Church’s(チャーチ) Grafton(グラフトン) 重厚な外羽根ウイングチップ

前回の記事を読んでいただくと、Church’s(チャーチ)はシングルモンクストラップシューズを作るのが得意という一面を知ることが出来ると思います。

決してずんぐりむっくりばかりがチャーチの魅力ではありません。

しかし、その朴訥とした雰囲気が愛される理由となっているのも事実です。

特にフルブローグやセミブローグなどの、メダリオンのついたカントリーに由来する靴を手掛けることに長けています。

カントリーから始まった靴は、今はタウンシューズとなっています。

元々は労働用の靴ですから、スーツなどに合わせたワークスタイルにも不思議と良くマッチングします。

あくまで、普通のフルブローグを作らせたらイギリス靴の中でも、ことにチャーチというブランドはとても強いです。

綺麗すぎず雑すぎず、普通なんだけどきちんと高級靴然とした佇まいを出すのに関して、チャーチの右に出るブランドはそうありません。

チャーチというと内羽根ウイングチップのChetwynd(チェットウィンド)が人気ですが、もうひとつ人気のウイングチップのモデルがあります。それがGrafton(グラフトン)です。

目次

Church′s Grafton(グラフトン)の概要

チャーチが長年ロングセラーモデルとして据え置いているのが、外羽根ウイングチップのGrafton(グラフトン)です。

ラスト73の時代からあるモデルで、チャーチのカタログによると、1973年に誕生したモデルのようです。

以降看板モデルとして、メインコレクションの中で活躍してきました。

現在は後継のラスト173を使って、今なお作られ続けているモデルです。

製法はグッドイヤーウェルト製法。その中でも360°グッドイヤーウェルト製法と呼ばれる、つま先から踵までぐるっと一周ウェルトが巻いて縫い上げる手法を採用しており、カントリーシューズ顔負けの武骨な表情が魅力です。

さらにはカントリーシューズの意匠としてよく採用されるストームウェルトを巻き付けており、水や埃の侵入にも強くなっています。

こんなゴツゴツとした雰囲気を持ちながらも、タウンシューズとしてスーツにも合わせられる許容範囲の広さを持っているのは、ラスト173のドレスにもオフにも持って行けるスマートな顔つきならではと言えます。

スロートラインに沿ってグルッと靴を一周するように飾られたパーフォレーションが特徴です。

ウイングチップと言う名前の由来ともなった、鳥の羽根のようなつま先のパーフォレーションから、そのまま踵の方までグルッと一周しているアメリカ靴に良く見受けられるロングウイングチップとはまたひと味違う雰囲気を持っています。

アメリカ靴のようにも一見見えますが、こういった些細なデザインの差で、繊細さが一気に増します。

ソールはトリプルソール(何をもってトリプルなのかわかりませんが、公式がトリプルソールと言っているのでトリプルソールとします。ダブルにしか見えないのですが…)になっており、非常に堅牢な作りとなっています。

通常グラフトンに使われる革はポリッシュドバインダーカーフが多く、全天候型の強靱な靴として仕立て上がっています。

また、ポリッシュドバインダーカーフのようなガラス革が苦手な人にもグラフトンを気に入って貰えるように、スコッチグレインレザーを使用したモデルも良く出ています。

こちらはポリッシュドバインダーカーフと比べて、経年変化を楽しむことが出来るため、大変人気があります。ポリッシュドバインダーカーフほどではないですが、雨や雪にもめっぽう強いのが嬉しいところ。

コードバンを使用したグラフトンもあります

私が所有しているグラフトンはGENUINE CORDOVANを使用しているモデルです。

基本的にイギリスという国は、コードバンを使いたがらない傾向がありますが、それでもごく少数コードバンを使ったモデルを出します。

このGENUINE CORDOVANはホーウィン社のシェルコードバンを使っていて、独特の光沢感が魅力です。

それでいて先に述べたようにパーフォレーションの位置や、ラストの形状など、アメリカ靴とはまた違う顔つきがあるので、オールデンなどとは全く別物です。

チャーチではコードバンを使っているモデルはGウィズとする傾向があります。もちろん通常のFウィズも出ていますが、圧倒的に幅に余裕を持たせたGウィズになっていることが多いです。

これはコードバンが伸びにくいという、その特性を考慮して予めウィズに余裕を持たせているものだと考えられます。

フルブローグをお探しであればチャーチは要検討

体感的にフルブローグの靴というのは、35,000円を超えると見つかるようになってきます。

それはメダリオンをつけたり、パーフォレーションをつけたり、ピンギングのギザギザをつけるのに手間がかかるため、安価な靴では割に合わないという部分もあるのでしょう。

フルブローグの靴を探す時点で、出費はそれなりになると考えましょう。

そのうえで、何が最適なのか?

健闘を重ねた末に、チャーチのGrafton(グラフトン)やChetwynd(チェットウィンド)を選ぶのは必然だと思います。

間違いのない1足ですから、思い切ってみてはいかがでしょうか。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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