今更ながら伊勢丹15周年記念モデルの靴を観てきました

伊勢丹新宿 MEN’S館は今年で15周年を迎えました。

そのMEN’S館は15周年を記念して、全フロアで伊勢丹が今年テーマにしている「ビンテージ」に着目し、特別なモデルを出しています。

それは靴も同じことで、イギリス靴ブランドからは往年のモデルが出ています。


ひとつめが<EDWARD GREEN/エドワード グリーン>。のちのラスト808、888の源流ともいえるセミスクエアラスト88が30年のときを経て復活。ストレートチップのマスターピース「チェルシー」をまとってイセタンメンズにお目見えする。
<エドワード グリーン>シューズ 270,000円
*<エドワード グリーン>は、ライニングの仕様が変更となります



ふたつめが<CROCKETT&JONES/クロケット&ジョーンズ>。1950年代の幻のモデル、キャップトウの「コノート」、フルブローグの「ディー」を復刻した。ラストは1961年に誕生した236。シャープなラウンド・シェイプがこよなくモダンだ。

<クロケット&ジョーンズ>シューズ 124,200円

そして最後が、<CHURCH’S/チャーチ>。1999年にお蔵入りになったパンチドキャップトウ「バークロフト」を完璧に再現。ラストはもちろん、エッグトウの名作84。ファン感涙の一足だ。

<チャーチ>シューズ 85,320円

出典:https://www.isetan.mistore.jp/shinjuku/shops/men/shoes/shopnews_list/shopnews01.html

エドワードグリーンもクロケット&ジョーンズもチャーチもみなビンテージシューズ仕様でした。

私は行った時にこの催しを全く知らずに行って、靴売り場を見た時に初めて気が付きました。

クロケット&ジョーンズの1960年代仕様のディテールの靴を見て、クロケット&ジョーンズで古い靴でこんなパターンと雰囲気の靴ってあったな~なんて思ってソールを見てみると、やはりビンテージクロケット&ジョーンズ仕様になっていました。

チャーチもパンチドキャップトウといつも履いている雰囲気が一緒だな、と思って恐る恐る手に取ってみると、やはりバークロフトでした。ただし、若干ラストの形状が変わっているような気がします。靴のボールジョイントからつま先にかけて外側のカーブが急に内に振られていたように感じます。

実際に履き比べてはないので、大きなことはいえないのですが、若干履き心地も変わりそう…。

とはいっても、旧チャーチの時代でも、年代が異なると定番モデルの形や雰囲気、そして履き心地にも若干の差があるので、そういったことは大なり小なりあるということでしょう。

以前バークロフトに関しては、詳しく紹介しているので、こちらの記事をご覧いただければと思います。

しかし、いくら伊勢丹メンズ館といえど、あのチャーチが昔のリバイバルをするとは夢にも思いませんでした。

しかし、ロンドンの老舗のセレクトショップではいまだにラスト73を使った旧ラインのモデルを復刻したりするそうなので、プラダ傘下後の今でも小売りとの関係性を大切にしているのでしょうね。

個人的にとても気になったのはクロケット&ジョーンズ。

別にラスト236に驚いたわけではありません。そもそも知っている方なら、ストレートチップのコノートが今でも普通に売られていることをご存じのはずです。

しかし、それを昔のソールの刻印やおそらく特別にハンドグレード級のスペシャルな革を使うだけでありがたく見えるから不思議です。

クロケット&ジョーンズはビンテージシューズ市場ではそれほど価値が高くなく、ebayなどを利用すれば、かなり安価に入手することができます。

OEMが中心だったでしょうから、出回っている数も少ないのだと思います。

さらに、当時のクロケット&ジョーンズはお世辞にもカッコイイと思える靴が他メジャーブランドと比べ、少々少ないため、このようなことが起きるのだと思います。

たとえばこんな靴。旧チャーチのメッセンジャーに近しい雰囲気で、クラシック回帰だといくら言おうとも、合わせるのにはそれなりの覚悟が必要です。

これもなかなか「ヤバイ」雰囲気を放っている靴ですね…。

こういった雰囲気の靴を出しているのは、決してクロケット&ジョーンズだけでなかったはずです。どこも似たようなモデルを出していましたし、今現存していないイギリス靴ブランドはさらに上を行くダサさの靴を作っていることもしばしばです。

クロケット&ジョーンズが特別悪いということは全くありません。

もちろん旧クロケットでも、良いモデルもありました。

これはビンテージのラスト236を使用したストレートチップシューズです。まさにコノートと一緒です。ただし、やはりこの年代に作られたものは繊細です。コバの張り出しもほとんどなく、とてもエレガントな雰囲気。今見てもカッコいいんだから当たり前といえば当たり前か…。

ともあれ、ビンテージを復刻するというテーマの下で、ラスト236を使ったことにはうなり声をあげてしまいました。今にも通用するラストを捻りなく王道でついてきたわけですから。

何でもかんでも時代の流れに沿って、むやみやたらに復刻すればいいわけではない…。あくまで「今」の流れをくみ取ったうえで復刻しないと、全くパズルのピースがはまらなくなってしまうということを改めて教わったと感じます。

とりとめもない話になってしまいましたが、何か皆さんの参考になれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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