前回の記事からの続きです。
セミブローグの靴が「タウン&カントリー」という文句が明確にうたわれていたのが、とても新鮮でした。
ブローグ=穴飾りはカントリー由来のデザインであるというのは、紳士靴を知る方なら、共通の認識であるとは思うのですが、現代において、セミブローグの靴がカントリーシューズであるというのは、理屈はわかっていても感覚がわからない部分もあります。
さて、今回紹介するのは、内羽根フルブローグシューズについてです。
同じく、1948年のChurch’sの広告に載っているフルブローグシューズはこのように紹介されています。
今なお残る名作Chetwynd(チェットウィンド)ですね。
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1948年の時点で、ChetwyndⅡなるものが出ているわけですが、いったい何をもってⅡとするのかは私もわかりません。ご存知の方いらしたら教えてください。
短い文章ですが、その価値観はなかなか面白いことが書いてある様子です…。
英語はあんまり得意ではないのですが
「金曜日は仕事漬けの日々から抜け出し、快活なあなたが現れ変身する。決して優れた人を育てるという靴ではないけど、人の魂は自らのものであるという愉快な妄想を抱かせる」
というような意味でしょうか。
英語詳しい人、もっと完璧な訳をお願い致します!
目次
完全に週末靴扱いなフルブローグ
訳の拙さは少々目をつぶっていただくとして、この広告文を読む限り、フルブローグの靴のことを
「フルブローグシューズはビジネスで履くことはもちろんできるけど、金曜日のような週末に履くカジュアルな靴」
と捉えていたことは間違いないと思います。しかも内羽根でそういう考えになっていたのかと思うとちょっと面白い考えです。
現代においても、やはりその装飾の華やかさから、敬遠する人もいます。
職種によっては完全にストレートチップかプレーントウしか履けないという方もいらっしゃるでしょう。そういった方には縁遠い靴になるのはわかるのですが、ウィークエンドを楽しむ用の靴と言い切られているのが、また硬派な考えだな~とも思うのです。
昔のロンドンのラッシュアワーの動画を見ると、男性はほぼ完全にスーツ姿で、履いている靴もストレートチップ、ないしはプレーントウというものが多いのです。
昔のイギリスのサラリーマンはバチバチに硬派だったんですね。と、いうよりファッション云々の前にそうあるものだと考えられていたのかもしれません。
今ほど価値観も多様ではなかったということでしょうか。
何だかんだ履くとかっちりしたイメージよ?
内羽根フルブローグの靴は履くと見た目以上にがっちりした感じが出るため、カジュアルダウンするのも難しく、やはり何かしらのジャケットとは合わせて履きたい思ってしまいます。
私の価値観の問題なのでしょうが、完全カジュアルな格好に内羽根フルブローグはやや難しいと思います。特にチェットウィンドのようなドレス感のあるものならなおさらです。
私がフルブローグシューズを履くときは、スムースレザーであれば、黒でも茶でも完全にドレスアップしたときにしか履くことはありません。スエードになって初めてちょっと手が出しやすいかな?と思い始めるレベル。
もちろんフルブローグの靴をカジュアルに履く人もいますが、個人的にそういったスナップショットを見ても、大体なんだかちぐはぐな印象を受ける場合が多いのです。
フルブローグはカジュアルという認識は変わっていない
完全にカジュアルなものだとは言えないと私は思っていますが、それでもストレートチップなどと比べると華やかな印象のある靴ではあります。
そして世間一般的には、カジュアルシューズとして捉えられているというのもわかっています。
それでも昔から紳士の国イギリスで、1940年代に内羽根フルブローグの靴を週末靴と捉えていたというのは非常に面白い発見でした。
フルブローグの靴はイギリス人好きでしょっちゅう履いているんでしょ?とかってに思っていました(笑)
そしてフルブローグの靴に対する感覚が、今なお日本で(イギリスでも?)似たような感覚で引き続いているところにも、ファッションの普遍性というものを感じた次第でした。
皆さまは内羽根フルブローグの靴をどのように捉えますか?
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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