イタリア靴を紹介していて、とても欲しくなってしまった軽いコインローファー。
オフ用に1足欲しい。どうしても欲しい!
輝けライフ!の運営は悪魔のように忍び寄る物欲との戦いの連続なのです。
しつこいほど紹介しているチャーチのBecket(ベケット)が最近のオフ用の靴として最適なのですが、もっともっとリラックスして気楽な雰囲気を出したい時には、ちょっと気合いが入って見えてしまいます…。
チャーチのPembrey(ペンブリー)というビーフロールのコインローファーも好きなのですが、いかんせんグッドイヤーで硬すぎるのが難点。
そもそもローファーは履いて一日歩き回るべき靴ではないことはわかっているのですが
やはりローファー系はイタリアの靴を履きたいところです…。
フェランテがいいかなぁ。サントーニやエンツォ・ボナフェは予算オーバーだし…。
さて、今回も連日続くエドワードグリーンのお話をしていきたいと思います。
今回取り上げるのは内羽根セミブローグのCadogan(カドガン)です
目次
エドワードグリーン Cadogan(カドガン)
Cadogan(カドガン)はエドワードグリーンの靴の中で、最も人気があり、有名なモデルです。
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前回紹介したChelsea(チェルシー)と以前紹介した内羽根フルブローグのMalvern(マルヴァーン)と一緒に、エドワードグリーンの靴の御三家といって差支えないほど、エドワードグリーンの代表作として認知されています。
エドワードグリーンの靴で見かける、ハートの形に似たようなメダリオンを見れば、靴好きの方はそれだけでカドガンだとわかります。
カドガンに主に使われるラストは202。エッグトウと好相性のバランスの良いセミブローグです。
ラスト202とエドワードグリーンのモデル管理について復習
このラスト202はチャーチでいうところのラスト173に相当する、エドワードグリーンを語る上で絶対に欠かせないラストです。
このラストで作られた靴は絶妙なバランスのイングリッシュエッグトウになります。
ポルシェ911の流線形にインスパイア受けて作られているそうです。
ラスト202は1940年代に誕生したそうです。
その古くから使い続けていたラスト202は、現在のラストとは異なっています。
どういうことなのでしょうか?
エドワードグリーンは1970年代から1990年代の間、経営の状態が良くなく、一時期はアメリカの資本になったりしたことがあります。
そして1990年代にエドワードグリーンの工場はジョンロブに買収されるという事態に陥ります。
エドワードグリーンの詳しい歴史は以前当サイトで紹介しておりますので、そちらを参考にして下さい。
この工場買収に伴い、今まで使っていたラストも権利の関係上使えなくなってしまったのです。
そのままのラスト202を使えないエドワードグリーンは、旧ラスト202の改良に着手します。
足の親指と小指の付け根あたりを結ぶ、足の横幅で一番太くなっている箇所を「ボールジョイント」と呼んでおりますが、このボールジョイントを中心に甲回りをやや広げて、より万人にフィットするように改良しました。一般的にはこの改良を施す前のラストを「旧ラスト202」と呼んでいます。
この旧ラスト202が好きで、いまだに探し求めている愛好家も多いのです。
エドワードグリーンはラスト(木型)が合わなくて、そのモデルを断念する人がいないように、デザインでモデルを管理しているちょっと珍しいスタイルをとっています。
カドガンは人気モデルの為、「木型の乗せ替え」をしたモデルもあります。
チェルシー同様、ラスト82のモデルが有名です。
ラスト82は2004年に誕生したラストで、ラスト202の系譜を次ぐ新しいラストです。エッグトウと足当たりの良いアウトサイドカーブの履き心地は評判も良いです。
ラスト202に比べ、細身になっていることから、よりモダンな雰囲気を生み出すことに成功しています。
セミブローグはCadogan(カドガン)とDiplomat(ディプロマット)の2台巨頭
完成度が抜群に高いカドガン。実は内羽根セミブローグというスタイルの靴を見渡した時に、他に比べる靴はほとんどありません。
比べられる靴と言ったらChurch’sのDiplomat(ディプロマット)くらいでしょうか。
セミブローグはこの2作だけ知っていればというくらい、セミブローグの靴はこの2モデルに集約されるといえます。
あともう1足あげるとしたら、日本の靴ブランド、ペルフェットのカンピドリオくらいでしょうか。
カドガンの方が全体的に貴族風味でしょうか。上品さではディプロマットよりも圧倒的にあり、革の質も高く、エドワードグリーンの靴を履いたことのある方なら共感いただけるかと思いますが、グッドイヤーウェルト製法の中でも馴染みが早いのが特徴です。
しかし、毎日履くような靴かというとちょっと疑問で、革のクラックは他のイギリス靴に比べると入るのは早いような気がします。柔らかさを重視した結果なのでしょうか。
その点ディプロマットは革も硬く、馴染みも遅く、武骨な雰囲気ですが、日常使いするには最適の1足といえます。
個人的な経験から言えば、エドワードグリーンの靴よりもチャーチの靴の方が長持ちしました。革が硬く厚みもあるだけ、甲革のクラックが入るのがチャーチは遅いので。
やはり日常使いを考えているのはチャーチの方に軍配があがるようです。
と、いってもこの比較はあえて言っているだけです。
どちらも素晴らしい靴であることは間違いありません。耐久性もどちらも申し分なく、たまたま私の履いていた靴がそうなっただけといえる、些細な話です。
セミブローグで納得できる靴というのも、とても少ないです。
セミブローグを探している時はカドガンかディプロマットを検討されるのはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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