Church’s(チャーチ) Keats(キーツ) イギリスのタッセルローファーを楽しもう

未だに根強い人気のあるタッセルローファー。これからのシーズンに是非とも履きたい1足の中にカウントされる靴です(個人的にはタッセルローファーがあんまり得意では無いのですが)。

お休みの日にスニーカーでは、あまりに物足りないと感じるけれども、紐の革靴では重く感じてしまうという方には、やはりローファーが頭に出てきます。

コインローファーでは子供っぽすぎるし、シングルモンクやダブルモンクではちょっとキザすぎる、と感じる人もいらっしゃるのでは無いでしょうか?

そう考えたときに出てくるのは、やはりタッセルローファーを置いて他にありません。

タッセルローファーは学生っぽさが若干和らぎます。それはそのスタイルネームになっているタッセル(房)が洒落感を演出するからです。

ここ数年のクールビズの推進によって、オフィスカジュアルもかなり一般化され、それに伴い足元の変化も必然的に起こっています。

そんなクールビズの装いにもマッチするのがタッセルローファーです。

タッセルローファーは決してセレクトショップの店員達だけが履く、お洒落大好きさん専用の靴では無いと思います。

今、タッセルローファーで人気なのが、オールデンとクロケット&ジョーンズのタッセルローファー。

ここでタッセルローファーの起源を少し紹介します。

ローファーのもうひとつのスタイルとして、タッセルローファーが挙げられる。タッセルローファーは1948年にAlden Shoe Companyにより作成された。起源はハリウッド俳優の Paul Luka]がイギリスで手に入れた靴紐に房飾りがついた靴をよりシンプルなデザインにできないかと、アメリカ帰国後にニューヨークとロサンジェルスの別の靴メーカーにぞれぞれの靴を預け依頼した。しかし、何れのメーカーもAldenに靴の作成を依頼したため、Aldenがタッセルローファー(靴紐を廃し、房飾りをもつスリップオン)を初めて作成し、Paul Lukasはタッセルローファーの初めての所有者となった。このタッセルローファーは1950年代のアメリカ東海岸で、学生時代をローファーで過ごしたビジネスマンや弁護士が、紐靴のようにフォーマルで、ローファーのように軽快であるタッセルローファーを愛用した。そのため、弁護士の靴と呼ばれることもある。

Wikipedia ローファーより

みんな大好きウィキペディアから引用しました。いやー、タッセルローファーの起源についてニューヨークタイムズが取り上げているなんて初めて知りました。

タッセルローファーの起源には諸説あり、このウィキペディアに物申すという人もいらっしゃるかもしれませんが、大体どの話も共通している点があります。それをまとめるとこんなところでは無いでしょうか。

①1940年代に誕生

②アメリカの俳優やアメリカの弁護士がよく履いた

③弁護士が履いたことにより、スーツにも履けるローファーという認識がある程度浸透している

④初めてタッセルローファーを作ったのはオールデン

そう。本家本元はオールデンのタッセルローファーなんですね。

しかし今オールデンのタッセルローファーを凌ぐほど人気なのがクロケット&ジョーンズのCavendish(キャベンディッシュ)です。

どこのセレクトショップもこれでもかと置いてあって、その人気の高さを物語っています。

私はタッセルローファーならイタリアのフェランテのアルノあたりが、その値段の手ごろさで触手がのびかけているところです。

ただ、イギリスやアメリカ系のタッセルローファーで絞り込むなら、クロケットやオールデンに負けないタッセルローファーがあります。

それが今回紹介するChurch’sのKeats(キーツ)です。

目次

Church′s Keats(キーツ)の概要

Keats(キーツ)はチャーチが昔から手掛けているタッセルローファーです。よく3都市表記のキーツを見かけますので、80年代頃には誕生していたと推測されます。

主にローファーに採用されることの多い、ラスト93を使用しています。

履き口が広く、甲からつま先のアッパーの面積が少ないので、短く見えます。

まさにタッセルローファーといった感じで、かなりアメリカよりのタッセルローファーです。

ネイビーのブレザーなんかに合わせたらよくハマることでしょう。

キーツには主にポリッシュドバインダーが使われています。

現行のチャーチらしくコバが張り出しているのはご愛敬です。

このタッセルローファーもキャベンディッシュに負けず劣らず魅力的だと思います。

Fosbury(フォスバリー)との違い

チャーチにはこのキーツと同じタッセルローファーで、ラストもビジュアルも同一のモデルのFosbury(フォスバリー)というモデルがあります。

フォスバリーはアンライニング仕様でカカト周りの芯地も省かれているので、柔らかさがありますが、ホールド感はかなり下がります。

これは実際に計って比べていないので、体感になりますが、キーツよりも全体的に深さがなく特にカカトが浅く感じます。

また土踏まずの芯地がないので、偏平足気味の人だと、この要素のダブルパンチで履き口が笑ってしまいます。

ソールは薄いレザーソールでグッドイヤーウェルト製法ながら、かなり曲がりやすいソールになっています。これは「Distressed leather sole」というもので、特別に柔らかいソールのようです。

と、いうことでキーツとの違いをまとめると

①アンライニング仕様になっている

②全体的に深くない?

