Church’s Legate(レゲート) 旧チャーチ時代傑作のクオーターブローグ

今回は旧チャーチのネタをまたお披露目していきたいと思います。

チャーチの代表的モデルといえば、何があるでしょうか?

内羽根ストレートチップのConsul(コンサル)

内羽根セミブローグのDiplomat(ディプロマット)

内羽根フルブローグのChetwynd(チェットウィンド)

これらは当サイトでも「御三家」と位置付けているチャーチの73ラスト時代から続く、ロングセラーモデルであり看板メニューなのです。

これらは例えるなら、

黒光りしている料理長で有名な「たいめいけん」でいうところの「オムライス」

銀座4丁目の交差点に鎮座する「木村屋」でいうところの「アンパン」なのであります。

ゆえに靴が好きな人なら一度は雑誌か何かで見ているはずモデルです。

特にチェットウィンドやディプロマットはフルブローグとセミブローグ界を代表する傑作といっても差し支えありません。

しかし、御三家以外にもチャーチには看板メニューがたくさんあります。

外羽根フルブローグ、別の名をガロッシュブローグのGrafton(グラフトン)

内羽根フルブローグのBurwood(バーウッド)

シングルモンクストラップシューズのBecket(ベケット)

シングルモンクスリッポンシューズのWestbury(ウェストバリー)

外羽根のトリプルソールプレーントウのShannon(シャノン)

チャッカブーツのRyder(ライダー)

ここら辺までが有名な看板メニューでしょうか。

「ヨックモック」でいうところの「シガール」クッキーに相当するようなモデルたちです。

その他にも古くから残っているモデルはありまして、最近見かけるものだと、

ラスト173を使用した外羽根5アイレットプレーントウのStratton(ストラットン)

同じくラスト173を使用した外羽根ストレートチップのCartmel(カートメル)

なんかもあります。とにかくチャーチの靴はひとつのラストを大切にするブランドなので、ひとつのラストから数多の派生モデルが出てきます。

チャーチは値段は高いですが、あくまでビジネスマンがガシガシと履いてもへこたれない、頑健さ、ラストもフォーマルとカジュアルに両方面で活躍できるような使い勝手の良いバランス。あくまで実用性に重きを置いているブランドであるのです。

それはフルブローグシューズのレパートリーの豊富さを見てもわかります。カントリーからタウンシューズにまで幅広く使え、イギリスのビジネスマンに欠かせないフルブローグシューズのモデルがここまで多いのは、イギリス靴ブランドの中ではチャーチだけではないでしょうか?メダリオンとパーフォレーションのバランスのとり方が素晴らしく上手なんです。

この私見、チャーチをお持ちの方の中には少なからず同意いただけるのではないかと思います。

一方チャーチは、ストレートチップを除いて、内羽根パンチドキャップトウと内羽根クオーターブローグといった割とパキッとしたデザインの靴があまり得意でないのか?ほとんどこのデザインのスタイルの靴を発表しません。

事実、今チャーチの本国HPを見てみても、パンチドキャップトウとクオーターブローグの靴は出ていません。

それではチャーチはこれらのデザインの靴を全く出していないかというと、そういうわけでもなく、旧チャーチ時代に遡ればこれらのデザインに該当するモデルを発見することができます。

内羽根パンチドキャップトウの靴は以前当サイトでも紹介しています。

ラスト84のBarcroft(バークロフト)です。

それでは内羽根のクオーターブローグの靴は…?

それが今回紹介する靴。その名もLegate(レゲート)を紹介していきます。

目次

旧チャーチ Legate(レゲート)

旧チャーチ時代、コンサルとディプロマットに並んで普通に店頭に並んでいただろうモデル。

それが内羽根クオーターブローグのスタイルの靴、Legate(レゲート)です。

なお、「レガート」と紹介しているサイトもありますが、実際に発音すると「レゲート」と言う方が近くなります。なので、当サイトでもレゲートと呼ぶことにします。

レゲートはごくごくオーソドックスなクオーターブローグシューズです。

傑作ラスト、ラスト73が使われたモデルです。

モデルネームの「Legate」の意味は古代ローマの「軍団長」、「司令官」というものから派生し、現在では「使節」や「特派員」という意味があるようです。

おそらく「使節」という意味で名付けたのではないかと思います。

Consul(コンサル)が「領事」

Diplomat(ディプロマット)が「外交官」

…なので、同じくラスト73の代表モデルが、お偉いさん系職業をモデルネームに与えられているところから推察すると、このLegate(レゲート)も当時はチャーチの看板メニューとして大いに売り出されていたに違いありません。

さて、この靴を子細にみていきます。

レゲートは絵に描いたような基本に忠実なクオーターブローグシューズです。

羽根回りのネックステッチのところも、パーフォレーションになっています。

なお、最近ブリティッシュメイドでラスト173で展開していたクオーターブローグシューズに

Granby(グランビー)というモデルがありました。

今はもう売り切れています。

グランビーは本国のショップに行くとちょこちょこと見かけるという情報がありますが、本国HPのコレクションの中に入っていないところをみると、定番モデルとしては扱われていないようです。

グランビーの靴をよく見ると、ハトメの横に通っているネックステッチの部分が、普通のステッチになっており、パーフォレーションになっていません。

対してレゲートはパーフォレーションが配されています。 

そういう意味でグランビーはレゲートの後継モデルとは呼べません。

個人的にグランビーの方は、パーフォレーションが少ない分迫力に欠け、中途半端なクオーターブローグシューズに見えてしまうため、あまり好きではありません。

後ろの方は豪快に縦に縫いが入っています。

超高級靴は後ろの部分をシームレスにしたりするので、後ろからみると縫った形跡がなくなり、とてもエレガントになるのですが、レゲートはそんなことはお構いなく豪快に縫い上げてます。

「細けぇこたぁ気にすんな!」

と声が聞こえてきそうなディテール。高級感の中にこういう「普通さ」も多分に持つところこそチャーチの魅力の真骨頂。

なお、この豪快な縦縫いはグランビーも変わりませんし、ここまで派手ではありませんがコンサルも一緒です。

ディプロマット(セミブローグ)と比較してみました。

ここでクオーターブローグのこのレゲートとセミブローグのディプロマットを並べて比較します。

キャップにメダリオンがついているかついていないかで大きく印象が変わりますね。

こうやってみると、やはり緊張度の高い場面においては、クオーターブローグシューズまでが良いというのを実感します。

ディプロマットはセミブローグシューズなので、土踏まず部分からヒール方向に向かってのパーフォレーションがあります。

対してレゲートは土踏まずからヒールの方向に向かってのパーフォレーションがありません。

結果的に後ろのデザインが違います。ディプロマットおよびチェットウィンドも一緒ですが、この男爵の髭のようなカーブを描いたパーフォレーションのフィニッシュも好きです。

またパーフォレーションも良く見ると違います。

レゲートのパーフォレーションにはピンギングと呼ばれるギザギザの意匠がありません。これはグランビーも一緒です。

チャーチの靴はクオーターブローグシューズまではピンギングがつかないことがほとんどのようです。

やはり、お偉いさん系職業ネーム(なんじゃそりゃ笑)が与えられた以上、それなりのフォーマルな場面で履くことを想定してのことなのでしょうか。

現在、チャーチにおいてレゲートは廃盤なので仕方ありませんが、それ以外のモデルでもクオーターブローグシューズを手に入れることは困難です。

チャーチに限りませんが、イギリス靴でクオーターブローグで趣味の良い感じモデルってなかなかないんですよね。

通販サイトによってはクロケットのベルグレイブをクオーターブローグとして売り出してるところもあるほどで、販売側が変な紹介しているところもあるほど…(正しくはパンチドキャップトウスタイル)まあ、これは何度もしつこく紹介しているように、「パンチドキャップトウスタイルの靴の中」では一押しです。

クオーターブローグ、かつイギリス靴でお探しなら私は、チーニーのフェンチャーチをおススメします。値段も比較的優しく質もなかなか。

あとは、同じくチーニーのRoger(ロジャー)なんかもいいですね。

フェンチャーチのアデレード型のクオーターブローグがお好みでなく、レゲートのようなどっしりとした感じのクオーターをお探しならロジャー一択です。レゲート型ではなく、グランビー型ですが…。


さて、ここまで読むと、長らくこのサイトをご覧になられている方はお気づきかもしれません。

そう、私は内羽根ストレートチップ、内羽根パンチドキャップトウ、内羽根クオーターブローグ、内羽根セミブローグ、内羽根フルブローグ…

基本的な内羽根の靴は、最もフォーマルなものから最もカジュアルとされるものまで、全てのデザインをチャーチで揃えています。

こんな奇特な奴もそう滅多にいないはず(笑)

これらのモデルが一挙にそろった記事も近日中に公開する予定です。チャーチファンの方はお楽しみにお待ちください。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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