エドワード・グリーン Piccadilly(ピカデリー) グリーンが贈るコインローファー

ここ最近アレン・エドモンズの靴の話ばかりになっていたので、小休止してイギリス靴の話でもしていきましょうか。

書いていて、やはり私はトラッドでフツーな靴が好きなのだな~としみじみ思います。

もちろんイタリアの南の方の靴も好きですよ。ナポリのブランドはナポリのブランドでトラッドな靴には出せない雰囲気と魅力がたくさんありますからね。

めちゃくちゃ暑い夏の日は、少し色味もカラフルで、ソールもマッケイ縫いで薄く、柔らかいローファーをゆる~いスタイルで履くのもひとつです。

いわゆる「伊達男」といった雰囲気で、それはそれで痺れるスタイルなのです。

しかし、カチッとした靴にだって、魅力があります。

イギリス靴が作るローファーなどは典型的で、コインローファーであっても、パリッとしたジャケットなどに合わせて変な雰囲気にならないですし、子供臭さを抑えめにしてくれるものです。

正直、イタリア、特に南の方の明るく軽いローファーでは、ビジュアル的にもそこから生まれる雰囲気からしても、いくらカジュアルダウンが叫ばれる昨今のビジネスシーンにおいても不相応かと思います。

なお、アメリカ製のコインローファーをジャケットスタイルに使うと、いかにもアイビーボーイといった雰囲気になります。変な子供っぽさが出るというか、あのアメリカ臭さが身体中から放たれるような気がして、応用があまり効かないのです。決してそれが悪くいうわけでも、悪いとも思っていませんが、自分のスタイルと少しでも噛み合わないと、変な雰囲気になります。

いちいちそんな着こなしがどうのこうのを気にしないようなカジュアルな装いにこそ、活きるローファーのような気がします。

イギリス靴が作るコインローファーは、よほどアメリカに寄せた雰囲気のものでなければ、様々な方向性のジャケットスタイルに組み込むことができます。

さすが現代紳士服、紳士靴発祥の地であると畏敬の念さえ抱かずをいられません。

今回紹介するのはエドワード・グリーンのPiccadilly(ピカデリー)です。

Edward Green(エドワード・グリーン) Piccadilly(ピカデリー)

Edward Green(エドワード・グリーン)のPiccadilly(ピカデリー)は、エドワード・グリーンのコインローファーの代表的モデルです。

イギリス靴最高峰のコインローファーといえば、ジョン・ロブのロペスとこのピカデリーがあげられるのではないでしょうか。

きちんとコインローファーの名のゆらいとなった、コインを挟み込む窓枠はきちんとついています。

一見、アメリカのコインローファーと変わらないと感じるかもしれませんが、見れば見るほどその雰囲気は現代のアメリカのコインローファーとはかけ離れた大人びた上品な佇まいとなっています。

この大人びた雰囲気はいったいどこから放たれるのか?

それはイギリス靴の中でも、最高と言われるエドワード・グリーンの精魂を込めた徹底した作り込みによって生まれます。

まずモカ縫いが圧倒的に美しいですね。1枚の甲革をつまんで行う、「つまみモカ」またの名を「すくいモカ」とも言いますが、高級革靴ブランドならではの贅沢な仕様。

そしてそのモカ縫いに薄い溝を入れて、デザインと手が込んでいることを証明します。

ピッチはとても細かく、破綻のないステッチワークとモカのカーブにほれぼれします。

細かな出し縫いと細かいウィールによって生み出される底回りの美しさ。

サドルはビーフロールではなく、あっさりと縫い付けています。

イギリス靴だから全てのコインローファーがあっさりと上品なわけではありません。

たとえば、チャーチのペンブリークロケット&ジョーンズのボストンなどはアメリカの靴に通じる、カジュアルな装いに向いたデザインのコインローファーです。

しかし、このエドワード・グリーンのピカデリーはあくまでも上品に落とし込みます。

また、上品に感じる大きな要因の一つとしてラストが大きなカギを握っています。

このピカデリーに使われているラストはラスト184。

ラスト184は若干ノーズを長めにとっており、細身に仕立てているのが特徴です。ラウンドトウながらもスマートに見えるのはこういったところにも秘密があったのです。

グッドイヤーウェルト製法のローファーにつきものである、沈み込みと大きな革馴染みを考慮してのタイトフィッティングによる、捨て寸との兼ね合いの問題もラスト184は捨て寸を少し長めにとっているため、寸詰まった履き心地にならないように工夫が凝らされているのです。

綺麗目のカジュアルによく合い、スーツにもなんとなく合わせられてしまうお育ちの良さ。

このピカデリーの場合、あんまりラフな格好をすると、足元がとても綺麗にまとまるので浮くことでしょう。ラグジュアリーな休日スタイルが楽しめる一方で、ラフすぎてはいけないという贅沢な悩みを与えてくれる至極の一足。

ぜひ、試してみてはいかがでしょうか。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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