革靴用のブラシは大きく分けて、7種類のブラシがあります。
①馬毛のブラシ
用途:ホコリ落とし用 仕上げ用
特徴:毛が柔らかい
②豚毛のブラシ
用途:磨き用 余分なクリームを飛ばし、クリームの乗りを均一にする
特徴:毛が固く、油分があるため、馴染むと豚毛のブラシだけで光るようになる
③ペネトレイトブラシ
用途:靴クリーム塗布用
特徴:小さいブラシ 穴飾りのついた靴には必須
④山羊毛のブラシ
用途:仕上げ用(特に鏡面磨きを施した革靴に)
特徴:毛がとてもとても柔らかい。馬毛の比ではありません
⑤スエード用ブラシ(クレープブラシ)
用途:スエード靴のブラッシング用
特徴:天然ゴムを用いるので、スエードを必要以上に削らずに済む。革へのダメージも少ない
⑥スエード用ブラシ(ワイヤーブラシ)
用途:スエード靴のブラッシング用
特徴:毛が燐銅や真鍮で出来ていて、毛が寝きってしまったスエードや、毛の奥にホコリが堆積しているときに有効。使いすぎるとスエードを削ってしまう。
⑦コバ用ブラシ
用途:コバ周りの汚れ落とし用
特徴:歯ブラシの感覚で、コバに付着した泥汚れなどを落とす。
今回はこの中の④番、豚毛のブラシについて紹介していきます。
目次
山羊毛のブラシは何に使うの?
革靴のお手入れにあまり詳しくない方でも、店員に勧められて、馬毛のブラシか豚毛のブラシを革靴のお手入れ用にお持ちかもしれません。
ここで登場するのが、今回紹介する山羊毛のブラシです。
まずあまり山羊毛のブラシというものを聞いたことがない人の方が多いのではないでしょうか?
山羊毛のブラシは革靴の手入れをする行程の中で、最後に行う、仕上げ用に使うブラシになります。
仕上げ用ってどういうこと?
豚毛ブラシで靴クリームを伸ばし、磨き上げていきます。豚毛のブラシは毛が固くコシが強い特徴を利用して、靴クリームを均一に馴染ませていくことが主な役割ですが、その毛の固さのために、毛の跡がくっきりと残ってしまいます。
こんな感じです…。
この毛の跡をなくすように整えるのが山羊毛ブラシの役割です。
山羊毛のブラシは使い込めば使い込むほど、毛先に靴クリームのロウ分が馴染んでいき、仕上げの時に使用するとピカピカになります。
なお、山羊毛のブラシに関しては、靴の色ごとにブラシを使い分けなくても良いかと思います。豚毛のブラシでブラッシングをする工程で、余分な靴クリームは飛びますし、靴クリームも革へと浸透していますので、山羊毛のブラシを使う段階において、靴のクリームの色が毛に移ることはあまりありません。
気になるようであれば、黒用、茶色用、ライトブラウン用と分けても良いかもしれません。
私は持っている革靴の9割以上がスムースの黒なので、山羊ブラシは一本にしています。
今のところ、茶色の靴に黒の靴クリームが付着してしまう事はありません。
使っているのは、コロニルというドイツブランドの1909シリーズから発売されている山羊毛ブラシです。この毛が驚くほどフワフワで靴が綺麗になるのも、納得な一本です。
実際に試してみました
この豚毛のブラシでついた、ブラッシングの跡は豚毛でブラッシングを続けていても、なかなかなくなりません。
早速、靴を仕上げていきましょう。山羊毛のブラシで優しくブラッシングです。
このとき力は入れなくてOK!毛が柔らかく、細く、そして細かいため、このような傷もなく綺麗に仕上がります。
鏡面磨きに効果を発揮
この山羊毛のブラシ、最大の魅力は鏡面磨きをより際立たせることができることです。
鏡面磨きを施したあとの靴は、ワックスによって毛穴の凹凸が埋まり、平らになっているため、文字通り鏡状になります。そして光を反射するため、光り輝いて見えるのです。
せっかく鏡面磨きを施しても、豚毛でブラッシングしてしまうと…
この通り、毛の跡がつき、光沢感もなくなってしまい、台無しです。
傷がついてしまっているので、修復作業も相当手慣れていないと、難しくなってしまいます。
山羊毛のブラシは、毛が柔らかく、毛もとても細いので、こういったことにはなりません。鏡面磨き後の靴に山羊毛のブラシでブラッシングをしてみました。
この時にコツがあります、ほんの1滴にも満たない水を少しだけブラシにつけるのです。
手の甲などに、少し余分な水分を移し、ちょっと湿った状態にしたら、準備は完了です。
これで仕上げていきます。
どうでしょう?きれいに仕上がっていますね。
鏡面磨きをするとき、鏡面磨きをするためのネルが汚れていたり、固まったワックスがネルにこびりついていると、それが傷の原因になります。どんなにきれいなネルでも、鏡面磨きをした時につく、細かいかすれ傷はなかなか整えるのは難しいのです。
しかし、山羊毛の特性が、その細かい傷を平らにし、よりきれいに仕上げる事に一役を買います。
革靴を美しく仕上げるにするのであれば、山羊毛のブラシは必須です!
いかがでしたでしょうか?このように山羊毛のブラシは仕上げ用に用意していると、靴のメンテナンスのクオリティを劇的に上げることができます。
これから靴のお手入れ用品を増やしていきたい方には必携のブラシですよ!
最後までお読みいただきありがとうございます。
コメント
はじめまして。
お手入れの記事を参考にさせていただき、
先日ブートブラック リッチモイスチャークリームとイングリッシュギルド ビーズリッチクリームを
ネットで注文し、到着を待っているところです。
就職してすぐの頃はブラシなどかけず履きつぶす日々。
何年かして あることをきっかけに、
ブラシとコロニルのウォーターストップを
使いはじめました。
先日本革の鞄を購入したのをきっかけに
お手入れ方法を再度調べていてこちらにたどり着きました。同じ革ですものね(^^;)
大変参考になり感謝しております。
さて、クリームなどを買い換えたところで、
靴用にブラシを追加で購入しようと考えています。
今持っているのが多分、馬?
(遙か昔に無知な頃に買った物のため不明なのです)で、追加で豚と羊を考えています。
とごろで、職人が造ったブラシを使われたことはありますでしょうか?
もしあるなら記事を作成いただくことは出来ますでしょうか?
先日のブートブラック フィニッシングブラシも
候補には入っているのですが、
例えば東京なら有名な江戸屋(日本橋)をはじめとして
宮川刷毛ブラシ製作所(浅草)、藤本虎(浅草)、
かなや刷毛(浅草)、山田刷毛ブラシ製作所(神保町)
などがあります。
江戸屋は別として、他は山羊ブラシでも
手造りのものでも6000~7000円と
購入しやしく、馬・豚・桜馬などもありました。
山羊より白豚の方が高い位です。
ブラシの情報が少なく迷っています。
コロニルやコロンブス、etc…の有名メーカーを
買えば間違いはないと思いますが、
ブラシは一度買えばそうそう買い換えないものであるため、
踏ん切りがつかない状況です。
長くなりまして申し訳ございません。
失礼いたします。
Teraさん
コメントありがとうございます。
普段私は江戸屋のコロンブスブートブラックを使っています。
また後日記事は作成しようかと思います。
確かに使い勝手もいいものですが、体感的には2,500円(税抜)以上のブラシを購入すれば、普段使う分には十分かと思います。
なお、山羊毛に関しては、問答無用、ぶっちぎりでブートブラックフィニッシングブラシが良いと個人的に感じます。
特にネットで購入できるのも強みですね。