Church’s(チャーチ) Grafton(グラフトン) まるでノコギリクワガタ!男心をくすぐります

昨日紹介した外羽根の靴。

チャーチのオスロ。

今日もご機嫌に履いてしまいました。

まだまだ硬いですが、不思議なものでチャーチの靴というのは、半年履いて馴染みが十分で始め、さらにそこから半年、1年後でも足馴染みが出ていく靴です。

では、いつまで経っても痛くて履きにくい靴なのか、というとこれがまた違います。

常に履き心地が良くなっていくという表現が正しいです。

今年で6年目を迎えるディプロマットと、履いて1年を迎えるチェットウィンドでは同じラストの同じカーフレザーでも履き心地が違います。

やはり6年履いたディプロマットは革も柔らかさが出てきて、とても足にフィットしています。底の沈み方も違います。コルクも完全につぶれたということなのでしょうか。

う~む…。実に革靴は奥が深い。

よく靴が痛くて履けない、とギブアップする人をみますが、靴に対して真摯に愛情もって履き込んでいけば、きっと自分に合う靴になっていくのではないでしょうか。

ええ、全く科学的根拠のない精神論です(笑)

しかし、やはり履きやすい靴というのはありがたいものです。

特に外羽根の靴は、内羽根の靴と違って構造上締め付けもきつくないですし、緩くしようと思えば、かなり緩めることが出来るというところが良い点です。

その点だけでも内羽根の靴にない大きな魅力を感じることができます。

さて、今回紹介するのもチャーチの外羽根の靴です。

チャーチ御三家にも勝るとも劣らない名作、Grafton(グラフトン)です。

目次

Grafton(グラフトン)の概要

Grafton(グラフトン)は紛れもなくチャーチのブランドの中でも、代表的で人気のあるモデルです。

スタイルは外羽根のフルブローグ。

チャーチお得意のブローグシューズです。こんなにフルブローグの靴のクオリティが安定しているブランドはチャーチ以外にないと思います。それほどまでに完成度の高いスタイル。

ラスト173が使われており、その点はコンサルやチェットウィンドと同様です。

チャーチがプラダの傘下に入る前の、ラスト73の時代から登場していたモデルで、カタログによると1973年に誕生したモデルだそうです。

ラスト73の系譜にある靴の中ではわりと最近のモデルです。

ラスト73の頃は、ずんぐりむっくりしていてカントリーな雰囲気がありましたが、ラスト173にアップデートされたことによってスマートなエッセンスが加わり、よりオンオフ問わずに履ける靴になったという印象です。

グラフトンは基本的にポリッシュドバインダーカーフが採用されているモデルが多くなっています。

これによって雨や雪などの水気に対しての耐久性がぐんと上がります。雨の日でもガンガン履いちゃいましょう。

グラフトンはグルリと外周をストームウェルトが巻かれているため、ウェルトと甲革の隙間からの水の侵入にも強くなります。

さらに念を押すかのように、トリプルソール使用になっているので、ソールが分厚く、ますます水の侵入には強い強靭な靴となっています。

たとえレザーソールタイプのグラフトンであったとしても、土砂降りの雨の中をわざと履かない限りはヘタレません。実用性に富んだ靴です。

ポリッシュドバインダーカーフの黒のグラフトンを見ていると、ギザギザや穴飾りの意匠がまるでノコギリクワガタのようなシャープさと剛健さを彷彿させます。

余談ですが個人的に同じチャーチのShannon(シャノン)はカブトムシっぽいような雰囲気があるといつも思っています(笑)

グラフトンでポリッシュドバインダーカーフ以外に使われることの多い素材がグレインレザーです。

こちらはグラフトンのカジュアルでカントリーな一面を引き出し、カントリーな印象が大きく増します。

ポリッシュドバインダーカーフのグラフトンとは、同じモデルの靴とは思えないほど表情を変えますね。

うう~む。やっぱり革靴は奥が深い。

グレインレザーももちろん雨に強い素材ですから、こちらも雨の日でもガンガン履いていくことができます。

ポリッシュドバインダーカーフの欠点である、経年変化の深みの乏しさが、グレインレザーになると解決します。

雨に強くてかつ、経年変化を楽しみたいという方は、グレインレザーのタイプをお求めになってはいかがでしょうか。

アメリカ靴っぽい? いえいえ、やはりイギリス靴なんですよ

さて、このグラフトン、外羽根のウイングチップという点でまるで往年のアメリカの靴のような雰囲気を持っているといわれますが、それはちょっと違うと思います。

誤解される要因が、ロングウイングチップのようにみえる切り返しです。

ロングウイングチップとは、ウイング状になったパーフォレーションが土踏まずの部分で落ちずに、カカトまで延び、まるでぐるりと靴を一周するようになっているタイプのものを言います。

