エドワード・グリーンは高級イギリス靴の中でも、とりわけ高価な靴ブランドの1つです。
その作りの良さは、ジョン・ロブにも引けを取らないレベルです。イギリス靴ブランドの双耳峰といっていいでしょう。
グッドイヤーウェルト製法という靴の中でも工程数の多い製法を採用しつつ、昔ながらの手作業も組み込みながら作られる靴から生まれる履き心地の良さは格別です。
今回はこのエドワード・グリーンの歴史、名ラスト、名作を紹介していきます。
目次
エドワード・グリーンの歴史
1890年、エドワード・グリーン氏はノーザンプトンの小さな工場で紳士用の手作り靴を作り始めました。
瞬く間に「英国でも稀代の才気煥発な靴職人」として名声を上げることになります。
そのような名声や名誉を得る背景には、彼の美徳を追求する信条や卓越した職人技がありました。
創業者のエドワード・グリーン氏の哲学は
「でき得る限りの上質を求める」というものでした。
氏の明快な哲学のもとに今日にも引き継がれ、1足1足ふんだんに手作業を入れながら作り上げています。
作りだけでなく、最高級品質のカーフスキンなどを惜しみなく使うことによって、柔らかな履き心地を生み出すのです。
1979年になるとエドワード・グリーンの革靴部門は創業者の息子達の手によってアメリカ企業に売却されました。
そのため一時はアメリカ資本のイギリス靴となっていた時代があったのです。
しかし、アメリカ企業の資本が入った後も振るわず倒産寸前まで衰退したのです。
そこで救いの手を差し伸べたのが、イタリアで靴デザイナーをしていたジョン・フルティック氏でした。
1983年、氏はエドワード・グリーンが抱えた負債額に1ポンドをプラスして買収しました。
これは有名な話で、このジョン・フルスティック氏経営下の時代に作られたエドワード・グリーンを旧エドワード・グリーンと呼称します。
1995年にはエルメスがライセンスを所有するジョン・ロブ(パリ)の既製靴のOEMを手掛けました。
エルメスはその卓越した技術力を称賛し、エドワード・グリーンの買収を持ちかけたのです。
エドワード・グリーンはフランス進出をするために、エルメスと共に歩む道を選びましたが、最終的にこのフランス進出は振るわず会社を売却せざる得ない状況となってしまいました。
結果、100年以上続いた工場ごとエルメスに買収されてしまったのです。木形も差し押さえられてしまいました。
これこそが現在のジョン・ロブの工場になっています。
この買収劇によってエドワードグリーンの代表とも言える202ラストも
エルメスによって使用不可能となってしまったのです。
これが革靴愛好家の間で伝説となっている旧202ラストです。
現行の202ラストと比べて、より丸みの強いトウが特徴的な木型でした。
工場もラストも失ったエドワードグリーンでしたが、ブランド再建のために職人たちは新たに革靴工房を立ち上げたのです。
そして2004年デザイナーに、ガジアーノ&ガーリングの創業者である、トニー・ガジアーノ氏が就任し、かつての栄光を再び掴めたのです。
こうしてエドワード・グリーンは高級イギリス製革靴として復活を遂げます。
現在は女性社長のヒラリー・フリーマン氏のもとで経営指揮によって、丹念に作られたグッドイヤーウェルト製法の靴と、女性の社長らしい艶やかで革新的なモデルも積極的に発表するブランドとなっています。
機械製とは言いますが、昔ながらの機械は今現在使われている機械よりも、ずっと多くの手作業が必要です。
そのため、今も昔も少量生産・品質重視の経営指針は守り続けられているのです。
名だたるブランドの靴のOEMを手掛けています
ラルフローレンやポール・スチュアートなどの著名ブランドの靴をエドワード・グリーンがOEMで手掛けていることも多く、旧工場製のものも含めれば、その種類の多さも数え切れないほどあります。最高級の素材を贅沢に使用した作りは世界に名だたるブランドもうならせているのです。
エドワード・グリーン人気の秘密はラスト(木型)にあり
エドワード・グリーンの人気の秘密はずっと受け継がれつつ改良を重ねてきたラストにあります。
特に人気のラストは「202」、「32」、「82」の3種類の木型。こちらをひとつずつ紹介していきます。
ラスト202
ジョン・フルスティック氏は生前、ラスト(木型)202はポルシェ911からインスピレーションを受けたものだと語っていました。
エドワード・グリーンの中のエドワード・グリーンとも呼べる代表的なラストです。
これぞ英国靴といった、エッグトウとインサイドストレートの型から生み出される美しい曲線の連続は芸術品とも呼べる完成度の高さ。
この202ラストとストレートチップのモデル「チェルシー」はエドワード・グリーンのフラッグシップモデルです。
ラスト32
ラウンドトウながら細身にシェイプアップした木型です。
かといって、よほど幅広の足でない限りは、ピッタリとしたホールド感を約束してくれる素晴らしいラストです。
このラストを用いた名作と言えば、スキンステッチUチップの「ドーバー」。
Uチップというと、どうしても野暮ったい印象になりがちですが、この「ドーバー」は全く野暮ったさがなく、世界中の靴ブランドの中でも代表格となるUチップです。
ラスト82
このラスト82は2004年秋に誕生した若いラストです。トニー・ガジアーノ氏が手掛けた渾身のラストとなっています。
基本はラスト202と同じくエッグトウでインサイドストレートのラストです。
違いはこのラスト82の方が、より細身になっており、結果としてつま先にかけての雰囲気もノーズが長く見え、スタイリッシュなラストとなっています。
エドワード・グリーンの名作3選
その他のイギリス靴と違って、エドワード・グリーンの面白いところは、ラストが変わってもモデルネームが一緒という点です。
たとえば、これから紹介する「チェルシー」というモデルはラスト202でもラスト82でも「チェルシー」です。この点を抑えましょう。
①チェルシー
スワンネックの意匠が入った内羽根のストレートチップの靴で、エドワード・グリーンのフラッグシップモデルです。
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これを語らずにエドワード・グリーンは語れません。
やはりラスト202が使われた、程よい丸みのあるエッグトウの木型がよく合う、ストレートチップの完成形とも呼ぶべき靴になっています。
②カドガン
内羽根のセミブローグの靴です。特徴的なメダリオンを見れば一目でエドワード・グリーンのカドガンとわかるほど美しい靴です。
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セミブローグの名作というと、チャーチのディプロマットも著名ですが、こちらのほうがより上品な印象です。
セミブローグで著名なモデルはこのカドガンとチャーチのディプロマットくらいで、そのほかのブランドではあまり完成されたセミブローグは見ないものです。
最高のセミブローグシューズを探している人はこのカドガンを選んではいかがでしょうか。
③ドーバー
Uチップの靴を、野暮ったくないドレスシューズに仕立て上げているのがこのドーバーです。
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このドーバーはラスト606のモデル。
ですが、やはりラストは32を使ったドーバーがおススメです。ドーバーをドーバーたらしめているのが、この細身のラストでしょう。
つま先のスキンステッチ(縫い目を外に出さず、革の断面と断面の間を縫い合わせる超高等技術)の美しさも際立っており、いまだに手作業を惜しまず作っている同ブランドの靴の品質の高さを外見からも納得できる靴になっています。
ここではエドワード・グリーンの他の名モデルを紹介しませんでしたが、あいて3選するならこの3つでしょうか。
その他のモデルやラストについても今後当サイトで紹介していきますので、楽しみにしていて下さい!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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