輝けライフが思う英国靴と国産グッドイヤーの靴の違い

気がついたら12月20日…

20日ぁ!!?

もう2017年も終わろうとしているのか…。

毎日毎日月日が流れるのは早い早いと言っていますが、月日が流れるのが早いと思う要因は一体どこにあるのでしょうか?わからないですねぇ…

今年は国際情勢もきな臭く、日本も在り方が大きく問われました。来年はどうなるんでしょうか?平和な1年であって欲しいと祈るばかり。

さて、今回は会社の同僚から、「国産のグッドイヤー製の靴とイギリス靴って何が違うの?輸入してきてる分だけ英国靴のほうが単に割高なんじゃないの?」という質問を受けました。

この輝けライフ!の読者の方にも、そういった素朴な疑問を持っている方もいるはずでしょうから、今回の記事で両者の違いを、大まかな傾向にしてお話したいと思います。

目次

国産靴の強み

まずは、国産の靴の強みをみていきましょう。

縫製が丁寧

日本人の手先の器用さは靴づくりにもいかんなく発揮されます。

キャップトウの縫製、すくい縫い、出し縫いなどのピッチの細かさは素晴らしいものがあります。

やはり縫製が細かいものの方が、見た目にもすっきりとし、凛とした雰囲気にまとまります。

ラスト(木型)が日本人に合いやすい

やはり日本人が日本人に向けて靴を作っているので、そのラスト(木型)は日本人に合いやすくできています。

特に日本人は欧米人に比べて、カカトが小さい傾向があるので、ヒールカップが絞られ、カカトが抜けないようにホールド感が高めている靴が多いです。

従来は幅広甲高なのが日本人の足の特徴といわれてきましたが、近頃はその傾向もだいぶ変わってきたようで、幅広の人でも、幅が細い人でも安心して履けるように、メーカーもラストを多く用意しています。

リペアが純正で出来る

これも国産靴の強みです。純正のパーツと、オリジナルのラストを使ってオールソールができるので、とても綺麗に仕上がります。

グッドイヤーウェルト製法の靴は、構造上、中底が割れてしまうと修理が非常に困難になりますが、オリジナルのラストさえあれば、オールソールは可能です。

それというのも、グッドイヤーウェルト製法の靴に使われる中底は厚みがあるため、ラストを使って底の癖付けを行います。

この癖付けができないと、まな板の上に立っているような履き心地になってしまいます。この状態では無理やりオールソールをしても、「オールソールできた」とは言えません。

その点、オリジナルのラストを所有していて、気軽に依頼できる国産グッドイヤーウェルト製法の靴であれば、オリジナルのラストで中底の癖付けが可能なので、そういった意味で長い間お直しをしながら靴を履くことができます。

国産靴の弱み

逆に国産靴の弱みはどういったところにあるのでしょうか。

良い革は日本に入ってこない

日本は革の関税も高いですし、そもそもインポートの優良タンナーの革は、インポートシューズブランドに先に取られてしまうため、日本に入ってくるものはどうしても英国靴を含めたインポートシューズよりも革が劣るものが多いのです。

結果、インポートシューズと横に並べると、素材の差が目立つときがあります。

副資材のレベルが低いことがある

革は甲革だけではありません。レザーソールの場合はソール、そして中底に使われているものもレザーです。

この中底などがやはり、インポートシューズに比べると良くないことがあります。これは詳しく後述します。

雰囲気が足りない

これは抽象的な表現になってしまいますが、やはり靴文化の歴史の差が出るのか、靴1つ1つの雰囲気が今一つ足りないときがあります。

もちろん、国産靴でも抜群の雰囲気を放つものは多いのですが、佇まいやラストが今一つに感じるときはあるかもしれません。

イギリス靴の強み

さて、イギリス靴のイメージとはいったい何なのでしょうか。

革が素晴らしい

インポートのタンナーの革はヨーロッパのほうが手に入りやすいようで、上質な革が惜しみなく使われていることがあります。

イギリス靴というと、一般的に硬い、というイメージがあるかもしれませんが、上質な革で作られたイギリス靴は履き馴染みがよく、履く度にしなやかさと光沢感が出やすいものが多いです。

副資材のレベルが違う

ライニングやソールなどの副資材も贅沢なものが多く、そう簡単に穴が空いたりしないのがイギリス靴の強みです。やはり副資材のレベルも日本の靴と違うのでしょう。

特に中底の差はぜひ見てチェックしてほしいです。

こちらは履いて6年になるチャーチの靴の中底です。

比較的綺麗ですよね?(いや、汚いけど笑)

こちらが国産靴の中底です。結構有名で価格もなかなか高いブランドですが、このような形になっています。

こちらも同じく履いて6年になりますが、中底はこのようにバリバリに割れて、そろそろ完全にヘタレてしまいそうです。

これは、オールソールをする時に中底交換も必要になりそうです。

中底交換ができるのは、長持ちさせる、という意味でとても嬉しい面ではあるのですが、修理代金が恐ろしく高くなる。中底がダメになっている場合、その代金は4万以上は軽くするのではないでしょうか。そこまでして直す必要があるのかは、疑問に思うところでもあります。

やはり、イギリス靴はこういった目に見えない部分も贅沢かつとても耐久性の強い素材を使っているのがよくわかります。

イギリス靴の弱み

では、イギリス靴の弱みはどこにあるのでしょうか?

ラストは選ばないといけない

やはり、日本人の足に向けて作った靴ではないので、何もかもがラストが良いか?というとこれは「NO」と言わざるを得ません。

特にイギリス靴の場合、ヒールカップが大きく出来ており、カカトが抜けやすい靴に、ぶつかるかもしれません。

もちろん、そういったラストばかりでないので、ご安心ください。

国内だと純正オールソールが出来ない

国内にいる場合、イギリス靴のブランドはオールソールが出来ません。その配送費、関税などを考慮したときに、とんでもない値段設定になるのと、移動している間に紛失の恐れというのも極めて高いので、どこのショップでも対応していないのが多いです。

まあ、中底が頑健ですから、ほとんどの場合で問題なくオールソールだけすればいいはずです。

ですから、イギリス靴を日本で純正オールソールする必要自体あまりないのかもしれません。

縫製が至らない時がある

物によって違いますが、縫製のピッチなど、細かさが要求される仕事はやはり日本人のほうが得意のようです。

と、このように国産グッドイヤーウェルト靴は国産グッドイヤーウェルト製法の靴で、

イギリス靴はイギリス靴の方でそれぞれ特徴があるため、一概にどちらが素晴らしいとは言い切れない部分があります。

どこに重きを置くかで見え方は全く変わるでしょう、

イギリス靴だから、国産靴だから、と色眼鏡みないで、ぜひ好き嫌いをしないで、色々と試してみてはいいかがでしょうか。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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コメント

  1. テト より:

    毎日楽しく拝見させていただいております。
    国産の弱み『雰囲気が足りない』には、
    私も読んでいてニヤリとさせられました。
    まさにその一言に尽きるように感じます。

    • バーリーコーン より:

      テト様
      コメントありがとうございます。
      雰囲気が足りない…。いや、本当に何だろうな~?
      自分でもよくわからないのですがこの言葉がふいに出てきてしまう時があるんです。

      もちろんペルフェットや三陽山長、宮城興業、リーガルなど、どのメーカーも素晴らしい靴を作ってますし、実際私も履いていて素晴らしいと思うんですけど。
      何にでも一長一短があるということでしょう。
      私は、雰囲気が足りなく感じる理由は、やはり甲革を代表とする素材の差が五感で伝わってくるからだと思っています。