革靴のカカトの修理はどのタイミングでするの?おススメのトップリフトまで大解説!

通勤中、電車の中を見渡して感じるのは、革靴の全体の手入れが行き届いていないということ…これはもはや仕方のないことだと思っています。(本当は仕方ないこと、って軽い感じで済ませたくない笑)

デリケートクリームを入れていないからか、ガサガサに乾燥している靴、油分がすっかり抜けて光沢感を失いマットで白っぽくなっている靴、クラックが入りひび割れている靴、塩が吹いて白い筋が甲革の至る所に出てしまっている靴…

そしてカカトが削れてしまっている靴!これは本当に多い!

カカトが削れてしまった靴は見た目を損ねるだけではなく、歩行にも支障が起き、転倒の恐れもある非常に危険な靴になります。

ごくごく一部の靴を除いて(カカトが全面革のものですと、滑ってしまい、歩行の際に転倒の恐れがあり大変危険です。これに関しては本記事内において後ほどお話します)、ドレスシューズのカカトの一番外側の部分はこのようにゴムになっているのが普通です。

このような形でもちろんカカトの部分が全てゴムのものになっているものもあります。

なぜゴムになっているかというと、ゴムの力で滑り止めと耐久性の2つの役目を果たしている為です。

ですから、修理をしてカカトの高さを戻し、新しいゴムの力によって転倒防止をしなければなりません。

目次

それでもなぜカカトの修理をしていない人がいるのか?

しかし、なぜ世の人が、カカトがそこまで削れているのにも関わらず、平気な顔して歩いているのか?その理由はこの2つに絞られるでしょう。

まずひとつは…

知らないから

シューキーパーについて書いたときにも同じ理由を推察しましたね。

⇒その時の記事はこちら

「知らないから」こんな単純極まりない理由によって、靴の寿命を縮め、転倒による大怪我のリスクも高めているのだと私は考えています。カカトの交換はどうやってするのか?どのタイミングでしなければいけないのか?そもそもカカトの修理なんて出来るのか?

そこに興味がないと、まず問題は解決されないですよね。

そしてもうひとつの理由は…

使い捨て感覚で革靴を履いているから

これも大きな要因でしょう。

それぞれのお財布事情はあるでしょうが、修理して履くだけの価値のある靴を履くべきだと思います。

きちんと修理できる靴を買えば、長く履けるんです。

2万円~3万円代くらいのものを買えば、そのグッドイヤーウェルト製法やマッケイ製法などの製法が採用されており、縫い合わされた靴になるので、修理がしやすく、またその修理のしがいもある靴になってきます。

カカトの修理は適切なタイミングで行えば、3,000円くらいで可能です。また、積み上げられているレザーが大きく削れてしまっている場合でも、5,000円~6,000円で交換が可能です。

逆を言うと、積み上げられたレザーが傷む前に交換をするように心がけていれば、大きな出費にならずに済むのです。

そもそも使い捨てで革靴を履くことは非常にもったいないことだと思います。どんなに安い革でも、元をたどれば生きていた動物の皮膚です。それを無造作に扱う事自体良くないと思うのです。

使い捨てで靴を履いている方はどれくらいの頻度で靴を買い替えるのでしょうか?

私自身、そのような履き方をしたことがないのですが、早ければ半年から、長くて2年くらいで買い替えるのではないでしょうか。

5,000円の革靴を3,000円かけてカカトの修理をしようという人はあまりいないでしょうからね。

革靴は履きおろしてから馴染むまで、どうしても時間がかかるものです。それを半年に一度のペースで行っていたとしたら、その痛みなどで自分の仕事のパフォーマンスが落ちたりするのではないでしょうか?

仕事の効率が落ちることをなぜわざわざしなければならないのかもよくわからない。

履き馴染んだ革靴というのは、想像以上に履き心地の良いものですよ。

ぜひ皆さんに、長年履き馴染んだ靴の履き心地を感じてもらいたいです。

カカトの修理はどのタイミングでするものなの?

さて、本題です。

カカトの修理のタイミングは、ゴムの層とレザーの層の境目に到達する直前に交換することです。

この指で指しているところが見えますか?この1本の線。色が変わっていて、ここで層が変わっていることがわかります。

この第1層のことを「トップリフト」と言います。

このトップリフトが削れ、レザーの層に到達する前に交換することによって、両足で3,000円ほどで修理が可能です。

トップリフトを超えて、レザーによって積み上げられている層まで達すると、削れたレザーをアタッチして削れた部分を埋めなくてはいけなくなってしまうので、余計に修理にお金がかかるようになってしまいます。大体、片足500円前後追加料金がかかることが相場ですので、1,000円は余分に修理代がかかります。

さらに、レザーの層が削れ過ぎると、バランスがいよいよ悪くなってきます。この状態になるとブロック交換といってカカトの大元から修理しなければならなくなるため、修理代金も高額になります。これが大体両足で6,000円近くの修理になってくるのです。そんな馬鹿馬鹿しいことをする必要はないので、日頃からこまめに靴の状態を見て、修理に出すように心がけましょう。

カカトの交換に至るまで、どれくらいの時間がかかるの?

