60′sのチャーチの旧旧チャーチのクオリティはまたひと味違うとお話しましたが、それは言葉通りです。
ビンテージシューズは甲革の質の良さ、縫製や釣り込みの加減などに代表される作り込みの良さにスポットが当たることが多いですが、ソールにスポットが当たることはあまりないのではないでしょうか。
それもそのはずで、積み重なった長い月日は、知らず知らずのうちにレザーソールは劣化が進めています。カビが生えてるなど以外は、目視では確認できないので、そこは運に任せるしかありません。
劣化が進んでいるレザーソールは、通常よりも早く磨り減ってしまったり、ソールを縫い合わせてる糸と補強の接着剤が寿命を迎えて縫合部分が取れてしまったり、中には突然ソール本体が地割れのように割れてしまうことがあります。
これらの現象はいつ起きるのか予測は出来ません。
1つだけ言えるのは、雨水に弱いということ。
雨水にさらされることによって、接着剤がとれ、それとともに糸が切れてしまうのです。
まさに、今回オールソールしたのはそんな例になります。
しかし、ごくまれにその当時のクオリティを楽しめる、靴が出てきたりします。
私が持っている60’s後半のチャーチは奇跡的に、当時のクオリティのまま履けています。
オールソールしたのは80’sに作られたであろうチャーチなので、製造年に10年以上の差があるにも関わらず履けます。
こちらがその写真。
物凄く頑丈です。
雨にも降られたのですが、ソールは分解していません。
それこそ、レンデンバッハソールのような、いや、それ以上に堅牢な靴です。
もう、1年以上履いている靴ですが…
やっとつま先が削れて、チャネル仕上げによって隠されている出し縫いステッチがみえてきたほどです。
触った感じも革が密になっていて、硬さがしっかりと残っています。
つま先の削れを見ても…
削れの毛羽立ちがレンデンバッハのような感じで、けばけばとしていません。
こちらがレンデンバッハの削れと、その毛羽立ちなので…
むしろ毛羽立ちはこちらの60’sのチャーチの方が目立たず、上質な印象を受けます。
昔は甲革だけでなく、ソールに使う革も十分な時間をもって、鞣し、作られていたんでしょうね。
今となっては、こういったソールもなかなか手に入らないのでしょう。
ちなみに、出し縫いのピッチもとても丁寧です。
きっちり目付のところをめがけて、出し縫いの糸が落ちています。
ビスポークシューズとはいわないまでも、現行のジョン・ロブやエドワード・グリーンの目付と出し縫いよりも明らかにしっかりと縫われています。
生産性を求めて、クオリティが下がる…
全てとは言わないまでも、今の時代そういったものも多く出回っていると思います。
しかし、こうやって手間暇をかけてじっくり作ったものは、人の心を温かくさせるものがあります。
古き良き時代を見て楽しむのもひとつ。現行品を楽しむのもひとつ。
私は現行品のチャーチも大好きです。
ただ、こういったビンテージのクオリティを忘れずに伝えていくことも、大切なことなのではないかな~と勝手に思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございます。