今は亡き愛しのブラウンスエード Church’s(チャーチ) Buck(バック)

昨日私のこだわりについてお話しました。

仕事の時は基本黒靴しか履かないこと。

その黒靴も厳密に言うと、黒にも色んな黒があります。

 

厳密に黒と呼べる物体は存在しません。

物体の黒は、理想としては光の反射率が0で全ての波長の光を吸収する色なのですが、全ての波長を完全吸収する物質は存在しないためです。

ですから、赤みがかった黒と青みがかった黒が存在し、微妙に色味が違って見えます。

赤みがかった黒は日本の靴に見受けられ、青みがかった黒はイギリス、フランスなどの靴に見受けられやすいと感じます。

青みがかった黒のほうが、深みのある色合いになり、黒靴らしい黒靴となる気がします。

そうなるとやはり「黒」という色の要素ひとつをとっても、選択肢は広がっていくのです。

そう、色というものはとても複雑なものです。

例えば、同じイギリス靴、同じブランドといえども、色の雰囲気は変わります。

スエードのダークブラウンカラーもブランドごとにちょっとした違い、また類似点があります。

こちらはクロケット&ジョーンズのTetbury(テットバリー)

007が黒のスムースレザーを履いたことでもおなじみ。

クロケット&ジョーンズのブラウンスエードとエドワード・グリーンのブラウンスエードは非常によく似ています。赤味のあるブラウンで毛足はぼさぼさした感じ。

一方でチャーチのスエードのダークブラウンカラーはまた一味違います。

エドワード・グリーンやクロケット&ジョーンズの色よりも、幾分濃くてぼさぼさ感は少なめ。ただし、イギリス靴のスエードにありがちな粗野な雰囲気は保ったままです。

さて、これらのブラウンカラーはある程度似ていますし、その気になれば今でも手に入れることができます。

私が今回紹介したいのは、今やどのイギリス靴ブランドにおいても手に入らない色味のブラウンスエード。今回タイトルにしているとおりです。

「今は亡き愛しのブラウンスエード」は、もっと赤味のあるスエードです。

こう言葉で話していてもなかなか伝わらないかと思いますので、写真で比べてみましょう。

今は亡き愛しのブラウンカラー

左足がチャーチのRyder Ⅲ(ライダー3) 「Castro Suede」という呼称のカーフスエード。ダークブラウンカラーです。

ちなみに色々なサイトで現行チャーチのスエード素材について議論されていますが、私がチャーチから直接得た回答は、カストロスエードは「Calf Suede」ということでした。

チャーチのスエードには「Soft Suede」というものもありますが、こちらは「Bovine」のスエードのようです。

調べてもあまり違いがわからないのですが、どうやらバッファローや水牛、もしくは胎児の牛のスエードのようです。

…そして右足の方は旧チャーチのBuck(バック)です。

ラスト73、内羽根のウイングチップ。チェットウィンドと同型ですが、こちらは「Real Cape Buck」というスエード素材を使っており、「Light Brown Cape Buck」というカラー。なお「Light Tan Cape Buck」というカラーもあったようです。

当サイトで以前紹介したように、これは正真正銘のバックスキンではなく、カーフのスエードです。

タンの裏側をご覧ください。

どこからどうみても銀面側が裏になっています(ダークブラウンのグレインレザーのようになっているのが銀面の証拠です)

これでは「バックスキン」とは言えません。

チャーチのバックスキンには「DEER SKIN」という正真正銘の鹿革のスエードがあります。

わざわざ区別しているのです。

このあたり、詳しくは上記のリンク、および以下のリンクを参照してください。

→旧チャーチについて詳しくはこちらから

さて、私が今でも探し求めているのは、このバックのような赤味のあるブラウンです。

実にイギリス靴らしく、同年代のイギリス靴はReal Cape Buck素材でなくともこういう赤味のあるブラウンカラーをしたスエードが多かったです。

ココアブラウンに近い色味で実に上品。

昔のチャーチはブラウンスエードにあずき色の靴紐がついていましたが、このあずき色の靴紐もオールドな雰囲気を倍加させます。

しかし、何を言おうが今はもうありません。

イタリア靴では、この色味に近しいブラウンカラースエードがあります。

しかし、コシの強さや粗野な感じ、タフさがこのバックのスエードとはまるで違います。

イタリア靴のスエードは、かなり洗練されていて、柔らかさに富んでいるので、リラックスした表情になります。アンライニングのローファーで主に活きるスエードなのです。

何より、色味が良くても形がスタイリッシュなダブルモンクなどでは、イメージの誤差はさらに拡大してしまいます。

イタリア靴のスエードでは、ハリスツイードやW.ビルなどが展開する厚いドネガルツイードなどには、まるで雰囲気が合いません。

やはり、イギリス調の素材にはイギリス靴こそ最もよく栄えると思います。

ああ、、、

こういうカラーリングでコシのあるスエードはもう作れないのでしょうか?

と…バックを懐かしむように、良いように良いように言っていますが、これも今は手に入らないから、というのも手伝ってより一層魅力的に目に映るのかもしれませんね。

現行は現行で良いところもありますから、そこをベースにファッションスタイルを構築する方がいいのでしょうが…。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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