3ピーススーツにベルト メンズファッションの「クラシック」とは何なのか?

ここのところ、紳士服メーカー、紳士靴、それに伴うショップはクラシック回帰と謳っています。まだしばらく、あと数年はこの流れは続くと言われています。

久しいですが、実際のところClassic(クラシック)とは一体何を指すのでしょうか?

現代において使われる「クラシック」の意味は、「古典的」と訳すところが一般的です。

時間が経過したのを感じさせるとクラシックと捉えられるようになっていきます。

ですが、ひとくちに古典的なスーツといっても、人によって捉え方は様々になってしまいます。1930年代のスーツは当然クラシック。ここから60年代までは、時間経過的に捉えてクラシックと感じる人が多いかもしれません。

しかし、人によっては1980年代から90年代のバブル経済期のジャミラよろしく肩パットモリモリ、ショットガンを片手にバイクを運転する舘ひろしや柴田恭兵のスーツ姿をクラシックと感じる人もいるかもしれません。

MEN’S EXなどのメンズファッション雑誌をみていると、ブレイシーズ(サスペンダー)なんかをつけているのを、ちょっとひと昔前のファッションでベルトをしていないところがお洒落、的な意味合いと雰囲気を含ませて「クラシック」と言っているような気がします。

この言葉だけ独り歩きしている「クラシック」という言葉を今回の記事は落とし込んでいきたいと思います。

あくまで、輝けライフ!の私見なのでお茶でも飲みながら気楽に読んでみて下さい。

目次

輝けライフ!が考えるクラシック=普遍性

まずこのサイトの立ち位置をお話します。

私の考えるクラシック(狭義的には紳士もののスーツや革靴における)とは「普遍性」だと思います。

普遍性とは「すべての物事に通じる性質。また、すべての物事に適合する性質」を意味します。

普遍性はClassic(クラシック)の本義ではありません。

しかし、元々クラシックという言葉は、「Class」という言葉に由来します。

Classには、学校教育でも浸透している「級」という意味もありますが、根本的には貴族などの間で使われていた「階級」を表す言葉です。

よって

「最高の」

「一流の」

「気品・教養・礼儀が備わっていること」

という意味合いが潜在しているのです。

「最高で、一流で、気品があって教養と礼儀があるように見えるもの」は当然時代性に左右されるものではありません。

よってわかりやすいようにこの意味合いをかみ砕き、私は「クラシックなスーツ」というのは「普遍性のあるスーツ」というものだと思っています。

ですから冒頭にちょろっと書いてある「クラシック回帰はここ数年続く」という言葉自体、私には違和感を覚えずにいられません。

ちなみにファッション用語的に、クラシックの反対に位置するのが「モード」という言葉です。流行を常に取り入れたスタイルの事です。

その年のハイブランドのコレクションを必ず取り入れ、常に最先端を走ります。

ゆえに流行り廃りのあるのがモードファッションです。

これはこれで刹那的で面白いです。

クラシック(普遍性)≠原理主義

この普遍性を意識して、洋服は選ぶととても上品な雰囲気になっていきます。時代性に常に迎合しているわけですから、流行なんてお構いなしです。

この普遍性を追求するためには、スーツの成り立ちを調べるのは必至です。

スーツの成り立ちを辿っていく作業は、あまり突き詰めすぎると(と、いうよりは時代感をアレンジせずにそっくりそのまま復刻すると)、原理主義的になるので、そこは上手に時代感を取り入れなければならないのですが、これが非常に難しいラインです。

例えば現代のスーツのスタイルが完成したと言われるのが、1930年代と言われていて、クラシックスーツの規範とされることもありますが、ひとつひとつのディテールを見ると、裾幅が30センチという、現代の感覚からすると異様な雰囲気になりがちです。

これは私の中では、クラシックファッションというよりは原理主義的ファッションになってしまうと思います。

1930年代がスーツの原型なのだから、その原型を突き進めるためには、裾幅は○○センチでラペルの幅は…というような感じに行くと、ただのコスプレになりがちです。

それは、その時代のファッションとは全く異なってしまうからです。

私は実際に1930年代のタキシードをみたことがありますが、生地そのものが昔と今では全く異なり、もっと野暮ったくざらざらした生地で、全くエレガントさはありませんでした。

このように意外と落とし穴もあります。

やはり、一目見て自然な雰囲気になっていないと、普遍性は得られません。

クラシックなファッションには、自然と調和したような雰囲気が大切なのです。

3ピーススーツにベルトが許せない

最近ありとあらゆるところで、3ピーススーツにベルトをつけているというのが、目立ちます。

大手紳士服量販店をはじめとし、高級品も置く有名セレクトショップのカタログなどで、このスリーピーススーツ+ベルトといういで立ちが目立ちます。

知り合いではテーラーで作ったのに、3ピーススーツ+ベルトといういで立ちの人もいました。

スーツが好きな方はご承知でしょうが、3ピーススーツにベルトをつけるというのはあり得ません。

共地、もしくは上下の生地になじむウエストコート(ベストの事。ジレともいいます)で、あたかも上下全てがつながっているかのようにスーツは見えなくてはならないのです。

これは、そもそも下着として扱われていたワイシャツを出来る限り隠すという役目がウエストコートにはあったのです。

その一連のつながりを壊すのがベルトです。

ベルトのバックルで浮き上がったウエストコートはかなりダサいです。

せっかく生地の連続性がある中にバックルが見えたりするのは、非常に美しくありません。

そして、これは一見原理主義的な価値観に見えますが、そうではないといえる一面があるのです。

今のスーツのほとんどが最初から3ピース向けじゃない

3ピーススーツはこの原則があっても、3ピーススーツ+ベルトといういで立ちが目立つのはなぜでしょうか?

