Sanders/サンダース マッドガードチャッカブーツとスティーブ・マックイーン

イギリス靴ブランドを中心に今まで記事を書き綴ってまいりましたが、イギリス靴ブランドもそろそろ残り少なくなってきました。

イギリスも昔はノーザンプトンを中心に、本当に多くのメーカーがひしめき合っていたようですが、多くのメーカーが生まれた1800年代から100年以上を超える今に至るまで、残っているブランドは数えるほどです。

当サイトが紹介していないイギリス靴ブランド、今回紹介するブランドは、Sanders(サンダース)です。

サンダースといえば、ブランドの代名詞ともなっているマッドガードチャッカブーツが著名ですが、その基礎はグッドイヤーウェルト製法による堅牢な靴づくりにあります。

まずは、サンダースの歴史をみていきましょう。

目次

Sanders(サンダース)の歴史

Sanders & Sanders Ltd.は1873年にウィリアム・サンダースとトーマス・サンダースの兄弟によってノーザンプトンシャー州のラシュデンに設立された靴ブランドです。

1873年というと、イギリス靴好きの人ならピンとくるはず。そう、あのChurch’s(チャーチ)と同じ創業年なんですね。本当にイギリス靴ブランドはどこもここも歴史が古いところばかりでうなってしまいます。

今も90人以上の職人が働いており、グッドイヤーウェルト製法を主体とした靴づくりが行われています。特にSanders Uniform Footwear Collectionはイギリス国内をはじめとして、世界中の多くの警察、Military、およびSecurity用のシューズとして採用されているコレクションとして有名です。

その証拠に、イギリス国防総省(MOD)向けに供給されるレザーシューズ(UK製)のほとんどがSanders製で、工場のおおよそ50%をその製造ラインとして割り当てられています。そのために、自社コレクションは他のノーザンプトンのメーカーと同様のグットイヤーウエルト製法と天然素材を使用しても製造コストが抑えられるため、値段も手ごろなのが嬉しいというイギリス靴ブランドです。

とにかく有名なのはHI-Top CHUKKA マッドガードチャッカブーツ

サンダースのブランドの代名詞ともなっているのが、マッドガードチャッカブーツです。

正式名称は「HI-Top CHUKKA」といいます。

もしかしたら旧名称の「Play Boy CHUKKA」の方が聞きなれた方は多いのではないでしょうか。

Mudguard(マッドガード)

と名前がついているとおり、泥除けを目的としたクレープソールが靴のサイドをぐるりと巻き込んでいるのが特徴です。

このモデルは、スティーブ・マックイーンが公私共に愛用したマッドガードチャッカブーツと同タイプのチャッカブーツとなっており、その面でもとにかく有名です。

このクレープソールが柔らかく履き心地の良さと愛くるしい見た目、そしてやはりイギリスブランド、どことなくキリっと引き締まる表情が素敵なチャッカブーツです。

ちなみに、スティーブ・マックイーンが使用したマッドガードチャッカブーツは、サンダースのマッドガードチャッカブーツではなく、SAXONE(サクソン)という今は亡きスコットランドのメーカー製の物ではないかという説があります。このサクソンこそ「Play Boy CHUKKA」の名称のオリジンでもあるのです。

スティーブ・マックイーンが活躍した60年代は色々なメーカーで、このマッドガードチャッカブーツを出していたようですが、今はこのサンダースを筆頭に、トリッカーズが少し出しているのみになります。

ともあれ、今現在サクソンはなくなってしまい、このマッドガードチャッカブーツで一番有名なのはサンダースであることに違いはありません。

これにスティーブ・マックイーンが愛用したバラクータG9(カラーはネイビーとタンがおすすめです)を合わせれば、もう、それだけで様になるのは約束しましょう。

→バラクータG9についてはこちらから

→バラクータG9の着こなし例はこちらから

ブリティッシュトラディショナルスタイルが完成です。

※「華麗なる賭け」ではまさにバラクータG9とスナッフカラーのマッドガードチャッカブーツを合わせています

色はダークブラウンではなく、この写真のスナッフカラーがよりイギリス靴っぽい色であり、マックイーン風でもあります。

サンダースのマッドガードチャッカを購入する人はこのスナッフカラーから始めるのが間違いありません。

オフィサーシューズは働く男のための靴

歴史の項でも触れましたが、サンダースはその製造品の多くを警察や軍関係におさめている極めてミリタリー感の強いイギリス靴ブランドです。

ドレスシューズも「ミリタリーコレクション」に属するモデルは、ジョン・ロブやエドワード・グリーンにはない、男らしさ、力強さのあるドレスシューズに定評があります。

多くは外羽根のプレーントウやパンチドキャップトウなど定番のモデルです。

そしてチャーチで有名なポリッシュドレザーを使用しているため、甲革が雨などに強いのが特徴。

ソールは英国「Itshide」社のコマンドソールを使用しています。いわゆる「ダイナイトタイプ」で滑り止めの丸いスタッズがついていることが有名です。

このコマンドソール、ダイナイトとは比べ物にならないほど頑丈です。そして硬い。ダイナイトソールよりもやはりミリタリー感は強いです。

イギリス靴ブランドのソールというとダイナイトソールが有名ですが、耐久性を重視する方はこのコマンドソールも覚えていただくといいのではないでしょうか。

こういったミリタリードレスシューズを「サービスシューズ」と呼んだり「オフィサーシューズ」と呼んだりします。「サービスシューズ」というのはアメリカ海軍的な呼び方なので、イギリスブランドであるサンダースの展開するミリタリードレスシューズの場合は「オフィサーシューズ」と呼ぶのが“らしい”です。

ジェームズ・ボンドのことも「オフィサー」と言いますからね。

そんなイメージでしょうか。

2つともその意味はほぼ同じで、所属する軍人たちが式典や正装時に着用するために支給されるものです。

ですから、スーツスタイルにも全く問題なく使えます!

ただし、近年まで流行っていた異様にピタピタに細くしたスーツスタイルにはあまり相性が良くないかもしれません。

適度にドレープの利いた男らしいスーツに合わせると、このサンダースの「オフィサーシューズ」は活きてくるでしょう。

サンダースのコレクションは実用性に富んでいる

マッドガードチャッカ、オフィサーシューズと紹介しましたが、このようにサンダースの靴はとにかく実用性に富み、頑健なつくりになっている点が特徴になっています。

マッドガードはファッションアイコンにもなっています。

それでいて値段はアンダー5万円代と驚異的な値段。

この頑健さは、イタリア靴などではありえません。

丈夫でちゃんとした1足が欲しい、と思っている方にも安心のブランドですよ。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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