革の紐靴には、大きく分けて2つのデザインに分かれます。
1つは内羽根式、そしてもう1つは外羽根式です。
両者の違いを教えてくれる学校の先生もいないですから、この2つのデザインがどのように違うのか知らない方も多いかと思います。
今回は2つのデザインの違い、そしてそれぞれどういった場面に相応しいのか、徹底解説いたします!
目次
どっちが内羽根?外羽根?
まずはこちらの写真をご覧ください。
この2点のどちらが内羽根か外羽根かお分かりになりますか?
答えは向かって右側が内羽根、左側が外羽根となります。
何が違うのかというと、言葉のとおり、「羽根」の部分になります。
「羽根」とは靴の用語で、紐を通し、結ぶ部分を形成している革パーツを指します。
その部分に着目し、両者を比べてみると…
羽根の部分が甲革と一体になっているものと、外側に取り付けられたように縫い付けれたものという違いがわかります。
内羽根式は品格の象徴です!
まずは内羽根式について紹介していきます。
今回写真で紹介したのはChurch’sのConsulというオーソドックスな内羽根式のストレートチップシューズ。
最もフォーマル度が高く、冠婚葬祭から、大事なビジネスシーンまでのシーンをカバーできる靴です。
ストレートチップのデザインでなくても、内羽根式というだけで、かなりきちんと見えるのが特徴です。
「内羽根」とは羽根が甲まわりと一体に縫い付けられたデザインのものを指します。
フォーマル度が高い秘密はそのルーツにあります。イギリスの王室でアルバート公が1853年にこのスタイルでミドルブーツをオーダーしたのが起源と言われています。
こうして内羽根式の靴は当時の正装であるパンプスから、主にフォーマルユースや室内執務用の靴として普及してゆきました。
羽根の部分が全開しないため、外羽根の紐靴に比べるとフィット感の調節には劣ります。
しかし、見た目の気品の高さから、フォーマル感にあふれ、誠実さを表す象徴となるこの靴は、冠婚葬祭などの場面で履くべきでしょう。
なお、この形状の靴はイギリスやアメリカではバルモラル(Balmoral)と呼ばれます。この名称はアルバート公が過ごしたスコットランドのお城に由来しています。
特に短靴の場合は、イギリスではオックスフォード周辺の大学生が好んで履いたということからオックスフォード(Oxford)と呼ばれる場合も多いです。
快活な印象と機能面で優れる外羽根式
甲革に別のパーツとして、外側から縫い付けられているのが「外羽根式」と呼ばれるものになります。
この靴のルーツは、軍用の実用靴にあります。1815年に「ワーテルローの戦い」で、初めて使われたそうです。
特徴は羽根の部分が全開するので、着脱が比較的素早くできるうえに、フィット感の調節も容易にできる点に優れています。
特に甲が高い人には、羽根の圧迫が内羽根式のものと比べて強くないため、助かる構造になっています。
以後狩猟用ブーツや屋外労働用など一般的にも広く浸透します。1860年代にはブーツだけではなく、今日の一般的なシューズにも採り入れられて現在へとつながっています。
鳩目部分の形状が競馬のゲートに似ているため、この形状の靴はイギリス・フランスなど主にヨーロッパ諸国ではダービーとかデルビィ(Derby) と呼ばれます。アメリカにおいては考案者のゲルハルト・レーバレヒト・フォン・ブラヘル苗字を英語読みし、ブルーチャー(Blucher) と呼ばれるようです。
まとめ
今回のまとめを簡単に行うと以下のようにいえるのではないでしょうか。
- 内羽根式と外羽根式は縫い付け方が異なり、そのルーツが違う
- 冠婚葬祭や重要な場面では内羽根式を使う
- 外回りの多い、よく歩く日などは外羽根式が快適
特に甲が高い人には、外羽根式のほうが羽根の圧迫が内羽根式のものと比べて強くないため、助かる構造になっています。
しかし、ルーツを辿れば、戦争用の実用靴。どうしてもかしこまった印象にかけるのは否めません。
内羽根式はフィット感の調節は外羽根式に比べ劣りますが、その靴に現れる品格の高さに、外羽根式は及びません。
つまり、これら2つのデザインとその特徴をよく理解し、使い分けるのがデキる大人の男!
内羽根式と外羽根式の靴を場面場面で使いこなしていきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。