ハンドソーンウェルト製法の靴を履いたことがありますか?
ハンドソーンウェルト製法の靴は、グッドイヤーウェルト製法の元祖となった製法で、その工程がほとんど手作業で行われることから、別名9分仕立てともいいます。
ハンドソーンウェルト製法で仕立てられた靴は、反り返りが大変柔らかく、足馴染みが良いという点と、コルクが中に詰め込まれているためにクッション性も期待できます。
なおかつその靴が軽いため、無駄に重くありません。
10あるうちの9を手作業で行うこの製法は、グッドイヤーウェルト製法が開発されるまでは、靴の製造方法のメインを占めていましたが、機械製のグッドイヤーウェルト製法が開発されると、その効率の悪さから市場からは姿を消していきました。
しかし、手で時間をかけて作り上げる靴は、それだけの足馴染みの良さを実現させます。
その古き良きハンドソーンウェルト製法の素晴らしさを圧倒的コストパフォーマンスで実現しているのがユニオンインペリアルの靴です。
先日紹介したばかりですが、間違いなく日本靴ブランドの中でもコストパフォーマンスに優れたブランドのひとつといえます。
今回紹介するのは、ユニオンインペリアルのプレミアムラインであり、同社のアイコニックモデルであるU1521です。
製法だけでなく、素材にもこだわったこの靴の魅力を掘り下げてみましょう。
ユニオンインペリアル U1521
ユニオンインペリアルのプレミアムU1521は、その名の通り、ユニオンインペリアルの中でも上級レンジの靴になります。
|
まず、使われている革がフランスのアノネイ社のレザーになっています。アノネイ社のレザーの中でも、「Union Box Calf」というものを使っています。ブラックは滑らかな革の肌理に加え、色味も青みが深くなったような黒々した落ち着いた雰囲気のレザーとなっています。
もう一色はダークブラウン。青みは弱く、赤みがかったブラウンです。アノネイはフランスのタンナーですが、フランスのタンナーは、マットで無表情な革ではなく、どことなく芸術的な色味と光沢感を生み出すのが得意です。このダークブラウンのアノネイレザーはまさに同社の特徴が強く浮き上がっているようなレザーです。
使われているラストはS42というもので、ウィズは3E表記となっています。3E表記ではありますが、極端な幅広の靴ではなく、程よくゆったりして履ける靴だと思います。
ハンドソーンウェルト製法ならではの、柔らかな履き心地が無理なタイトフィッティングで損なわれません。トウはラウンドスクエアで中庸的なシェイプをしており、ユニオンインペリアルの靴の中で比較するとショートノーズ気味です。
ユニオンインペリアルは、マレリー社との技術提携に始まり、イタリア的なコンチネンタルスタイルが得意なブランドでありますが、この靴はどちらかというとイギリスの靴に通じるようなオーソドックスな雰囲気があります。
トウにかけて緩やかなシェイプラインで作られているため、ボールジョイントよりも先の指周りにもストレスが少ないという点も実現させています。
レザーソールにイタリアの靴づくりを原点とする世界長ユニオン社の靴作りをイメージして、ヨーロッパに古くから伝わる伝統的な文様をモチーフにしたブランドロゴをあしらっています。
デザインはクオーターブローグなので、余程重大なシーンでない限り、ほぼ全てのビジネスシーンをカバーすることができる落ち着いたデザインとなっています。
ヒールカウンターの方に向けては、パーフォレーション(穴飾り)のラインが伸びていないので、クオーターブローグの中でもデザインはくどさがなく、穴飾りの靴を履いたことがない人でも、すんなりと履いて楽しむことが出来るでしょう。
アノネイのレザーを使って、ハンドソーンウェルト製法でこの値段。
革靴が好きな方から、本格靴に初めて飛び込む!という方まで、幅広いニーズの層をカバーできる実力派シューズです。
ぜひご検討されてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
|