今回の記事は、私が前々から思っていたことを、思いのまま書き連ねる雑記です。
このサイトを立ち上げてから、ありとあらゆる靴ブランドを紹介してきました。
私自身、色んなブランドの靴を手にしてきましたし、履いたことのない靴は実際に休みになるたびに東京に出向いて手に取って靴を確かめるようにしています。
本当であれば店内で写真をとってレポートしたいところですが、それは許されないので、もどかしかったりします。
私自身、エドワードグリーン、チャーチ、クロケット&ジョーンズ、オールデン、パラブーツ、ハインリッヒディンケラッカー、リーガル、ペルフェット等々。
様々なのブランドを手にしましたが、今では手元に残っているのはほぼチャーチの靴です。
今回、私が靴を沢山手にしてきた経験を通して、色んなブランドの靴をスタンプラリー式に買い集めるスタイルについて一言申したいと思います。
目次
色んな靴ブランドの靴を履く?それとも一本集中?
革靴にのめり込み始めると、色んな靴のブランドを手に取ってみたくなるものです。
それ自体は全く悪くありません。
軽快な履き心地とスラっとした見た目、そしてエレガントな雰囲気を追求し、体現するのであれば、オールデンのコインローファーを選ぶというのは愚の骨頂でしょう。
そんな時はイタリアのマッケイ製法で出来たローファーを選ぶ方が素敵です。
オールデンの靴が悪いということを言いたいのではありません。
がっちり体型の方が、これからの季節ミドルゲージのラルフローレンのショールカラーカーディガンと…
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リーバイス501。こてこてのアメリカンジーンズ
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とローファーを合わせれば、、、
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ちょっとワイルドなお兄さん系アメリカンファッションの完成です。
これがトップスがネイビーのブレザーなんかになれば、そのアメリカンな雰囲気は一気に加速します。
ポイントはショールカラーのカーディガン。これを昨日触れたチルコロやクルチアーニといったイタリアブランドにすると、言葉ではなかなか伝えきれないほど一気にイタリアンな雰囲気になります。
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伊×米の複合ファッションも素敵ですが、エレガント路線を追究するならオールデンのローファーをミスチョイスになります。
このように靴と服の組み合わせで、自分の打ち出し方は無限大に変わるので、靴というのにのめり込み始めると、楽しくて仕方ありません。
1足持っていてもそのブランドの事はわからない
靴が好きで色々履いているうちに陥るのが「スタンプラリー」です。
1ブランドにつき1つの靴を手にする、言葉のとおりスタンプラリーさながらに靴を集めてしまうこと…。
たったひとつ、そのブランドの靴を手にしたからといって、そのブランドの靴のすべてを知った気になるというのは、私から言わせれば甘すぎます。
例えば、もしあなたがエドワードグリーンのチェルシーを1足持っているからといって、硬い履き心地だのなんだのと、そのブランドの靴全てを決めつけるように評価することは到底できません。
その手元にある靴を評価することは出来ますが。
実例を出しましょう。
たとえばグレンソンの靴。
最近のグレンソンのフットマスターの靴は、非常に柔らかいコルク材が使われているためか、履き馴染んでくると、ムニュムニュとした柔らかい履き心地になるものがあります。
これは他のイギリス靴では味わったことのない独特な履き心地です。
しかし、私が持っていたグレンソンのフットマスターの靴はムニュムニュはしませんでした。これは製造時期などが違うからでしょう。
カバ革のグレンソンもムニュムニュしていませんでした。
今のグレンソンのフットマスターシリーズがムニュムニュするかどうかは、正直私はわかりません。
チャーチを30足以上持ってみても、いまだに謎だらけ
私は今まで特にチャーチの靴をよく買って集めていました。手元から離れていったチャーチも多いので、実際手にした靴は30足以上かもしれません。あまりに多すぎて数え切れません。
例えば、薄っぺらい雑誌の情報だけ掻い摘まんだチャーチ像を考えると…
☆コバが張り出していて昔ながらの質実剛健のイギリス靴→コバが張り出していないモデルもあります。特に昔のチャーチはコバが張っていないものも良く見受けられます
☆昔からソールは実用性重視で伏せ縫いはしない→伏せ縫いをしないのは単なるコストカットです。
確かに実用面では伏せ縫いだろうと出し縫いだろうと変わりません。これでいわゆるガッチリした質実剛健な雰囲気になります。
さらに言えば今でも伏せ縫いのモデルもありますし、昔のチャーチはそれこそ伏せ縫いをしているモデルも多くありました。
☆チャーチの靴は硬い→現行品に関しては、ほぼその通りと言えます。しかし、現行品でも軽量化を試みた450シリーズもありますし、何より昔のチャーチはリブなしのグッドイヤーウェルト製法を採用していたこともあるためか、下手なマッケイ製法の靴よりも返りがいいものがあったりもします。素材そのものも良かったのでしょう。
ぶっちゃけ、これだけ多くのチャーチを手にしても、私にはさっぱり分からないことの方がよほど多いのです。
ですから、スタンプラリー式に1ブランドに1つの靴を手にしても、ブランドを極めることも出来ないですし、自分のスタイルを築き上げることも、まず困難と思います。
コレクターだというなら、それはそれでいいと思いますが、ビスポークだろうが、5,000円の靴だろうが、靴は靴なので、その靴を履いて魅力を引き出す事こそ、靴の本領が発揮されると私は信じています。
ちなみに何故チャーチなの?
しかし、今手元に残っているのは、古くから残っているロングセラー商品だけ。
具体的には「御三家」のConsul(コンサル)、Diplomat(ディプロマット)、Chetwynd(チェットウィンド)、Ryder 3(ライダー3)などです。
これはいったいどういう事なのか?
やはり、70年以上ほぼ変わらずにロングセラー商品としてそのブランドを支えてきた靴には、なんともいえぬ重みがあります。
着合わせも抜群にしやすく、これさえあれば何とかなる、という頼もしさに溢れているのです。
靴を多く手にして得たのは「引き出し」
では、私は靴を多く手にして、何を得たのかというと、靴のラストによる形状、色味、ブランドの方向性などを総合的に判断して、どんなファッションと組み合わせれば、最もよく活きるかを考えることが、かなり楽に出来るようになったという事です。
知識の「引き出し」が増えたのです。
私自身なぜ靴をたくさん買ってきたかというと、ありとあらゆる無限のファッションの組み合わせが頭の中に次から次へと沸いて楽しくて仕方なかったからです。
スタンプラリー式よりも特化でスタイルを確立する
紆余曲折して、完全に今はイギリス系のファッションに統一され落ち着きましたが、紆余曲折の経験によって、多方面の引き出しを作ることができ、こうして連日全くネタ切れを起こすことなくファッションの話だけで、このサイトを運営出来ています。
今思えば随分遠回りしているとも思います。私自身が半ばスタンプラリー式に陥っていたのです。
昔はファッションなんて大嫌いでしたが、ひとつ履く靴を変えるだけで自分の印象を変えることが出来る事、ちょっといやらしい言葉を使えば操作できることに感動を覚えずにいられません。
だからこそ、スタンプラリー式にならずに、自分のスタイルをひとつ極めるつもりで、気に入った靴を大事に履いた方が私はよほどいいのではないかと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。