イギリス靴最高峰のブランド。それがジョン・ロブです。
ジョン・ロブには通常のラインよりもさらにワンランク上のラインがあることをご存知でしょうか?
ジョン・ロブのプレステージラインの靴です。
他のブランドの追随を許さない圧倒的な素材のクオリティを持っているジョン・ロブですが、その中でもさらにこだわり抜いた素材を使い、より作り込みに磨きをかけたラインです。
値段もグッと上がりますが、その所有感も含めて履いている人の気分を高揚させてくれることは間違いありません。
今回はこのジョン・ロブのプレステージラインの靴を代表するモデル、PhilipⅡ(フィリップⅡ)を紹介していきます。
目次
John Lobb(ジョン・ロブ) PhilipⅡ(フィリップⅡ)
既製靴の中でも最高と名高いジョン・ロブの靴の中でも、とりわけ最高ランクに位置するのがプレステージラインです。
そのプレステージラインの靴の中の代表作がPhilipⅡ(フィリップ2)です。
フィリップ2は先日紹介したCityⅡ(シティ2)と同じラスト7000が使われています。
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このフィリップ2はもともとビスポークで人気だったモデルを既製品として落とし込んだところから生まれたモデルです。
雑誌なんかを見ると「パンチドキャップトウ」と紹介されているのですが…。
羽根周りのステッチに小穴だけが施されているパーフォレーションがついています。
これがあるからといって、いわゆるクオーターブローグに分類されるのかというと、とっても微妙な感じです。
まあ、一応分類的には「パンチドキャップトウ」と呼んでいいと思います。小穴があまりにさりげないですしね。
こういう謎の仕様というのは、どんなメーカーでもたびたびやっているものです。
昔のチャーチにもありました。大人気ラストの73を使ったモデルでRitz(リッツ)という知る人ぞ知るマイナーなモデルがあります。
こちらは内羽根のプレーントウといいたいところですが、なぜか羽根のステッチがこのフィリップ2と同じく、小穴だけが施されている控えめなパーフォレーションがついています。
どこまでもデザインを差し引き、最高位のフォーマルを実現させるのが内羽根プレーントウの良さのはずなのですが、なぜこのようなデザインにしたのかは全く謎です。
リッツはともかくとして、このフィリップに関しては、ビスポークで人気のスタイルから選んだということなので、この小穴だけのパーフォレーションをいれることが人気だったのかもしれませんね。
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デザインが美しいので、プラムといった色気のあるカラーリングの革でもよく栄えます。
プレステージラインならではの違い
さてこのフィリップ、クラシックラインのシティと何が大きく違うかというと2点あります。
その①:底回り
プレステージラインのジョン・ロブの靴はレザーソールで当然伏せ縫いされていて、美しい仕上げになっています。
クラシックラインのシティと違っているのは、プレステージラインの場合半カラス仕上げになっているということ。そして土踏まず部分の盛り上がりがより顕著に出ていて、立体的な作りになっています。
また、個人的な感想ですが、プレステージラインのソールの方がより上質なものを使っているのか、がっちりとしている印象です。触ると何とも言えないざらっとした触り心地の中に革のぬめりも感じられる、非常に高価な素材感になっています。
ビスポーク職人さんと話していると、作ったある1足の靴の中で一番高い部材はどこかと聞いたら、しばしばソールと返答が来ることも珍しくありません。目立ちにくい部分ではありますが、やはりかなり神経を配って使われることのあるのがソールなのです。
②シームレスヒールになっている
シームレスヒールとは通常ほとんどの靴では、カカトに縫い目が持ってこられるものですが、この縫い目を無くす難しい技巧がシームレスヒールです。
シーム(縫い目)がレス(無い)ということですね。
これは実物をみると、想像以上にドレッシーに見える要素です。
全くその曲線美を邪魔するものがない、シームレスヒールはマニアを唸らせるポイントです。
フィリップ2の高い完成度。ここまで極まると…
正直ここまで極まった感じが出てくると、なんだかケチのつけようもない感じですね。
まあ、唯一ケチをつけるとしたら、この価格でフルハンドシューズを作ることができますよ、っていうところでしょうか。いわゆるビスポークですね。
ただし、ビスポークは納期まで時間がかかります。
1年くらいは見ておかないと…という感じですね。
特に人気の職人さんの場合、2年待ちとかも平気であります(人気のビスポーク職人さんの靴はフィリップよりも高価ですが)
で、フルハンドシューズ最大の欠点はオールソールが引くほど値段が高いという事です。
底付けという重要なパートをやり直すことになるので、、、
だいたいお値段は7万からスタートして10万くらいとられる場合もあるわけです。
まあ、中底交換も出来るので、全く新しくすることもできるほど
まあ、ビスポークが何足も余裕で出来る人ならいいのでしょうが、ただの一平民が靴が好きだからといって、頼むとそのあとのメンテナンス料金がとんでもないことになって面を食らうことになりかねません。
いわば靴のフェラーリのようなものです。
所得もきちんとしていないと履いちゃダメということなんでしょう。
その点、修理のしやすさでは圧倒的に機械縫いをうまく取り入れたグッドイヤーウェルト製法なので、フィリップ2は取っ付きやすさの面でビスポークシューズを上回っているともいえるでしょう。
これはあくまで無理やり比較しただけなので、あまり参考にはならないかもしれませんが。
よりミニマルにするのであればCityⅡを
デザインの無駄を削ぎ落としたフィリップ。
ビジネスフォーマルで存分に使える靴です。
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しかし不幸の場面とまでなると、さすがに装飾の部分を考慮すると、そのような場面で使うのは憚れます。
そのような場合はよりミニマルなシティにしておくと良いでしょう。
シティでもそのクオリティは十分高く、どんな場面でも活躍できることでしょう。
視野を広くして、値段やクオリティだけでなく、何の用途で買うかも考えましょう。
ジョンロブを買う人は、もう値段を気にするという人はいないでしょうが(笑)
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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