ブラインドフルブローグの靴　クロケット&ジョーンズTUNBRIDGE(タンブリッジ)

フルブローグの靴というと、トラッドでガッチリした男の靴といった印象があります。

ダブルモンクストラップが塩顔系のイケメンなら、フルブローグの靴はこってり醤油のイケメン。縄文人系(例えになってるのかな？)のむせかえる男臭さにシビれる格好良さを感じるのです。

しかし、フルブローグの靴にも亜種があり、非常にドレッシーでシンプルに見えるデザインがあります。

それがブラインドフルブローグです。

ブラインドフルブローグとは

ブラインドフルブローグとは、フルブローグの靴をブラインド(隠している)靴のことです。

パーフォレーション、メダリオンといった穴飾りを一切排し、鳥の羽のようなウイング状の切り返しは残しているので、見た目がスッキリした中に印象的な意匠は残るため、ドレッシーなブローグシューズが出来上がります。

靴の足数が増えてくると、必ず欲しくなってくるのが、あまり見かけないデザインの靴です。人と被ることもまずありませんから、他人とどこかで差をつけたいという人にもぜひ取り入れていただきたいスタイルの靴です。

チョークストライプのスーツにガッチリ合わせる本来のフルブローグシューズのような使い方もできますが、デザインがうるさくないため、無地のスーツなど、全体のトーンを控えめにした着こなしにおいても難なく合わせることが出来ます。印象的なデザインながら、くどさがないので、ありがたい靴です。

逆に言えば、野暮ったい雰囲気が全くでなくなりますので、クラシックなイギリス紳士といった装いよりも、イタリア風味のさらっとしていて、艶やかなスタイルに向いている靴だと私は思います。

ブラインドブローグの靴は、既製ではあまり見かけないデザインの靴です。

どちらかというと、ビスポークシューズなどでチラホラ見かけるようなデザインの靴なので探そうと思うと結構難しいこともあります。

もちろん既製靴で全く見かけないというわけではありません。

ブローグシューズとはいえ、イギリス靴ブランドよりかは、スペインやイタリアのブランドの靴で見かけるような気がします。やはりスッキリしてドレッシーにしているという点で、そういったラテン靴のほうがその雰囲気にマッチしているのかもしれません。

今回紹介するのは、少々イギリス靴ブランドとしては珍しいブラインドフルブローグの靴を紹介します。

クロケット&ジョーンズのTUNBRIDGE(タンブリッジ)です。

クロケット&ジョーンズ　TUNBRIDGE(タンブリッジ)

クロケット&ジョーンズのTUNBRIDGE(タンブリッジ)はイギリス靴ブランド全体として見てみても、なかなか見かけないブラインドフルブローグの靴です。

使われているラストは、ラスト360というロングノーズのラウンドトウのラスト。

こちらは靴好きならお馴染みの、靴のセレクトショップである、トレーディングポストが別注して誕生したラストで、日本企画発のラストです。

ラストの特徴としては、ボールジョイント部分の横幅はEウィズ、土踏まずの部分にかけてはDウィズ、カカトに関してはCウィズにして足の前部分から後ろの部分にかけて絞り込んでいるという点があげられます。

いわゆる幅があるけれど、カカトは細いという日本人にも合いやすいラストです。

クロケット&ジョーンズの靴は基本的にカカトが大きく出来ているのに対して、このラスト360はかなり小ぶりに出来ているので安心できます。

ロングノーズのラウンドトウであるため、コンチネンタル的な解釈を取り入れたフォルムになっており、ブラインドブローグのようなスタイリッシュなデザインの靴には、よく映えるラストとなっています。

従来のイギリス靴にないフォルムを生み出したり、デザインを落とし込んだりするのが得意なメーカーであるため、ブラインドブローグのようなイギリス靴が本来不得手とするようなジャンルの靴もバランスよく作り上げることができます。

もちろんスーツだけでなく、ジャケパンスタイルにも合わせやすい靴なので、これから気温が暑くなってきたときのクールビズ期間にも取り入れやすいですね。

本来のフルブローグだと、穴飾りが暑苦しく感じる方もいらっしゃるかと思います。ブローグシューズは夏には敬遠してしまうという方にも、ぜひ取り入れてほしい靴です。

最後まで読んでいただきありがとうございます。