前回の記事で、クロケット&ジョーンズのブラインドフルブローグの靴を紹介しました。
このブラインドフルブローグのように、クロケット&ジョーンズというブランドはイギリス靴の中でも、クラシックなスタイルの中に旧来のイギリス靴にはない洒落た雰囲気や、その時代時代の流行を組み込むことに非常に長けたブランドです。
時代感を感じさせるデザインが多い中、いつまでも変わらない定番商品もいくつか混ざっています。
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チャッカブーツです。このチャートシーに使われているラストは224というもので、丸っこくカントリーよりなデザインの靴に仕上がります。捨て寸も短く昔ながらのイギリス靴を地でいきます。では、この靴いったい何年前から作られていたのかというと、1960年代には誕生し、作られていたのです。歴史を感じさせる1足は一朝一夕では作ることはできません。
あとここ数年人気を独り占めにしていたタッセルローファーのキャベンディッシュ。これも50年以上前から作られていたクラシックなモデルです。
ところが、クロケット&ジョーンズの顔となっているオードリーは2002年にパリの職人にトレーディングポストが別注を掛けて誕生した靴なので、まだまだ若いモデル。
そう、実はクロケット&ジョーンズで古くから作られている「ドレスシューズ」は今ではあまり残っていないんです。
それでは、クロケット&ジョーンズの靴ではチャートシーやキャベンディッシュのようなオールドモデルは現在存在しないのでしょうか?
いいえ、それがあるんですね~。
今回紹介するCONNAUGHT(コノート)がまさにそれです。
クロケット&ジョーンズ CONNAUGHT(コノート)
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クロケット&ジョーンズのCONNAUGHT(コノート)はイギリス靴らしい、曲線が柔らかいラウンドトウ、ショートノーズ、ショートキャップが特徴です。
チャーチのラスト73のようにスクエアではなく、エドワードグリーンのラスト202のようなエッグトウ気味なトウはイギリス靴の王道です。
レギュラーラインの靴なので、ソールはオープンソールになっています。
また、今では少し珍しくなってきた小ぶりなキャップもクラシカルさを演出します。
フィッティングは少々難しく、横幅は割と緩やかなのですが、捨て寸は短めなので、つまりがちです。
私はラスト236であれば、通常のUKサイズよりもハーフサイズあげて履きますが、横幅は余りが出てくるのです。
なので、ハーフサイズあげても、きっちりと横が固定されることで、靴の中で足が前ずれしないような、幅がある程度ある方にお勧めしたいラストです。
使われているラストはラスト236というもので、 ビンテージのクロケット&ジョーンズでたまに見かけるラストです。
1961年に誕生したラストなので、もう50年以上も前に作られていたことになります。
昔はOEMメーカーとして黒子に徹していたクロケット&ジョーンズは、滅多にそのビンテージシューズを見かけることはありません。チャーチ、グリーン、チーニー、グレンソンなどはビンテージシューズがそれなりの値段で取引されているものですが、クロケット&ジョーンズに関してはほとんど見かけません。(クロケット&ジョーンズのビンテージシューズはギョーザ靴のような、めちゃくちゃダサいものが散見されることも要因だと思います)
なので、ラスト236を使用した靴自体お目にかかる機会がないのです。
クロケット&ジョーンズの本国ホームページをご覧頂ければお分かりいただけると思いますが、現在ではこのラスト236を使用しているモデルは、コノートのみになっているので、実質的にコノート専用ラストとなっているのが現状です。
クロケット&ジョーンズはラスト337など、比較的新しいラストの靴は、きっちり何年に生まれて、どういった経緯で作ったもので、どんなサイズ感なのかを詳細に説明しているのですが、このラスト236に関しては、全くラストの説明もなく、非常に寂しい状態になっています。
こうしてみると、クロケット&ジョーンズは現代的なラストを打ち出したがっているのは明白なのですが、私はせっかく歴史のあるメーカーなのだから、こういったラストを大切にしてもらいたいとも思うのです…。
見た目の部分で言うと、イギリス靴全体を見ても稀有な存在となってきたショートノーズのエッグトウなので、古き良きイギリス靴を求める人は、オードリーじゃなく、絶対にこのコノートを選ぶべきだと思います。
フィッティングではなく、見た目重視、雰囲気重視、ファッションのバランス重視でこの靴は買うべきなのだと私は勝手に思っています(笑)
3ピーススーツなど、きちんとした格好に間違いなく合う靴ですから、冠婚葬祭用にストレートチップを考えている方はぜひ、コノートも検討してみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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