後世にきちんと記録として残しておきたい。
そう思い、今回の記事を投稿します。
旧チャーチのDEER SKINとReal Cape Buckの違いをきちんと残しておきます。
目次
バックスキンの定義
バックスキンとは本来、「Buck Skin」と書きます。
この「Buck」とは雄鹿のことを指し、本来のバックスキンはこの雄鹿の銀面(表側)を逆立てたもののみを言います。
なぜ起毛させるかというと、そのままだと野生の鹿は皮に生傷が多く、製品化するときに革目に傷が目立ち美しくないためにスエード状に逆立てるのです。
バックスキン=スエードという今一般に広まっている認識は、スエードが裏革(Back Skin)であることから混同され広まったのです。
なお、起毛素材には同じく「ヌバック」がありますが、これは鹿革が貴重であるため、代用として牛の表皮を起毛させたことにより「New Buck」が生まれました。この「新たなバックスキン」の意味である「New Buck」が転じて訛り、ヌバックとなったのです。
このように、バックスキンは本来であれば、雄鹿の銀面を逆立てたものが正式なのです。
Real Cape Buckとは
これは当サイトで何度も載せていますが、結論から言うと、Real Cape Buckは鹿革ではありません。
このサイトにあるように、カーフの裏側を起毛させた、よくあるスエードということで間違いありません。
インターネットを見ていると、「アンテロープレザーをスエードにしたもの」という答えがチャーチから返ってきたという証言もあります。この証言は信憑性は高いと思います。
革素材は表革は自然化でついた傷が特徴のエキゾチックレザーです。
このクーズーという動物はウシ科の中でもブッシュバック属に属する動物で、ブッシュバックは英語で「BushBuck」と書きます。
私はこの「BushBuck」から「Buck」という言葉が抜き取られたのではないかとにらんでいます。
Real Cape Buck素材の特徴
・毛はフワフワモコモコとした印象
・触ってみると滑らか
・革ライニングが付いている
・チャーチの公式回答として、この素材は「カーフ」のスエード。
・ネット上の情報では「アンテロープ」のスエードという情報もある。アンテロープ=クーズー。見た目が鹿のような、アフリカ原産のウシ科の動物。アンテロープ種は学名で「Bush Buck」という名称があるものがいる。このことからReal Cape Buckは、カーフはカーフでもアンテロープのスエードであるという説が有力。
しかし予測の範囲を出ないので、詳細は不明。
・Real Cape Buckではないが、60年代~80年代頃までアンテロープレザーを使った靴は、チャーチに限らず様々なイギリス靴ブランドに散見されるので、あながち間違いではないかもしれない。そう考えれば、ただのカーフスエードであるだろうものを、わざわざReal Cape Buckと素材ネームをインソックに印字してあるのもうなずねる。
・タンを見るとわかるが、銀面革を逆立てていないので、少なくとも厳密な「バックスキン」ではないことは明白。バックスキンは牡鹿の銀面を逆立てたものという定義がある。
・履き心地は柔らかいが、極端に柔らかいわけでなく、ハリとコシもある。
・防水性はC.F.ステッドのカーフスエードと大差はない。
DEER SKIN(起毛革)の特徴
・毛はReal Cape Buck以上にフワフワモコモコとした印象。
・触ってみるとザラッとしている。滑らかではない。
・柔らかさが格別で、グッドイヤー特有の硬さを感じない。
・鹿革の馴染みの良さで返りもよく感じる。
・ライニング無しの1枚の革だけで仕立てられている。
・足に当たるインナー部分も起毛している(こちらがスエード=裏革と思われる)
・退色しない。放っておいても乾燥した感じはあまりでない。
・雨にめっぽう強く、水が染みこんでもシミにもならない。と、いうことで雨染み以外のシミにも強い。
まとめ
以上が旧チャーチのReal Cape BuckとDEER SKINの違いとなります。
チャーチの記事やヤフオクでReal Cape Buckを鹿革と紹介していたら、それは誤りなので、間違えないようにしましょう。
いずれも現行のチャーチでは扱っていない素材になるので、活用できる機会はないかもしれませんが、記録として残します。
最後まで読んでいただきありがとうございます。