サイト運営が始まってから半年が経ち、こてこてのブリッティシュモードから一転。
イタリアはSantoni(サントーニ)の靴を日々紹介しています。
実際、私もイギリスの靴ばかりを日々履いていますが、イタリア靴もいくつか持っていますし、履くこともあります。
その中でもやはりサントーニは非常にレベルが高く、よほど趣味性の高いデザインの靴でなければ、意外にトラッド調スーツに合わせても、おかしくない…
どころか!
「ブリッティシュクラシックな」という言葉で逃げ道を作って、デザインに磨きをかけていない変な靴を履くよりもむしろカッコよく、様になることがあります。
決してEntebbe(エンテベ)の悪口を言っているわけではありません(笑)
これはイタリア製の軽い仕立てのスーツやジャケパンスタイルに、クロケット&ジョーンズのナチュラルにシェイプの利いたモダンなラストの靴が合うのと似ているかもしれません。
イタリアらしい生地のスーツスタイルといえばソラーロです。ソラーロはブラウンが特にきれいで、独特な玉虫色のカラー魅力的です。しかし、ソラーロのスーツは申し訳ないですが、日本のビジネスシーンにおいてはあまりに華美です。
まあ、そこはいったん置いておいて…。
イタリア風のスーツスタイルに、チャーチのディプロマットのブラウンスエードを良く合わせるというお話をされるのがユナイテッドアローズの鴨志田さん。
写真の靴がディプロマットかどうかわかりませんが、まあクラシカルな雰囲気の靴です。ディプロマットっぽくも見えます。もちろん、これがディプロマットであっても何の違和感もないでしょう。
こんなスタイリング、神田や新橋あたりで働いているサラリーマン諸兄にはありえないでしょうが、ともかくむちゃくちゃお洒落。
ブラウン系スーツの着こなしといえば、忘れちゃいけないジェームズ・ボンド。
スペクターで着ていたダニエル・クレイグのジャケパンスタイルはあまりに見事でした。
ちなみに着ていたのはブルネロ・クチネリ。ダニエル・クレイグは普段から私生活でもクチネリの服を愛用していて、このスタイリングになったのだとか。もちろん、007ファンなら当然気づくでしょうが、これはゴールドフィンガーのジャケパンスタイルのオマージュでもあるのです。
クチネリはその値段も目が飛び出るほど高いのですが、それはともかく、このようなカラーリングの組み合わせはとてもお手本になります。
そして、こういう軽い仕立てにも当然イギリス調の靴は合うはずです。
前置きが長くなりましたが、この逆転現象は、真面目なトラッド調のネイビースーツにおいても起こります。
つまり、今時のトラッド調スーツにでもイタリア靴は合う、ということです。
仕立ての良いイタリア靴は守備範囲もとても広いもの…。
サントーニの靴を集めてみました
では、サントーニにはどんな靴があるのでしょうか?
もちろんこのような…
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オーソドックスなストレートチップは全く問題なく、スーツスタイルに合います。
トウもイタリア靴らしからぬ穏やかに丸みを帯びています。
よ~く見てみると、6アイレットになっていてどことなくアメリカ靴の香りも漂ってきます。(6アイレットはアメリカ靴お得意のディテールです。1940年代に流行したともいわれます)
それでいて、イギリスのスクエアトウのようなガチガチな雰囲気ではないですし、アメリカ靴のような野暮ったさなどみじんもなく、やはりこれはイタリアの靴だと感じるエッセンスが盛り込まれています。キャップの大きさ、ヴァンプとレース部分までのバランス感、絶妙です。
私は「内羽根のストレートチップは絶対に黒!」と思う意固地な人間ですが…
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この色違い、サントーニのブラウンストレートチップは普通に履きたくなります。
当然カラーは熟練の職人たちが一足一足ハンドパティーヌを施すために、深みのある色合いに。ストレートチップにセクシーさが宿ります。
製法はブラックラピド製法で出来ているため、履き心地は柔らか、それでいて耐久性もあるというワガママな願いをかなえてくれる靴です。
お次はホールカット
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ホールカットとは一枚の革で成型した靴のことです。
シンプルなスタイルゆえに、ラストの美しさが肝要です。
また、しっかりした革でないと、ホールカットはラストへの吊り込みができないため、その革も品質の良いものになってきます。そもそも一枚革で靴の形にするのは非常に難しいことで、美しいホールカットを作ることができるメーカーは信用できるメーカーといえるでしょう。
このホールカット、よく見ると、履き口の内側にくぼみがあります。
これは踝のフィッティングを高め、また踝の擦れを起こさないように考慮しているのでしょう。また、視覚的にも斬新です。
3アイレットになっているレースステイの先端のカットは大きな丸みを帯びています。
これも結構珍しい雰囲気。
レースステイの先端はすぼまるものですが、サントーニはこのような細かい部分に柔軟な発想と、ちょっとした変化を与えることで靴に色気をもたらしています。
靴単品で見ると興味深いデザインになっていますが、普通のスーツに取り入れてなんら問題なし。
そして、最後に面白い羽根回りのプレーンメダリオンシューズ。
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正面から見ると独創的ですが、横から見るとシンプルでアクを全く感じさせません。
羽根回りにもパーフォレーション(穴飾り)がない、プレーントウメダリオンというデザインは、ガジアーノ&ガーリングのような先鋭的なブランドでもない限り、イギリス靴ではなかなか見かけません。(ジョンロブの既製品はもはやフランス靴ブランドなので例外)
あのデザインに自由なクロケット&ジョーンズでたまにやるかどうかのレベル。
こういうデザインの自由さはイタリア靴ならではです。
トラッド調とはいえ、最近はパンツの丈も短く、ツープリーツが一時復権しているとはいえ、裾に向かってテーパードさせるモダンなデザインが多い中です。こういう靴を今時のトラッド調スーツに合わせることは着こなしの幅も広がり楽しいでしょう。
もちろん相棒の杉下右京のようなガチガチのトラッドスタイルには組み込むのはおススメできませんが。
私自身も以前サントーニの靴を履いていましたが、とにかく履き心地が柔らかいので、ついつい履いちゃうんですね。
仕立ての良い靴はいつでも新鮮に履けます。
イギリス靴ばかりで飽きたという人は、サントーニに目を向けてみてはいかがでしょうか。
ストレートチップからであれば、かなりハードルも下がりますし、おすすめです。
最初に紹介した鴨志田さんのファッションスタイルにイタリア靴もばっちり決まるはずです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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