これはその人のライフスタイルによって大きく変わります。

たとえば、所有している靴が2足だとすると、連日入れ替えて靴を履くわけですから、削れは当然早くなります。

対して所有している靴が5足であれば、1週間に5日働くとすれば、1週間に1回の仕様で済みますから、削れは遅くなります。

しかし、仮に2足で靴をローテーションしている人でも、デスクワークが中心で歩くことがほとんどないのであれば削れは遅くなります。

逆に5足で靴をローテーションしている人でも、営業などで1日中外を歩き回ることが多い人は、もしかしたら2足でローテーションしている人よりも削れが早いかもしれません。

また、歩き癖によって異様にカカトが減りやすい人もいます。

それから、革靴をゆったり目に履く人も、カカトの削れが早くなります。

この理屈は簡単で、革靴をゆったり履くと、足が靴の中で泳ぐだけの空間が生まれます。

足に沿って革靴が固定されていないため、左右に揺れやすくなります。

ですから、足が着地するときに、蟹股に着地したり内股に着地したりと摩擦の力が強くかかることになります。

やはり革靴はジャストフィットで履くのが鉄則です。

なお、カカトの削れが遅いものは、断然イギリス製の靴です。カカトについているラバーのチップはどの国で作られたものであろうと、その面積は小さいものですが、摩耗に強いものを選んでいるようで、全く削れてきません。

これは購入から2年経ったチャーチのチェットウィンドというモデル。

1日外を歩き回ることの多い私でも、トップリフトはオリジナルのまま。いまだに1回もカカトの修理はしていません。(そろそろしないとまずいけど)

イギリスの靴は高価なものが多いですが、その頑健さに関しては値段相応、いえ、それ以上のパフォーマンスがあります。

特殊な例!こんなトップリフトもあります。

さて、先程ちょこっと出た「ごくごく一部の靴」について。

古いイギリスの靴なんかですと、レザーのトップリフトにぐるりと何本も釘を打ち込んだものがあります。

これは私物の50年位前のチャーチの靴。デッドストックの状態で手に入れたのですが、カカトが釘だらけ。試しに歩いてみましたが滑って危ないのと、釘が摩耗防止の効果にもならず、ガンガン削れて行くので、ビブラムのフルラバーのものに変えました。

現在でもこのような形のトップリフトにしているのはイギリスのシュナイダーブーツくらいでしょうか。とにかく一般的にお目にかかることはないので、小話程度に頭の片隅に置いてもらえればと思います。

なんでこんな形にしているのか、理由もよくわかりません。ご存知の方、いらしたら教えて下さい。

また、趣味で本来ラバーのチップになっているところをスチールにしている人もいますが、これも滑りやすいため、私はおススメしません。

スチールが削れて来ると刃物状になってくるので、片方の靴で片方の靴の甲革をサクッと切ってしまったりするのです。これは危ない。

この仕様にしている人に話を聞くと、歩くたびにカツーンカツーンと鳴り響くのがいいのだとか。

削れにくくて、コストパフォーマンスに優れるトップリフトって何?

色々とカカトについてお話してきましたが、最後に削れにくく、コストパフォーマンスに優れるトップリフトを紹介します。

最もおススメのトップリフトはビブラム社製のフラットタイプのトップリフト

これです!

とにかく削れが遅いので、長持ちします。

レザーと半分になっているタイプのものだと、削れが早いものが多いので、私はいつもこのビブラム社製のフラットタイプのリフトをつけています。

もしくは、同じくビブラム社製のポイント型リフト。こんな感じで丸いスタッドがついているものですね。こちらは厚みが出るので、カカトの高さが変わることもあります。つける場合は、修理職人さんに相談すると良いでしょう。

このポイント型のものは、イギリスのダイナイトソールが有名です。

しかし、ダイナイトソールはもともとゴルフシューズ用に作られたものため、ダイナイトリフトは耐久性や転倒防止性能の両点でビブラムに比べると劣ります。すぐ消しゴムのケシかすの様になって削れてしまいます。

ビブラム社製のものを選ぶのが無難かと思います。

まとめ

今回の記事をサクッとまとめるとこんな感じでしょうか。

  1. カカトの交換はレザーの層に達する前に行う
  2. 靴を愛情もってこまめにチェックすること
  3. 最強のトップリフトはビブラム社製のラバーリフト

この記事の情報が皆様の生活の一助になれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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