そもそも3ピーススーツは、まるで一枚の布で出来ているかのような、生地の連続性の中に美しさが宿すものです。

パンツの丈は、昨今のトレンドからしたら考えられないような、股上の深いハイウエストのパンツを履きます。

その丈のパンツを履いたうえで、ブレイシーズ(サスペンダー)でパンツを吊ることにより、ウエストコートとパンツの間に隙間がなくなり、シャツが露見することもなくなり、美しい連続性を保つことができるのです。

だから、もしスリーピーススーツ向けのパンツを真夏に履くと、ジャケットを脱いでいる時には、ハイウエストなパンツ姿になってしまいます。

おっさん臭くは見えます。

そして3ピーススーツ向けのパンツは、ブレイシーズなしでもきちんとずり下がらず履けるものであるものです。やはりテーラーメイドになるため1着あたりの値段はかなり上がる傾向にあります。

そうです。

そもそも3ピーススーツは、合いもので3シーズン着れて、欲を言えば真夏でも乗り越えられちゃう!的で安価な吊しのスーツには、その成り立ちからして方向性がまるで違います。

今風のカットと美しい3ピーススーツが迎合するわけがないのです。

高かろう安かろうではなく、イージーオーダーでいいので、とにかく自分の体形に合わせたオーダーメイドで作るべきなのが3ピーススーツです。吊るしは考えにくい。

3ピーススーツ+ベルトはアパレル業界の怠惰

ジャケットを脱いでもパンツの丈が変に見えないようにするためには、股上を浅くすること。

股上を浅くすると、ウエストコートの丈が足りなくなり、ウエストコートとパンツの間に隙間が出来ます。ここにベルトが来るから余計に変に見えるということです。

これは時代性によるファッションの変化ではないと思います。

ジャケットを脱ぐ機会が多い、ジャケパンスタイルでもパンツがおかしく見えないように、丈を短くします。これで夏場も使えるパンツは完成。

そこに薄っぺらい「クラシック回帰」という言葉をのっけて、ウエストコートまで関連販売できるようにしていく。

さらに「最近はベルトをあえて見せるのがポイントですよ、たまにはクリップ式のサスペンダーで気分を変えてもいいですね」なんて言われたら、そこまで造詣の深くない消費者はコロッと騙されてベルトまで買ってしまいます。

3ピーススーツにベルトをつけるのは、企業がパーソナルに合わせた提案を怠っている、怠惰な姿勢から来るものだとしか思えません。

こういうアパレル業界の行動には怒りを覚えます。

スーツを扱っている企業なら、3ピースにベルトというのがどれだけおかしなことかは知っているはずなのに、なおもその動きを止めようとしません。

最初から美しい3ピーススーツは最初から存在していないのですから。

金を巻き上げる為のスーツを売っているだけです。

最近まで日曜ドラマでやっていた「99.9」でも香川照之さんが3ピーススーツ+ベルトという装いをしていました。

一体スタイリストは仕事をしているといえるのでしょうか?ファッションを突き詰めているといえるのでしょうか。私は言えないと思います。

もし、皆さんがきちんとした3ピーススーツが欲しければ、ちゃんとテーラーに行くのがベストです。

ウエストコートをとって2ピーススーツとしても着たいと申し出たら、優良なテーラーなら、ベルトループはつけようか?それともベルトレスでブレイシーズをつけなくても、ずり下がらないようなフィット感が抜群の方向にもっていくかを、親身に提案してくれるはずです。

靴は3万5千円以上の物なら、流行に左右されにくい

なお、靴はきちんとソールを縫い合わせて作られた本格的な作りをしているものであれば、流行によって人気があったり、なかったりというものはあるものの、スーツほどスタイルにうるさくもありません。

大体3万5千円前後で、大きくそれ以下とそれ以上の差が値段以上に表れてきます。

なお、どちらかというとイギリス系のスタイルの靴の方が普遍性のある佇まいになります。

クロケット&ジョーンズなんかは時代性とクラシックを上手く調和するイメージがありますね。

普遍性の中に自分のスタイルを見出す

ファッションを楽しむのは、普遍性を知り、たしなむこと。

そしてその普遍性を作り出すルールの中で、自分なりにアレンジを加えることが、ファッションの楽しみ方のひとつです。

輝けライフ!的クラシックファッションは、一見ファッションスタイルが凝り固まりそうなイメージですが、シャツ1枚、ネクタイ1本で印象は180度変えることができるので、奥深いものです。

 

ぜひ、皆さんも自分のスタイルを確立されてみてはいかがでしょうか。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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