前回に引き続き、今回もグレンソンの150周年記念で発売した、アーカイブコレクションについて紹介していきます。
まず、個人的な感想から…
アーカイブコレクションは魅力があふれるシリーズです!(笑)
単純な感想から始まってしまいましたが、魅力を出すためにこだわりぬいているポイントが素晴らしいんです。
ただ形をイギリス風にしているだけの安易な復刻シリーズではなく、往年の靴の佇まい、雰囲気までを現代にタイムマシンで持ってきたかのような佇まいは、グレンソンの本気度を肌で感じます。
例えば、前回紹介したShoe NO.2は1939年当時のオーソペディックシューズである証「Joy Step」のロゴを入れ、ラストにも一工夫いれています。
→グレンソン アーカイブコレクション Shoe NO.2についてはこちらから
こだわりが深いものは、必ず人の心を揺さぶる。
私はそう思います。
さて、今回はこだわり深い同コレクションより、1912年頃に発売されたブーツを復刻したShoe NO.1について紹介していきます。
目次
GRENSON アーカイブコレクション Shoe NO.1
Shoe NO.1は1912年ころに製造されたパンチドキャップトウスタイルのブーツを復刻したものです。
ボリュームのあるトウから、かかとに向かってスリムになっていき、ウエストラインが土踏まずに沿って強く絞り込まれています。そしてカカトはコンパクトに仕上げています。皺が独特なこの武骨なブーツから漂う気品のあるオーラは、当時のエドワーディアン・スタイルブーツだからです。
エドワーディアン・スタイルとは、イギリス国王エドワード七世(在位1901年~1910年)の時代にトレンドとなったスレンダーでロマンティックなスーツファッションを指します。
その特徴は、上着の丈が長く、大きい襟になっており、体にぴったりとフィットさせたシェイプドラインを描くところです。具体的な例を挙げると、フロックコートがこのエドワーディアン・スタイルの象徴でもあります。
エドワーディアン・スタイルはこんな装いです。
画像から見てもすぐわかるように、このShoe NO.1は当時こんな感じの厳格で、現在のスーツスタイルの原点ともなった時代の服に併せて履かれていたブーツを再現しているのです。
Shoe NO.1を形やうわべだけの復刻にとどまられせていないのは、グレースキッドレザーを使うことによって、ビンテージシューズ独特のシワと革の光沢感を再現しているためです。
1960年代以前のビンテージシューズを見たことがある人なら、すぐにピンとこられるかもしれません。
古い靴というのは、その経年変化と当時使っていた素材の特質も相まって、独特なシワの入り方をしているものが多いのですが、Shoe NO.1には、そのビンテージ感を与えるためにグレースキッドレザーを使っているのです。
グレースキッドレザーとは、当時の風合いを再現した山羊革で、古いサッカーシューズなどに採用された頑丈なカンガルー革にも似たシワと光沢が特長です。革は非常に柔らかく馴染みも早いです。
この素材感によって高級感と親しみやすさを絶妙なバランスでマッチングさせているのです。
Shoe NO.1の着こなし方
さて、このShoe NO.1が元来、高貴なブーツスタイルであることはお分かりいただけたかと思います。
しかし、ここでちょっとした不安が出てくるのではないでしょうか?
「そんな堅苦しいブーツじゃ、普段履けないんじゃないか?」と…
安心してください!
このShoe NO.1に使われているグレースキッドレザーによるシワ感が、適度な親しみやすさを演出するため、緊張度は少し落ちます。
ただし、形がエレガントであることは間違いないので、ブルゾンやパーカー、ダウンコートなどのラフなスタイルではなく、ジャケットスタイルに合わせるといいと思います。
靴がシェイプされているので、ジャケットも体にフィットさせたものを選ぶだけでスタイルが生み出せますよ!
コーディネート例は…
シングルのチェスターコートと細身のデニムを合わせるといかがでしょうか?
上品な休日スタイルを演出できます。
シングルのチェスターコートは比翼仕立て(上前の打ち合わせが二重になっていて、ボタンを留めた時に隠れて見えなくなる仕立てのもの)になっているものを選ぶとよりエレガントです。
こんなチェスターコートに合わせたら素敵でしょうね!間違いなく靴に合います!
チェスターコートはショート丈の物よりも、膝丈もしくは膝丈を少し越える、着丈の長いものの方が◎
このエドワーディアン・スタイルブーツには好相性です。
デニムもテーパードのかかったレッグラインがよくわかるものを選ぶと、Shoe NO.1のボリュームのあるトウを際立たせることができます。
世界中、幾千ものシューズメーカーがある中で、ここまで忠実に、そして本気で当時の靴を再現させているブランドは他にないかもしれません。それほどこのShoe NO.1に代表する、アーカイブコレクションは作り込みに魂が宿っていますし、希少です。
もちろん、ただの復刻というわけではなく、実用性もありますから、色々な場面を想定してこの靴を履いてみると面白いかもしれませんね。
あえて休日スタイルではなく、スーツ用に使うのも全然有りな万能ブーツですから。
最後まで読んでいただきありがとうございます。