ステファノ・ブランキーニ スクエアトウとノルベジェーゼ製法の先駆者

丸でもなく、四角でもないトウの靴をセミスクエアトウ、サスピシャススクエアトウなんて言います。

この丸でも四角でもないトウの形というのは、中庸的で時代感の影響もさほど受けにくいという特徴があります。

セミスクエアトウもサスピシャススクエアも形状の名前に「スクエア」とついていることから、どちらの形も丸というよりかは、四角の成分が多分に強い印象があります。

クロケット&ジョーンズのラスト337が使われている靴はその好例でしょう。

見ようによっては丸くも見えますが、どちらかというと四角い印象です。

イギリスのビスポークシューズメーカーはスクエアトウを得意としているところがありますが、既製靴だとそこまで極端なスクエアトウのものはないという印象が私にはあります。

それ以上にスクエアトウのイメージがあるのがイタリアです。

イタリアの靴は細くてシュッとしているというイメージがある方もいらっしゃるでしょうが、イタリア靴こそスクエアトウを得意としているのです。

その好例がステファノ・ブランキーニです。

目次

ステファノ・ブランキーニの歴史

STEFANO BRANCHINI(ステファノ・ブランキーニ)は1994年創業のイタリアのシューズブランドです。創業者のステファノ・ブランキーニ氏は13歳で靴作りを始め、17歳でイタリアのビスポークシューズブランドのa.testoni(ア・テストーニ)に入社。

テストーニの靴を紹介した時に、ブランキーニ氏やエンツォ・ボナフェ氏が勤めていたというのは紹介しましたね。

ア・テストーニで要職を経験したブランキーニ氏は独立し、自身のブランドSTEFANO BI(ステファノ・ビ)を立ち上げますが、1994年にLVMHグループに売却しました。その後立ち上げたのが、1995年、ステファノ・ブランキーニ氏が自身の名を冠したブランド「ステファノ・ブランキーニ」です。

これによってステファノ・ビからステファノ・ブランキーニへと変わったのです。


また、ステファノ・ブランキーニ氏はノルベジェーゼ製法を確立したことで有名な人物です。

元々は登山靴用の製法だったノルベジェーゼ製法をドレスシューズに落とし込んだのです。ノルベジェーゼ製法はアッパー(甲革)とソールを縫合する際、他の製法に比べてステッチが多いです。そのためステファノ・ブランキーニの靴はコバが張り出した特徴的な見た目をしています。

これが芸術的なスクエアトウとマッチします。

実用靴として重きをあまり置いていないので、靴愛好家の方などに向いているかもしれません。


ステファノ・ブランキーニ 3つのコレクション

現在、ステファノ・ブランキーニには3つのコレクションがあります。

最上級ラインのBRANCHINI CALZOLERIA(ブランキーニ・カルツォレリア)

これは後ほど詳しく説明しますが、これがいわゆる「ステファノ・ブランキーニ」のイメージかもしれません。

ノルベジェーゼ製法と特徴的なスクエアトウと荒縄のようなステッチ。パティーヌによって作られた靴は工芸品といえます。

主にマッケイ製法によって作られるミドルラインのSTEFANO BRANCHINI(ステファノ・ブランキーニ)。

そしてカジュアルラインのTROFEO(トロフェオ)。

スニーカーなどが主ですが、トロフェオは最近ドレスシューズラインも作っているので、その境はちょっとあいまいになっています。


このように商品コンセプトにあわせて、ノルベジェーゼ製法やイタリア伝統のマッケイ製法、グッドイヤーウェルト製法などさまざまな技術を駆使することで、ステファノ・ブランキーニの靴は作られています。

私のイメージは強烈なスクエアトウのブランキーニ

ステファノ・ブランキーニというと、真っ先に思い浮かべるのがノルベジェーゼ製法を使いゴツゴツとした雰囲気のスクエアトウの靴です。

物凄いボリュームのブランキーニのこのタイプの靴は、実用品というよりはさながら芸術品といえるかもしれません。

そのボリューム感に合うように(というより、その魅力が倍加するように)幾重にも縫われるその糸の太さが荒縄のようになっています。

イタリア靴ならではの、パティーヌはもちろん健在です。

ノルベジェーゼ製法は大変手間暇がかかるものなので、ブランキーニが本当にノルベジェーゼ製法で作っている場合、お値段は20万円超すことになります。

本当にノルベジェーゼ製法で作っている、というのはノルベジェーゼ製法は、見た目だけノルベジェーゼ製法風に作ることができるので、本当に縫って作られているかどうかは分解したり、詳しく見てみないとなかなかわからないのです。

ノルベジェーゼ製法風に作られているマッケイ製法の靴というのは割と多く、ブランキーニでも出しています。

こちらはお値段は8万円代とだいぶコストダウンして、お求めやすくなっています。

…といっても十分高いですが。

イタリア靴らしさと使いやすさを兼ね備えたモデル達

そして、ブランキーニは決して芸術的な靴ばかりを作っているわけではなく、ビジネスにも使えるような価格設定とデザインの靴も手掛けています。

モデルによって、製法もマッケイ製法やグッドイヤーウェルト製法と、その靴のコンセプトに合わせて変えて作っているのです。

こうやって見てみると…。

デザインもごくごくベーシックですね!

これだったらビジネスシーンとカジュアルシーン兼用できるので活躍できそうです。

グッドイヤーウェルト製法一辺倒!ラストは○○番!

というような良い意味でも悪い意味でも代わり映えのしないイギリスの靴と比べると、こうったところにイタリア靴の奥深さが感じられます。

ステファノ・ブランキーニはイタリア靴の中でも、最もポピュラーな靴ですから、是非一度試してみてはいかがでしょうか。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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