イギリスの靴ブランドは基本的にストックビジネスです。
対してイタリアの靴ブランドはフロービジネスです。
両者の違いは以前詳しく紹介した記事があるので、よかったらそちらのほうもご覧ください。
それゆえにイギリス靴ブランドは同じモデルを大切にロングセラーすることも多く、定番モデル、看板モデルとしてそのブランドの屋台骨となっていくのです。
その中でも特に有名なモデルを3つ選んで、輝けライフ!では「御三家」と称しています。
特にブランドやお店で
輝けライフ!的な有名イギリスブランドの御三家の例を挙げてみましょう。
エドワードグリーンなら
の3モデル
チャーチなら
の3モデル
チーニーなら
の3モデル
このように見ていてお分かりかもしれませんが、いずれのブランドも内羽根ストレートチップ、内羽根セミブローグ、内羽根フルブローグの3モデルに集中しています。
ストレートチップはごく基本の靴として、そしてブローギングシューズはイギリスらしいスタイルということなのでしょうか。
また、ほかのブランドと自分のブランドの一押しモデルのスタイルが被っても、自分のブランドは他のブランドに負けない魅力があるということなのでしょう。
そしていずれのブランドも「御三家」に使われているラスト(木型)がみな一緒だという共通点もあります。
エドワードグリーンはラスト202。
チャーチはラスト173。
チーニーはラスト125。
いずれも人気があるラストです。
チーニーに関しては、ここ十年ほどで経営がプラダグループから、チャーチ家のもとに移っているので、新鋭のラストです。しかし、クロケット&ジョーンズがOEMではなく自社ブランドの展開を強化したのと同じく、チーニーも自社ブランドの靴の展開を強化しており、自社の看板モデルを作っていくと名言しています。この経営が変わっているあたり、ちょっと複雑になっています。過去記事に詳しく説明しているので、そちらもご覧ください。
このようにイギリス靴ブランドは、看板モデルを据え置くものです。
そこで考えたのですが、クロケット&ジョーンズの場合、御三家は何になるのだろう?ということです。
そういうわけで、今回はクロケット&ジョーンズの御三家を考えてみました。
※この「御三家」というのはあくまで当サイトが勝手に決めただけであって、当該ブランドが公式に決めたものではありません。
目次
クロケット&ジョーンズの御三家
クロケット&ジョーンズは2000年代に入って、自社ブランドの靴を強く展開し始めたという経緯があります。それまでのクロケット&ジョーンズというと、ジョン・ロブやポールセンスコーン、ポールスミス、ラルフローレンなど他のブランドの靴をOEMで作っていたメーカーでした。
しかし、現在の社長であるジョナサン・ジョーンズ氏が社長になってからというもの、自社の商品の展開を強化したのです。
なので、この点はチーニーとそんなに大差がありません。事実、現在クロケット&ジョーンズの顔となっているオードリーは使われているラスト自体が2000年代に入ってから完成しているので、歴史自体は深くないのです。
こうなってくると選ぶのがかなり難しくなってくるのですが、今回はなんとか絞り込んでみました。
Audley(オードリー)
クロケット&ジョーンズの現在顔ともいえるモデルになったのがオードリーです。
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クロケット&ジョーンズの高級ライン、ハンドグレードラインに分類されるストレートチップです。
2002年に誕生したモデルで、パリラストとも呼ばれる、ラスト337が使われたセミスクエアトウの内羽根ストレートチップの靴です。
非常に上質で柔らかなカーフが使われており、中敷きも全敷きになっており、クッション性も抜群です。普遍性を持った靴です。
オードリーはラストによって5つもの種類に分かれるのが特徴です。オードリーと名前がついているだけで全く別の靴になっているのもありますが、現在手に入れることが比較的簡単にできるのは、初代オードリーとオードリー3になります。
Belgrave(ベルグレイブ)
輝けライフ!が一押しの内羽根のパンチドキャップトウです。今まで何度となく話題にしてきました。内羽根のパンチドキャップトウの靴が欲しくなったらベルグレイブの検討は外せません。それほどの名作です。
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オードリーと同じくラスト337が使われており、セミスクエアトウが特徴です。
さりげないパーフォレーションひとつで、オードリーとは全く異なる表情になります。
個人的には同じパンチドキャップトウのエドワードグリーンのバークレーよりも好きです。
バークレーはスワンネックがうるさく感じます。
昨日の記事を書いていて、なぜベルグレイブを買わなかったか、本当に後悔しました(笑)
クロケット&ジョーンズはこういうスタイリッシュな靴を作るのが得意な気がします。
Chertsey(チャートシー)
チャートシーはラスト224を使ったボリューミーなチャッカブーツです。
1960年代から製造が続くロングセラーモデルです。
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本当はドレスシューズで御三家を決め切りたかったのですが、他に候補がどうしても出てこなかったので、チャートシーを選びました。
実際人気のモデルですからね。
クロケット&ジョーンズの「御三家」を決めてみて思ったこと
クロケット&ジョーンズには名作がたくさんあり、選ぶのがとても難しかったです。
他のどの靴ブランドのモデルよりも欲しくなる強い「名作」がある、というよりも「良作」が多い、というイメージでしょうか。
実際にタッセルローファーのCavendish(キャベンディッシュ)は1960年代から作られていて、ここ数年のトレンドを引っ張り続けているわけですが、一過性の人気が手伝って特に今目立っているような気がしないでもないわけです。
他にもUチップのモールトンなど色々候補がありました。
選んでる途中、クロケット&ジョーンズは他のイギリス靴ブランドよりも、ブローグシューズが候補に出てこないことにも改めて気が付きました。
スタイリッシュな靴を手掛けることが得意なので、カントリーな雰囲気の短靴を作ることはあまり得意ではないのかもしれません。
事実、クロケット&ジョーンズのセミブローグとフルブローグでは名作と呼べるようなモデルはないと思います。(もちろん良作はあり、他にはない雰囲気がありますが)
賛否両論があるクロケット&ジョーンズの御三家。
皆さんが思う御三家がありましたら、コメントなどでどしどしご意見をお聞かせください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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