ここのところブリッティシュメイドを展開している渡辺産業さんで積極的に紹介している靴ブランドがCHEANEY(チーニー)です。
以前はチャーチの輸入代理店として、チャーチのプッシュも良くしていたのですが、チャーチはプラダが本格的に日本でのチャーチ事業も行うようになるとかで、チャーチの代理店としての業務は終えている(その割にはまだチャーチの靴をやっていますが果たして…?)とかで、あんまりチャーチのプッシュはされなくなっていますね。
それに代わって猛プッシュされているのがチーニーの靴です。
決して誇大広告というわけでもなく、その実力は実に堅実な靴ブランドと言えるでしょう。
輸入代理店の渡辺産業さんの取り組みもあって、人気も着実に伸びてきていると感じます。実際に取り扱っている店舗増えてきています。
昔のチャーチのように、別注品にも良く応えて作ってくれるフレキシブルな姿勢が業界内で評価されているという点も大きいでしょう。
ラスト125のような現代人の足を考慮して、作り上げたヒールカップの小さいモデルを開発したりと、最近はクラシックにモダンなエッセンスを取り込むことを得意として打ち出しているチーニーですが、実は今なおクラシックど真ん中の靴を作っていることをご存知でしょうか?
それが今回紹介するWINSTON(ウィンストン)です。
ただのクラシックではありません。
本当に昔ながらのイギリス靴を作り出しているのです。
それはどういう意味なのか?
それでは詳細を早速見ていきましょう!
目次
CHEANEY(チーニー) WINSTON(ウィンストン)
CHEANEY(チーニー)のWINSTON(ウィンストン)は実にクラシック。
「クラシック」の一言が突き刺さる質実剛健で、古き良きアメリカ靴やイギリス靴を彷彿させるようなフォルムです。
タイムスリップしてきたかのように、オールドな雰囲気がそのまま楽しめます。
そのオールドな雰囲気を醸し出す理由は使われているラストにあります。
使用ラストはラスト6184といい、捨て寸も現代の靴と比べると気持ち短めです。
トウもセミスクエアトウでぽてっとした見た目になっています。
また、ウィズはEウィズとなっています。通常はFウィズが標準となっているチーニーとしては、少し細身の内寸となっています。このEウィズ設定になっているのには理由があります。
私はラスト125で7.5Fのサイズを履きますが、こちらだと8.0がベターです。7.5はタイトフィッティングです。というより、寸が詰まりかけです…。
このウィンストンのデザインはアデレードセミブローグのスタイル。
トウキャップにあしらわれるメダリオンはキャップを目一杯埋める大きなもので、トリッカーズのカントリーシューズやチャーチのバーウッドなどに散見されるクラシック一直線のメダリオンのサイズ感、バランス感です!
ただ懐古主義的にならないのが、レースステイのまわりの切り返しをアデレードにしている点。こうすることによって、クラシック一辺倒の雰囲気に華をもたせています。
ラスト6184はマニアもうならせる その理由は?
ビンテージシューズが好きな方であればピンと来るかもしれません。
ウィンストンに使われているラスト6184は1974年に開発されたラストです。
そしてなぜこのラストは細身のEウィズ展開にしているのか?
その理由はジョセフ チーニーがアメリカ市場向けに生産していたライン『Royal Tweed』に採用されていたラストだからです。アメリカの靴は細身ですから、そこをきちんと意識したのでしょう。
「Royal Tweed」は当時チャーチのセカンドブランドとして位置づけられていたチーニーの渾身のシリーズです。
1970年代時のチーニーといえば、下請けも下請けで、今とは比較にならないほど下に見られていたブランドですが、その完成度は現行の靴と比べると革の良さなどもあって素晴らしいものです。ゆえにビンテージシューズの中でも人気は高い靴になります。
チーニーがチャーチの弟分的存在として作っていたその名残からか、オークション市場なんかをみると「チャーチが作っていた、Royal Tweed」とされているものがありますが、「Royal Tweed」はチーニー製なのでお間違えの無いように。
Royal Tweedは残念ながら現在は廃盤となってしまっており、当然中古品やデッドストックでなければ手に入らなかったのです。
しかし、このラスト6184はクラシックコレクションとして再びお目見えすることとなりました。
当時そのままのラストだからこそ、古き良きイギリス靴の薫りとアメリカを意識したエッセンスが入った稀有な顔立ちを現在に甦らせることができています。
Royal Tweedで気に入るものが見つからない方は、現代に復活したこのラスト6184を使ったモデルを探すといいでしょう。
その内容面もクラシック好きには納得できるモデルなのではないでしょうか。
オールドな雰囲気の靴を探している方はぜひ試していただきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。