③返りの良いレザーソール(Distressed leather sole)を使用している

というのが違いの様です。

捨て寸の短さが極まっている

イギリス、アメリカ系のローファーに起こりがちな問題ですが、ローファーでグッドイヤーウェルト製法によって作られているものは、あとあとの履き馴染みを考慮してピッタリしたサイズを買おうとすると、捨て寸が詰まってしまうということが起こります。

このキーツに使われているラストは捨て寸がかなり短く出来ており、他のチャーチのラストと比べても異質なフィット感になっています。

捨て寸の短さが極まっている靴ともいえます。

ラスト173で7.5Fだとしたら、このラスト93で同じサイズを履くと間違いなく捨て寸まで指が入り、寸詰まってしまいます。

私は普段チャーチの靴だと7.5Fで履いていますが、ラスト93の靴は8.5Fでちょうどよく感じるほどです。おそらくラストと私の足の相性が極端に悪かったのでしょうが…。

ただし、キーツの良いところはホールド感に優れているという点です。

ローファーはしっかりとカカト周りを作り込まないとパカパカと脱げがちですが、このキーツはカカトが深くできているので、キャベンディッシュに比べ断然カカト周りのホールド感はあると感じます。

着こなしを楽しもう!ポロシャツ1つで雰囲気はがらりと変わる

さて、このキーツに限りませんが、タッセルローファーをメインで履く季節はおそらく春夏でしょう。

つまりタッセルローファーを履くシーズンは、最も男性服がつまらなくなりがちなシーズンです。

しかし良い靴になればなるほど、合わせるトップス1つで表情がガラリと変わるものです。

例えばポロシャツを合わせたとしましょう。このポロシャツもブランドが違うだけで雰囲気が大きく変わってきます。

ラルフローレンのポロシャツ

タッセルローファーの生まれ故郷であるアメリカのブランドのラルフローレンのポロシャツと合わせれば、その大らかさを演出することができます。ラルフローレンのポロシャツは着心地もざくざくしていますからね。

フレッドペリーのポロシャツ

こちらは同じイギリスのブランド、フレッドペリーのポロシャツ。

フレッドペリーのポロシャツはやや細身でカラー(襟のこと)も狭いので、ちょっと一味違う雰囲気ですね。シャープな印象が強まります。

なんでしょう?ちょっとモッズファッション的な雰囲気が漂います。全体的にミニマルにまとめたいときはこういう細さを強調したポロシャツがいいかも

ラコステのポロシャツ

元祖ポロシャツ。全てのポロシャツはラコステから始まりました。

ルネ・ラコステがいなければポロシャツは誕生していません。

ラコステはフランスのブランドです。現在、フランス製のラコステのポロシャツは稀少となりましたが、そのディテールや雰囲気は現在も受け継いでいます。日本規格のモデルはファブリカ(現:ラコステ ジャパン)が製造しており、めちゃくちゃタフネスで着心地も抜群です。さすが元祖ポロシャツといったところでしょうか。

ひと昔前フレンチアイビーというファッション用語があったように、80年代はフランスのファッションが流行したようで、当のフランスの人たちはアメリカンなアイテムをよく合わせていたようです。ボタンダウンシャツや、ネイビーのブレザーそして、ちょっとテーパードしたスラックス。

カジュアルシーンにおいてもスニーカーではなく、革靴を履く。

フランスという国は結構アメリカンな洋服の文化をよく吸収していたのかもしれません。

そんなわけでラコステのポロシャツを着ると、フランスの香りがするような、上品な雰囲気にまとまると感じます。

ちなみに当サイト一押しのベケットをここに履くと、まさしくフレンチアイビーの完成です。当時のファッション誌をみても確かにベケットを履いています。

靴を主役に添えてファッションコーディネートを始めると、トップスをちょっと変えるだけで大きく印象が変わることを実感していただけるはずです。このキーツも御多分に漏れません。

そんなわくわくするローファーからファッションを楽しんでみてはいかがでしょうか。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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