製造メーカーは工場を海外に移転したり、大量生産で安価な靴の登場などによって激減しました。

そんな中で新しい靴ブランドの誕生に町は歓喜に沸いたといいます。

トニー・ガジアーノはデザイナーとして、エドワード・グリーンで研鑽を積んでいました。近年エドワード・グリーンの新たな名ラスト(木型)として名高い82ラストと888ラストを開発したのは、何を隠そうこのトニー・ガジアーノです。10代の頃は建築家を目指していたそうで、ガジアーノ&ガーリングの芸術的とも言える靴の美しさはトニーのデザインによって生まれます。

一方、ディーン・ガーリングはビスポーク職人として、フリーでフォスター&サン、ジョージ・クレバリーなどの靴の製作を手掛けていた凄腕の持ち主です。

この2人の「デザイン」と「腕」が合わさって、ガジアーノ&ガーリングの靴は他のブランドにはない存在感を得るのです。

 ガジアーノ&ガーリングの凄さ

ガジアーノ&ガーリングが一躍高級靴のシーンに躍り出たのは、決してデザイン的に真新しさがあったり、話題性の高い奇抜な靴を発表していたからではありません。

既製靴としては信じられないレベルの作り込みをしているところに、誰もが納得したからです。

ガジアーノ&ガーリングの製造工程を紹介している動画がYouTubeに上がっているので、そちらを見てみてください。

①裁断は手作業

革の裁断マシンを使うメーカーが多い中、ガジアーノ&ガーリングでは革の裁断専門の職人が手作業で、最高級の革の中から、皺やシミを避けて、最も美しい革を切り取っていきます。

②釣り込みに最低2週間かけている

靴の形を形成するラスト(木型)への革の釣り込みの作業です。

通常イギリスの有名ブランドはこの工程に1週間ほどの時間をかけています。

しかし、これをガジアーノ&ガーリングは最低2週間かけて行っています。フィドル・バックの美しさ、トウ、ウエスト、ヒールが見た目に美しく、そして履き心地の良いものにするためには、革をラストに馴染ませなければなりません。それには最低でも2週間かかるそうです。この手間暇を惜しまない姿勢がガジアーノ&ガーリングの質の高さを生み出しています。

③底付け、仕上げ、一部縫製も手で作ります

底付けや、最後の仕上げの工程、そしてスキンステッチなども手作業で行っていきます。この手作業が既製靴ながらビスポークの靴のような美しさを生み出すのです。

ガジアーノ&ガーリングの名モデル

ガジアーノ&ガーリングは、本格的に靴の大量生産が始まる1920年代から1930年代、靴のクオリティが最も高かったと言われる時代のクオリティを現代に復活させ、それでいてデザインは現代的でクラシックに寄りすぎることのない靴を目指しています。

その象徴ともいえる、名モデルがローファーの「アンティーブス」です。

トウの部分とU字を描くモカの部分はスキンステッチで仕上げ、サドルをツイストさせたデザインが手仕事の確かさを物語っています。

グッドイヤーウェルト製法でありながら、ハンドソーンで作られたかのように張り出しがないコバ、足をしっかりと掴んで離さないカカト周りと深く絞り込まれたウエストラインは、ガジアーノ&ガーリングのアイコン的存在です。

これだけ美しいローファーもまたとありません。

革も最上級、作りも最上級。そしてデザインには他のブランドにない色気があるガジアーノ&ガーリングは、これからの紳士靴シーンにおいて決して見逃すことの出来ないブランドなのです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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