旧チャーチ シルバーコレクション プラダ買収直前にチャーチ社は何を考えたのか?

ベニーニョの靴フランチェスケッティの靴の紹介記事を書いていて思ったのですが…。

やっぱりイタリア靴はモデルのひとつひとつに歴史が詰まっていないなぁと感じていました。

イギリス靴のようにモデルのひとつひとつにスポットを当てていくのがとても難しい。

と、いうか不可能に近いです。

それはイタリア靴とイギリス靴のビジネスモデルが大きく違うために起きることだとわかってはいるのですが、記事を膨らませたい私としてはやはり物足りません。

さて、今日は得意分野に戻らせてもらおうかと思います(笑)

旧チャーチの話題ですね。

実は今日仕事の移動の合間に、旧チャーチを大解説した記事をアップグレードしておりました。

→旧チャーチ 徹底解説記事はこちらから

ゆくゆくはこのサイトで旧チャーチのラストアーカイブが出来るようにしたいですね。

手前味噌ではありますが、ここまで旧チャーチのラストをひとまとめにして解説しているサイトはまずありません。

それはいいかえれば需要がない、ということなのですが(Googleキーワードプランナーで調べてみても、一般的なニーズの低さは歴然です苦笑)、旧チャーチのファンのために輝けライフ!はあり続けたいのです。

あ、なんかカッコいいことを言っているようですが、ただのオタクの妄言です(笑)

さて、今日取り上げる話題は旧チャーチはシルバーコレクションについてです。

このシルバーコレクション、知らない方がほとんどだと思います。

このシルバーコレクションとはいったい何だったのでしょうか?

目次

Church’s シルバーコレクション

シルバーコレクションは旧チャーチ時代の末期、プラダ買収直前の1999年に発表していたコレクションです。

旧チャーチ末期というと、最上級ラインであるマスタークラスのチャーチを思い浮かべる人が多いでしょう。

→旧チャーチ マスタークラスに関して詳しくはこちらから

しかし、このシルバーコレクションを見たほうが買収直前当時のチャーチの本当のところがよくわかる気がするんです…。

シルバーコレクションという名前の由来はわかりませんが、確かにインソックは黒革に文字は銀色になっています。通常のチャーチは金色になっているので違いは歴然です。

シルバーコレクションを銀色の文字で体現しているのでしょうか?

よく4都市表記からが現行のプラダ傘下後のチャーチと言われますが、このように4都市表記でもギリギリ旧チャーチに分類される靴はあります。

と、いうのも…

ラストは73番を使っているものがあるから。

そしてライニングは革です。

このモデルはPresley(プレスリー)というモデルです

シルバーコレクションに属するモデルはそのモデルネームが歌手の名前からとられています。このプレスリーは明らかにエルビス・プレスリーのことを指しています。

(私はプレスリーと聞くと、大好きなバラクータG9を思い出してしまいます。彼もバラクータG9を良く着ていましたからね)

007シリーズでピアース・ブロスナンが演じたジェームズ・ボンドが履いていたモデルで、1999年公開当時はポスターまで作って大々的に広告していました。

The World Is Not Enoughで履いています。

ジェームズ・ボンドがプレスリーと名のついた靴を履くってどういうこっちゃ!

というツッコミは、紳士であればせずに目をつむりましょう(笑)

もちろん、ポスターだけでなくちゃんと劇中でも履いていますよ。

石油パイプラインを走る爆弾を解除するシーンを主として、作品全体を通して、よく履いているのを確認することができます。

チェビオットツイードの3ピーススーツというスコティッシュな服装にこのモンクストラップシューズを合わせているシーンでも履いています。

スーツのカッティングをみると時代をちょっと感じますが、実にイギリス的な着こなしですね。このスーツスタイルはショーン・コネリーが演じるジェームズ・ボンドが着るスーツよりもずっと伝統的なイングリッシュスーツだといえます。

このPresley(プレスリー)はラスト73。

ダービーのようなVフロントになっていないシングルモンクストラップシューズは、Westbury(ウェストバリー)の変形バージョンとなっています。違いはバックルが横になっていることと、革のストラップ部分が細くなっていることです。その他はほとんど変わりなく、スタイルとしてはシングルモンクスリッポンシューズといえます。

当サイト一押しシングルモンクのBecket(ベケット)型ではありません。

しかし、プレスリーよりも明らかにウェストバリーとベケットの方がカッコいい。

同じラストでもバックルなどのちょっとした部分が変わるだけで、ずいぶん印象が変わることに靴の奥深さを感じずにはいられません。

その他にもHendrix(ヘンドリックス)というモデルもあります

こちらはジミ・ヘンドリックスからとっているんでしょうね。

ラストは82?

いや、52とも読めるような文字。

旧チャーチのラスト82の靴は以前にも当サイトで紹介していますが…

→旧チャーチ ラスト82について詳しくはこちらから

ラスト82は大きくラウンドしたトウになっているのが特徴なのに対して、このHendrixはトウがスクエアに見えます。私には同じトウの形状には見えないので、これはラスト52という珍品なのかもしれません。

しかし、Hendrixの文字が旧チャーチにありがちな達筆でモデルネームが読めないというよりも、汚すぎてHendryに見えてしまう始末(笑)

もっと丁寧に書いてほしい。

肝心のデザインは3アイレットのダービーシューズ。スプリットトウ(エプロンフロント)とスワールトウが混ざったような、目も当てられないヘンテコなデザインの靴になっています。

ジミヘンなら死んでも履かない靴だと思います(笑)

いくらチャーチ好きな私でも、ただでも欲しくない…。

見るも無残な靴。

会社の迷走ぶりがよく表れているコレクション

シルバーコレクションの靴を見てみると色々なことを感じます…。

ジェームズ・ボンドに履かせてみたり、中をシルバーにして革ライニングにしてみたり、モデルネームを歌手にしてみたり…。

明らかに新しいファンを作ろうと必死に試みているのが、手に取るようにわかります。

まさに会社の大変革期の混乱と迷走ぶりが形になって表れています。あるサイトでは若者向けに作ったのではないか、という意見がありましたが、それも一理あると思います。

最後までメーカー・小売が考えることは結局ひとつ。

どれだけ多くの自社ブランドのファンを獲得して、売上をとるか?

これしかありません。

しかし、どう見てもカッコよくないシルバーコレクションのモデルの数々は、チャーチの歴史の中では、いわゆる「黒歴史」なのかもしれません。

チャーチのシルバーコレクションは、こうして紐解くのではなく、ひっそりと歴史の闇に埋もれていくのが良いのかもしれませんね。

※最後に余談ですが、ジェームズ・ボンドは同じワールド・イズ・ノット・イナフでウェストバリーを履いています(明言されていませんが、おそらくウェストバリーで間違いありません)

色はチェスナットカラー。プレスリーよりもやっぱりこっちのほうがカッコいいです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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