セミブローグはカントリーシューズ⁉ 1948年の価値観

私事ですが、一時期からするとビンテージシューズを血眼になって探すことはめっきりなくなりました。

たびたび取り上げているのですが、ビンテージシューズは革質が素晴らしいことが多いのですが、見た目ではわからない経年劣化を起こしているもので、「ババ」を引くとソールが割れたり、革のくたびれが早かったりすることもしばしばあるのです。

それから思ったよりも出来栄えが良くないものもあるし…。

ビンテージシューズこそ集めることはめっきり減りましたが、資料をちょいちょい探したりするのは、いまだに続けています。

普通のサラリーマンなので、お金を出してまで買うことは滅多にありませんが、それでも「これは!?」と思うものは買ったりしています(笑)

何気ないカタログや、広告も今となっては貴重な資料なのです。

デジタル化が激しい今であっても、ブランドカタログなんかをとっていると、後々資料的価値が出てくるかと思います。

広告の何気ない一文句にも当時の捉え方などが残っているものです。

と、いうことで今回の記事タイトルにある「セミブローグシューズはカントリーシューズなのか?」という問題を掘り下げていきたいと思います。

目次

1948年の広告

毎度おなじみのChurch’s。1999年にプラダに買収されて以降、前衛的なデザインの靴を積極的に出していて、良くも悪くも話題が尽きないブランドです。

1873年から創業しているというから驚き。1873年は岩倉使節団が帰朝したという年だそう。岩倉具視が活躍していた時代にメーカーとして誕生しているんです。何だか実感があまり湧きません。

Church’sは長らくFamous English Shoesとして、イギリス靴の、特に日本においては代表格ともいえるブランドでした。

そんなChurch’sが残した1948年の広告にも…

はい。ラストこそマイナーチェンジしていますが、今でも作り続けられているDiplomat(ディプロマット)がしっかりと掲載されています。

ここで注目してほしいのが、「for town and country.」と謳われていることです。

「カントリー」に向けて、ディプロマットが推奨されていたのです。

現在のセミブローグはタウンがメイン

現在日本において、セミブローグの靴というと、ビジネスシーン向けのフォーマルシューズの一種として考えられているのではないでしょうか。

特にスムースレザーのブラックであれば、スーツ・ジャケットスタイル以外に合わせるのは、かなりの工夫がいると思います。

私自身、セミブローグの靴はジャケットスタイルでドレスアップしたとき以外では履くことはありません。

特にディプロマットのような内羽根のセミブローグであればなおのことです。

セミブローグはカントリーに使えるのか?

これに関しては素材・ラスト・オケージョンによるとしか言えません。

基本的に黒以外、茶系であり、特にスエードなどであれば可能であると考えます。

なぜちょっと濁したような表現になっているかというと…

もちろん、カントリースタイルに履けなくはありませんが、日本の風景とマッチしにくいうえ、やりすぎるとコスプレ感が出てしまいかねません。

ラスト73を所有したことがある方なら納得いただけるかと思うのですが、ラスト73の靴というのは、捨て寸も短く、ラスト173よりももっとスクエアで、カジュアルな雰囲気もある靴です。

このラストがタウン・カントリーのどちらのスタイルにも合う要素を靴に与えているのは間違いないと思います。

とはいえ、ブラックのスムースではちょっとタウン感が強すぎるので…

ここで初めてブラウンカラーのセミブローグが登場するというわけです。

Church’sのブラッケンアニリンカーフのカラーはイギリス独特の赤味が強く、逆に現代的スーツに合わせる場合少し工夫が必要になると思います。

こんな色です。

だからこそ「カントリー」には持ってこいだったのかもしれません。

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こんな感じのブラウンやグリーンといったアースカラーのジャケットとキャバリーツイルのパンツなんかと合わせれば確かにカントリー。しかし、日本においてはいささかやりすぎな感じがあります。

キャバリーツイルももっとラクダ色でヘビーウェイトのものが本来のイメージでしょう。

お洒落なんだけど、趣味的すぎるというのがネックになるんです。

悪く言えばオタク感ムンムン。これで東京・大阪あたりを歩いていたら田舎の紳士が出てきちゃったよ(笑)となってしまいます。

その趣味的すぎる雰囲気を消すにはとにかく着て着馴染ませるしかありません。そこまでがまず大変だと思います。

日本ではちょっとコスプレチックに…

おそらく1948年の広告で謳っていたのは、カントリージャケット・パンツにあわせたスタイルに合わせての「カントリー」という意味だったのでしょう。

本来の意味でのカントリーです。

そして、その「カントリー」を現代日本で行うと、コスプレチックな雰囲気になってしまうので、気軽にお洒落をするという意味ではあまりお勧めができません。

休日であろうと、ジャケットを着るというのが当たり前・かつ風景に溶け込むだった時代だからこそ根付いた価値観なのです。

日本の田舎でやっても、雰囲気は出ないでしょうね。

本当のカントリースタイルに寄せるのには、ライフスタイルとして根付いた状態でないと結構難しいと思うのです。

日常の風景でなければいけません。

だから、ブラウンカラーであっても、カジュアルに使うのは難しいと感じますし、無難にスーツ・ジャケパンスタイルに合わせるべきなのではないかと私は思います。

アパレル関係者はともかく、一般的な方がお休みを楽しむのであれば、前回の記事で話題になったチャッカブーツくらいで楽しむのがちょうどよいと思います。

無理ではないと思うけれど、日本において、ことに現代においては難しいと感じる…。

時代と価値観の変遷・違いというものを強く感じた次第です。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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