今回はロークのタッセルローファー、Brighton(ブライトン)について、詳しく紹介していきます。
「モッズ」はファッション好きなら、1度は聞いたことのあるファッションのはずです。
そして、そのモッズファッションの足元を飾っていた靴も様々です。
ドクターマーチン、クラークスのデザートブーツ、そしてロークのキルトタッセルローファー、Brighton(ブライトン)。
モッズの独特なファッションスタイルは未だにファッション好きの中では根強い人気があります。
目次
モッズ、モッズファッションって何?
1950年代後半から1960年代中頃まで、イギリスの低所得層の若者たちの間で流行したファッション、そしてライフスタイルのことです。
「モッズ」の語源は諸説あります。
彼らがモッズ(MODS)と呼ばれるようになったのは現代的という意味を持つモダン(Modern)なジャズ、つまりモダンジャズをよく聞いていたことからとも、また自分たちの事をモダニストと呼んでいたからという説があります。
語源はいくつかあるにせよ、60年代、彼らの姿はモダンな人たちにみえたのでしょう。
モッズのファッションの特徴としてはサイドベンツと言われる後ろの左右2箇所に切り込みが入った細身の3つボタンのオーダースーツ、細身のボタンダウンシャツかポロシャツ、折り返しのないノータックの細身のパンツにとがったロングノーズシューズや、クラークスのデザートブーツ、そしてキルトタッセルローファーなど、かなり先鋭的なファッションをとっていたのです。
ビートルズのデビュー後の姿は、まさにモッズファッションです。彼らは最初、モッズとは正反対に位置するファッション「ロッカーズ」の格好をしていたといいますが、デビューするにあたってモッズファッションにしたという逸話も残っています。
ロンドン近辺のモッズはファッションと音楽に興味を持ち、深夜営業のクラブに集まって踊ったりお互いのファッションを見せあったりしていました。クラブまではスクーター(べスパやランブレッタと呼ばれる車種が好んで利用されました。)で移動していました。
ここでモッズコートが誕生します。
雨の日や、雨が降った後の道路は水たまりやぬかるみがあり、スクーターでの移動は雨や泥でせっかくキメた格好をどうしても汚してしまったのです。
そこで彼らはスーツの上に汚れてもいいような服を着用することを考えます。当時イギリスにはアメリカで過剰に作られ過ぎて余ってしまっていた(こういう製品はデッドストックと呼ばれます)M-51パーカが大量に流れて来て安価で売られていました。M-51パーカ自体、着丈が長く、コートみたいだった上に、安価なので泥や水で汚れてしまっても大丈夫ということでモッズ達はスーツの上にM-51パーカをこぞって着用し始めます。このようにモッズ達が着るコートという事でモッズコートと呼ばれるようになったというわけです。
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これがモッズコート
踊る大捜査線で織田裕二演じる、青島が着ていることでも有名ですね。
このモッズのファッションスタイルは映画「さらば青春の光」で忠実に映し出されています。
そして、この「さらば青春の光」でキルトタッセルローファーが使われています。
この映画、あの有名なイギリスロックバンドのポリスのスティングも出演していたり、収録曲はザ・フーが手掛けていたりと(ザ・フーの音楽はモッズの象徴でもあります)、何かと贅沢な映画です。まあ、モッズのバイブルみたいな映画なんですね。
映画のタイトルと裏腹にこの映画、なんともやるせない映画です。見て楽しかった、見て気分が晴れやかになる、というタイプの映画ではないので、私個人はあまり好きではありません(笑)
興味があったら、調べてみてください。
Brighton(ブライトン)の由来
このブライトンというモデルネームは、モッズとその対極の位置にいたロッカーズとの大乱闘が行われたことでも有名な場所からとられています。
その場所がモデルネームになっているあたり、モッズの為の靴であるといっても過言ではありません。
ここで、ロッカーズについて紹介します。
ロッカーズも1950年代後半から1960年代に流行した若者のスタイルのひとつで、ファッションとしては、リーゼントに黒の革ジャン、単気筒のバイクなどを好んでいました。
ロッカーズの大きな影響を与えたのは、マーロン・ブランドや、エルヴィス・プレスリーですが、まあ、こんな雰囲気の格好だったんですね。
ブライトンはこのロッカーズとモッズが争った場所なんですね。
いつの時代も不良っているんですねえ。
Brighton(ブライトン)の概要
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ブライトンにはラスト97が使われており、ゆったりしたフィッティングが特徴です。
アッパーにはガラス仕上げのバインダーレザーが使われています。
であるのは伝統的ですが、ユニークなのは甲の飾りでしょう。レザータッセルのみならず、その下にキルトフリンジがあります。
この一捻り加えたデザインがいかにもモッズ受けしそうな感じ。
しかもそのキルトと、タッセルの根革にもなっている甲ベルトは革を折り返して縫い糸を隠すという、ちょっと凝った仕立てになっていて、それがこの靴をより品あるものにしています。
そういったところが、さすがイギリスと言ったところで、アメリカのG.Hバスの靴などと違い、雑な印象は受けません。
360度グッドイヤーウェルト製法によって出来ているため、武骨な印象もある靴です。
こんなファッションに合わせてみよう
夏にフレッドペリーの細身のポロシャツと、このブライトンを合わせたら、それだけでモッズファッションの出来上がり。
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ひとつのスタイルが完成します。靴下は、白いソックスを合わせるとより「それらしく」なりますが、あまりやりすぎても、現代の感性に馴染まない可能性もあるので、そこはひとつさじ加減を自分で考えて楽しむのもありでしょう。
さすがにスーツに合わせるのは、やりすぎな気がします。時代を飛び越えて「モッズ」がやってきた感じになってしまうでしょう。
底もレザーソールで上品に作られていますから、アクが強い靴ではありません。
近頃のオーソドックスなタッセルローファーに飽きたら、こういったよりカジュアルなキルトタッセルローファーに挑戦してみるのはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございます。