なぜ定番モデルがイギリス靴にあって、イタリア靴にはないのか?その違いを解説します

先日より続いているイタリア靴のサントーニを紹介の記事を読んで、皆様も気になっていることがあるかもしれません。

それはイタリア靴のサントーニにはモデルネームがつけられていないこと。

イギリス靴ブランドの常識を当てはめれば…

例えばサントーニで、ずっと変わらないストレートチップの1つくらいあって、それに対して「ジェノヴァ」だとか「リヴォルノ」だとか「トリノ」なんて地名をモデムネームにしたり、「アンジェロ」だとか「アレッサンドロ」みたいな人物名を付けてみても良さそうなものです。

しかし、先日まで紹介したサントーニの靴には1つもモデムネームはつけられていません。

数字とアルファベットを羅列した管理番号だけがついています。

モデムネームがついていないこと…

それはつまり代表的で、ブランドの顔となるモデルが設定されていない、ということに繋がっていきます。

サントーニの代表モデルって何?

さて、ここで質問です。

サントーニの「代表モデル」は何でしょうか?

サントーニの場合、イタリア靴ブームが爆発したときに、サイドレースのスタイルがよく雑誌でも紹介されていたような気がします。

バランスがよく取れた美しいスタイルの靴です。

しかし、これがサントーニの代表モデルかというと…ちょっと疑問を感じずにはいられません。

と、いうのも今このサイドレースを売っているお店は日本でどれだけあるのでしょうか?

リアル店舗はおろか、これだけがネットショップが発達した今日において、ざっと探してみてもこのサイドレースを買うことのできるショップは見当たりません。

もしも、このサントーニのサイドレースを代表作とするならば、今手に入らない状況というのは…

エドワード・グリーンでいえば、チェルシーがないかのような。

クロケット&ジョーンズでいえば、オードリーがないかのような

チャーチでいえば、ディプロマットがないかのような。

こういう感じに近いでしょうか。

かつて絶大な人気を誇ったサントーニのレザースニーカーも名前がほとんどついていません。

名前が残っているのは「メンフィス」くらいでしょうか。このモデル名だって、よほどのファンでない限り名前は出てきません。

こんなことは名の通ったイギリス靴ブランドではほとんどありえない話です。

その代わりイタリアの靴はどんどん新しい作品を生み出していきます。

いったいどうしてこのようなことになるのでしょうか。

今回は2大高級革靴の製造国の代表となっている、イギリスとイタリア。その違いをイギリス靴はなぜモデルに歴史が積み重なり、イタリア靴は定番がなく次々新しいモデルが生まれるのか、という視点で語りたいと思います。

イギリス靴は「ストックビジネス」に近い

「ストックオーダー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

最近だとブリティッシュメイドを運営する渡辺産業が取り扱っているイギリス靴ブランド、CHEANEYで行っています。

これは現状自分の欲しい靴がない場合、本国の倉庫にある大量の在庫から、ピンポイントで取り寄せが出来るというものです。

イギリス靴ブランドはストックビジネスを行うブランドが多いです。

なんでも、イギリスは在庫に対する資産税がかからないそうで(イギリス靴を扱っている靴屋さんに聞いた話だと)、大量に定番モデルの靴を作って、安定的に供給をするというものです。

毎月、今年、翌年の売り上げ見込みが立てやすく、安定した経営をすることが出来ます。その効果は財務基盤の安定、従業員の安定雇用など色々なメリットがありますが、一方で保守的になり、改革が遅れるデメリットもあります。

定番商品があって、時代性を取り込むのに時間がかかるのは、まさにストックビジネス、イギリス靴の特徴です。

それはそうですよね。大量に作った靴をさばいて、資金を得ない限り、新作を作ることはなかなかできないですから。

もちろん、経営面でなく、保守的なものを好むイギリスのお国柄がストックビジネスを今まで選んできたのかもしれません。

イタリア靴は「フロービジネス」に近い

イギリスの税金事情に対して、イタリアは在庫に税金がかかるようになっているそうです。これは日本も一緒で、フランスなんかも一緒のようです。

ですから、なるべく自社で在庫を抱え込まないようなビジネスモデルになっていきます。

それはさながら「フロービジネス」のようです。

「フロービジネス」のフローとは英語のflowから来ていて流れという意味です。

フロービジネス(フロー型ビジネス)とは1回の取引でお客さんとの関係が(一旦)終わってしまい、継続的な売上を上げることができないビジネス形態です。

流れていくものなので貯まることがありません。もちろん継続的に購入してくれるお客さんもいますが、その都度取引が発生して物やサービスと代金を交換したら一旦関係性が終了します。次の購入を約束しているわけではありません。スポット、単発の売上なのです。

事実、先ほど紹介したサントーニのレザースニーカー、「メンフィス」は復刻を求める声が多いわけですが、ごくまれにしか復活しません。

 www.daimaru.co.jp
インポートカジュアルシューズの大丸松坂屋限定モデルが登場 【大丸神戸店】
https://www.daimaru.co.jp/kobe/topics/2017031460171.html
エドワードグリーンに続いて、今回も大丸松坂屋限定モデルがイタリアより届きました。 レザースニーカーの名品復刻や注目ブランドの神戸店限定商品など、バイヤーの思いの詰まった限定商品が登場です。

大丸で2017年に復刻していますが、リンク先の文章を読んでいただいてもわかるとおり、本当に「必要な数だけしか作らない」というビジネススタイルが透けてみえてきます。

フロービジネスと言い切るまで、極端ではありませんが、基本的にイタリアの靴は、このフロービジネスに近いわけです。

小売店がオーダーする数だけ都度作り、そこで売り切ったら、そのモデルはお蔵入りです。

そういう意味で考えてみれば、6年前買ったサントーニの靴を気に入っていて、全く同じものを今買おうとしても、手に入らないので、やはり「フロービジネス型」といえなくはないでしょう。

その代わり在庫を大量に抱えずに済むわけです。

それはつまり売れない失敗作を抱え込む恐れも少ないということです。

ですから、その時代時代に求められているスタイルの靴を柔軟に作り続けることができるのです。

革新的なビジネスモデルはイタリアのお国柄?によるものなのかもしれませんね。

どちらのスタイルが好みかは個人個人の自由です

今述べた違いが、イギリス靴に定番商品が生まれ、イタリア靴が先進的な靴を作り続けるという、差の理由です。

どちらにもそれぞれ良い点と悪い点がありますので、どっちの方が魅力的に映るかは人それぞれだと思います。

輝けライフ!としては、イタリアの柔軟性もとても好きですが、やはりイギリス靴のような時代に左右されない絶対的価値観を確立するほうが好きです。

基本である黒のキャップトウやセミブローグなどを履き込み、自分をとりまく空気の一部になるまでに極めれば、時代を感じさせない知性を感じさせる研ぎ澄まされたスタイルが完成すると信じています。

そうなれば、時代性など考慮する必要のないストイックなスタイルへと傾倒していくことになりますが、ストイックなスタイルは何にも邪魔されることなく、いち個人の魅力を存分に引き出すことが可能です。

なんて、最後に偉そうなことを言ってしまいましたが(笑)

自分のスタイルを確立するのは、とても時間がかかりますが、人生をかけて取り組むべき「一大事業」のようなものだと最近感じています。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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