今までイギリス靴やイタリア靴を紹介してきましたが、今回はフランスの靴を紹介していきたいと思います。
世界はとっても広い!まだまだ当サイトでは紹介しきれていない靴がたくさんあるのです。
フランスの靴ブランドも、今では数えるほどになっていますが、今残っているブランドの多くは世界中に顧客を持った有名ブランドばかりです。
今回は、これぞフランス靴と言えばこれ!といえるブランドを紹介します。メンズ雑誌を見て見かけないときはないほど人気のあるブランド、Paraboot(パラブーツ)です。
目次
Paraboot(パラブーツ)の歴史
19世紀の後半。アルプス山脈の麓にある小さな村、Izeaux(イゾー)から始まりました。1878年にある質素な農家に生まれたRémy-Alexis Richard(レミー・アレクシス・リシャール)は、学校等の教育機関を経ることなく、イゾーにある靴工房20軒の一つ、Chevronの靴革裁断師 となります。
このレミー氏こそ、のちに「パラブーツ」ブランドを設立する人となります。
グッドイヤーウェルト製法などの技術が発展、近代式の工場が設立されるまでは、分業で靴を作ることは珍しいことではありませんでした。今なお残るイギリス靴ブランドも皆、その始まりは当時分業制だった革靴作りを近代工場に集結させたものです。
レミー氏は、働き始めてすぐに、自分が働く工場のオーナーよりも大きな村の仲買人達の方がより多くのお金を儲けていることに気づき、工場のエージェントとして、自分でデザインしたモデルのデッサンを持ってパリに行きます。これが受け入れられます。
彼は自分が働いていたイゾーの工房に、自分がデザインした最初の靴を製造させ、パリの上流階級のお客に販売します。そして、1908年にレミー自身で、従業員を雇い始めます。
彼の挑戦心はとどまることなく、様々な国に出かけてはトレードショーに出展していました。1926年、アメリカに赴いたレミー氏はアメリカ人がラバーのブーツを履いているのを目にし、これに着目します。そのラバーソールに使われているのは、ラテックスと呼ばれるゴムでした。
レミー氏はこの素材を自身の靴に導入するべく、 Tullins(チュラン)というイゾーの隣町にある新しい工場に、ラテックスと製造方法を持ち帰ります。
そして新たに靴のソールにラバーを用いる技術を確立させた彼は、1927年にParboot(パラブーツ)の名前を商標登録します。これは、ラテックスを輸入するアマゾンの港「Para」と彼がアメリカ合衆国で発見した興味深い「ブーツ」を合わせた名前です。
1937年にはレミーの息子であるJulien(ジュリアン)が入社し、彼へと経営が移っていきます。
皆さんご承知のとおり、このころは世界大戦などによって、物資の供給が極端に減っている時期です。
セメント製法の技術が確立し、安価で、大量に、迅速に供給できる靴が主流の時代の中、ジュリアンはパラブーツの靴をノルウィージャン製法とグッドイヤーウェルト製法という伝統的な製法で作ることを決意しました。
余談ですが、ビンテージシューズやビンテージの洋服が好きな方では有名な、イギリスの「CC41」製品が作られていたのもまさしく世界大戦真っ只中の同時期です。「CC41」とは世界大戦による深刻な物資不足を危惧したイギリス政府は、衣類・家具にも余分なコストを掛けないよう制約を設けます。 1941年のことです。 そして、その政府管理の下、規格を通ったものに付いたのが、「CC41」のマークです。戦争のためにありとあらゆる物資の使用を厳しく取り締まった時期に作られたもので、このころのイギリス靴を見るとインソールに「CC41」のプリントがされています。
相当物資に困った時代だったんですね。さらに余談ですが、この深刻な物資不足ゆえに、ダブルのスーツを作ることも禁止され、シングルのスーツが出回るようになります。一説ではシングルのスーツが現代にいたるまで、広く出回るきっかけとなったのが、この「CC41」政策だといわれます。
この難所を今なお残るパラブーツの名作、MORZINE(モジーン)、第二次世界大戦集結の年である1945年にはMichael(ミカエル)を生みだし、切り抜けていきます。なお、このミカエルは、3代目社長となるジュリアンの息子、ミカエルの誕生を記念して創り出されたモデルです。
商品を生みだすことを得意としていたジュリアンでしたが、経営の方は得意ではなく、オイルショックや安易な借金を重ねていたために経営危機を迎えます。
そこで、1973年に息子のMichael(ミカエル)を社に呼び入れます
この頃のビジネス界では、厳格さが求められ、社会と銀行関係すべてにおいて、厳しい規定を守らなければならなくなりました。1979年、ジュリアンは銀行の態度に完全に嫌気がさし、息子のミカエルに経営を任せ退任することになります。
ミカエルはコストカットや銀行の融資に頼らない経営を目指しますが、1983年の終わり頃、ミカエルは破産の申し立てをします。しかし、組合と商事裁判所はこの会社の未来に信頼を置き、経営続行を承認します。
そうしているうちにイタリアのスタイリストの間で、今なお人気モデルとして名高い「ミカエル」が注目を集め、大流行となりました。これにより工場には注文依頼が殺到しました。
ミカエルがParaboot倒産の危機を救い、経営を立て直したのです。
その後1987年までにパリ、リヨン、ニースといったフランスの主要都市に直営店を開店し、ますます人気を高めていきます。
2015年にはミカエル生誕70周年(靴もミカエル本人共に)を祝うイベントをしています。
アイコニックとなっているチロリアンシューズだけでなく、フランス海軍に採用されるデッキシューズを作ったり、フランスの騎馬警官に採用される乗馬ブーツを作ったり、ドライビングシューズにチャレンジしたりと、パラブーツの躍進は止まりません。
アイコニックモデルはMichael(ミカエル)
そんな歴史の深いパラブーツですが、やはりアイコニックモデルといえば、Michael(ミカエル)でしょう。
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1945年、3代目社長のミカエルが生まれたのを祝って作られたこのモデルは、1980年代の経営危機も救ったのです。
いわゆるチロリアンシューズと呼ばれるもので、アルプス地方の登山靴が出自の、親しみやすいフォルムと裏腹に強靭な作りとなっています。
ミカエルにはアザラシのファーやリスのファーが甲革を飾っていたことで有名です。今はこれらに変わってポニー、ラビットのファーなどがつけられてます。
その多くはノルウィージャン製法を取り入れたもので、防水性があり、パラブーツの看板となっているラテックスのラバーソールも頑丈です。ハードユースに耐えうるタフな靴として、実用性にも富んだ靴になります。
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このミカエルは基本的に休日のスタイルに活躍する靴です。
デニムに合わせたり、チノパンに合わせたり、ショーツにも合わせられる万能シューズです。
丸っこい靴なのに、履くとフレンチな上品さが表れるのは、さすがフランス靴といったところです。
スエードのミカエルも面白いですよね。
これからのシーズンであれば…
こんな感じでシアサッカーのジャケットと短パンに合わせてみても
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素敵ではないでしょうか♪
このミカエルの黒の表革であえてスーツに合わせるという人もいます。
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自分のスタイルに幅広く合わせられるからこそ、パラブーツブランドのアイコニックシューズとなっています。
その理由も納得です。
パラブーツには人気モデルがたくさん!
パラブーツは何もミカエルだけが魅力的なわけではありません。その他にもたくさんの人気モデルがあります。
と…これ以上は長くなるので、今回はここまで。
これからパラブーツの各モデルはどんどん紹介していきますよ!
お楽しみにお待ちください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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