アメリカ靴やアメトラの靴はロングウイングチップが多いです。

いい例はこのリーガルのウイングチップでしょうか。

対して、グラフトンはウイングのパーフォレーションは土踏まずの部分でいったん落ちています。

Church’s チャーチ GRAFTON グラフトン ウイングチップ レザーソール BLACK CALF (LAST 173) 【Fitting F】 ≪UK直輸入・正規品≫

代わりに羽根まわりのパーフォレーションがぐるりと一周しています。これはロングウイングチップではなく、ロングバンプ型のパーフォレーションといいます。

とてもややこしく、靴好きの方でもちょっとわかりにくい差だと思います。

ぶっちゃけ私はどっちでもいいと思っているのですが!(笑)

ともかく、いわゆるロングウイングチップ型じゃないので、アメリカ靴風とも言い難く、アメリカ靴のような変なダサさもラスト173のフォルムによって感じさせません。

やはりイギリス靴というのを感じさせる気品があります。

同じラスト173の靴でも、サイズ感が違うという声も聞きますが…

さて、このグラフトンですがネット上でみると、同じラスト173の靴の中でもサイズ感が違うと感じる人も少なからずいるようです。

私も若干グラフトンがゆるく感じるのですが、その要因はハッキリとわかっています。

①外羽根の靴なのでゆったり感じる

②同じラスト173の靴でもトリプルソールになっているので、ソールの返りが新品時はとにかく悪く、馴染むまでカカトのホールド感を感じにくい

③トリプルソールのためか、シングルソールのラスト173のモデルよりも、沈み込みが大きく、サイズ感がかわり変わる

この3点が要因です。

コンサルなども同じラストを使っていることは間違いないので、この3点によってサイズ感の違いを感じるのだと思います。

なお、私はグラフトンだからといってサイズを変えてはいません。

外羽根の靴でも、オスロとは趣は全く異なる

オスロに引き続き、外羽根の靴を紹介しましたが、同じメーカーでも全く異なる雰囲気を出していますね。

この差が靴の奥深さを感じさせます。

オスロがシャープさを追究したドレスシューズだとしたら、グラフトンは悪路をものともしないカントリードレスといえるでしょう。しかし、トリッカーズにはない洗練さをもった、グラフトンにしか表現できない独自の世界観があります。

こんなノコギリクワガタみたいな靴を履いていると、男の心の中に眠っている少年の心がくすぐられるかのような気分になること間違いありません!

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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コメント

  1. まるすけ より:

    初めまして、コメント失礼いたします。
    いつもブログを拝見しております!

    もしご存知でしたら教えていただきたいのですが、最近Bloomingdale’s別注と思われるチャーチを入手したのですが、モデル名がわからないでいます。
    私のブログに写真等載せていますので、もしよろしければ教えていただけますと幸いです。

    • バーリーコーン より:

      まるすけ様
      コメントありがとうございます。
      ブログ拝見しました。
      インソックのロゴと別注先のネームが入っているという点、ライニングへの管理番号の文字の筆記体、底回りのピッチをみると
      恐らく旧旧チャーチ時代に製造されたものと思われます。

      申し訳ありませんが、モデルネームは私もわかりません。

      そもそも別注品はモデルネームが与えられておらず、管理番号のみというのも珍しくないので、この靴もその類なのかもしれません。

      ご参考になれば幸いです。

  2. まるすけ より:

    ご返信ありがとうございます。

    >そもそも別注品はモデルネームが与えられておらず、管理番号のみというのも珍しくないので、この靴もその類なのかもしれません。
    なるほど、そうなんですね。
    また旧旧チャーチ時代とのこともとても参考になりました。

    ご回答いただきありがとうございます。
    今後ともぜひよろしくお願いいたします。