ここのところ、チーニーが凄い凄いと言ってますが、露出の多さが本当に凄い。
チーニーの靴が載っていないメンズファッション雑誌など今や見つけることのほうが難しいレベルにまできています。
ある意味ではチーニーではなく、ブリティッシュメイドの運営元であり、チーニーの輸入代理をしている渡辺産業さんの凄まじい気合いの入れ方のほうが凄いのかもしれません(苦笑)
その露出の多さたるや、ともすれば、一時期流行った言葉「ゴリ押し」そのものと取られかねないほどの露出の多さです。
見方によっては「ゴリ押し」と取られかねないこのチーニーの快進撃ですが、私は「ゴリ押し」だとは思っていません。
ここでいったんゴリ押しという言葉について少し考えてみます。
「ゴリ押し」と言う言葉は剛力彩芽さんや綾野剛さんが出てきたときに良く聞いた言葉です。
彼らに知名度と実力(実力はあったのかもしれませんが)がほとんどないのにも関わらず、不自然なほどメディアに取り上げられていたために、事務所が猛プッシュしていることを視聴者も自然と察し、それに対するアンチテーゼとして充てられた言葉だったのでしょう。
特に剛力彩芽さんへのアンチは目を覆うものも多く、人の嫉妬がどれだけ恐ろしいものか考えさせられたほどです。
今ではお2人ともすっかり落ち着いて、ご活躍されてますが。(メゴッチ良かったね)
では、今、チーニーがこの「ゴリ押し」という言葉に当てはまるのかどうかというと、私は当てはまらないと思っています。
チーニーは本当に良い靴だからです。
なぜならば、チーニーはすでにその値段と素材の良さ、デザインの良さ、ラスト(木型)の良さという実力の面が伴っているためです。
チーニーの露出の多さが「ゴリ押し」だと感じる方は、昔のチーニーのイメージのまま時の流れがストップしてしまっているか、試し履きすらしたことのない、ハイブランド至上主義の方なのではないでしょうか。
チーニー社は130年を超える、長く深い歴史がありますが、現社長によってこのブランドが大きく舵を切ったのは2009年の出来事。
チーニーを傘下に収めていたチャーチが1999年プラダに買収されたとき、同じくチーニーも買収されたのですが、それをチャーチの創業一家である、ジョナサン・チャーチ氏がチーニー社を買い戻し、再び独立することになったわけです。
その買い戻しでブランドイメージが一新されるようになったのが2009年。
まだ10年も経っていない出来事なので、歴史の深さに対する行動の大きさが伴わないような印象がパッと見た時に感じるのかもしれません。
ただし、今までチーニーについてまわっていた、チャーチの安価版といった内容にはなっていないということをここでハッキリとお伝えしたいと思います。
125周年記念で作られたラスト125コレクションは、現在のチーニーの力量を示しているコレクションです。
ストレートチップのALFRED(アルフレッド)
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セミブローグのWILFRED(ウィルフレッド)
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→WILFRED(ウィルフレッド)について詳しくはこちらから
ウイングチップのARTHUR(アーサー)
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これらは恐らく何年も経たないうちに、それぞれのデザインの代表モデルとなっていくでしょう。まだ生まれて間もないモデルですから、もう少しだけ時間はかかるでしょうが…
まず、その履き心地の良さに驚かされます。
チーニーがもしイギリスだけの市場を見ていたら、考えもつかないだろうヒールカップが小ぶりな靴。カカトの小さい日本人にとっては嬉しい限りですが、少し落ち着いて考えるとチーニーとしては、大胆な変革だったであろうことが容易に想像できます。
ウィズの幅も絶妙で、フィッティングに関しては、個人的にクロケット&ジョーンズの337よりも抜群に良いです。
日本人に喜ばれて、かつ本国でも受け入れられるようなフイッティング生み出すラストの開発は大変なものだったでしょう。
また、イギリス靴ではほとんど使われないコードバン(雨が多いイギリス、特にロンドンでは水に弱いコードバンは実用性の低さから好まれないそうです)のモデルをブライドルレザーで有名なイギリスのクレイトン社のコードバンを使ったりと新しい試みを次々と行っています。
チャーチはインスタグラムを見てもわかるとおり、モードで明らかな高級路線をたどっています。クロケット&ジョーンズのような純シューメーカーのブランドは、1920年代の古い写真やモデルを出してその伝統をアピールしていますが、チャーチはモデルさんを使って白黒写真にしてみたりと、明らかに従来のイギリス靴とは別の方向に力を入れていることがわかります(昔のモデルも大切にしていますが)。
プラダを離れたチーニーが新たな道を歩んでいるように、チャーチだってクロケットだって新しい21世紀の紳士靴の道を歩んでいるのです。
パッと見た時に、伝統に重きを置いているのか、革新に重きを置いているのか、どちらに比重をかけているかは各々のメーカーのブランドのホームページを見るとわかりますが、比重のかけ方こそ違えど、伝統と革新の融合を試みているのはどのメーカーも同じです。
昔のイギリス靴のまま、新しいことをしないでしがみついていても淘汰されてしまうだけなのです。
今では全くイメージがないでしょうが、ABCマートでお馴染みのHAWKINSも、元は立派なイギリス靴を作っていたメーカーなのです。
その他にもクラークスやK Shoesなど幾多の素晴らしいイギリス靴ブランドも、もはや全くの別物になっているか、廃業に追い込まれているのです。
そんな中でチーニーの伝統と革新の融合への挑戦は素晴らしいものがあります。
実際、チャーチの靴とチーニーの125コレクションの革やステッチの細かさなど、両者に品質の差はほとんど感じられず、実力は肉薄しています。
チャーチが大好きな私ですが、もはや「チーニーよりもチャーチの方が断然良い」とは言い切れません。
伊勢丹で1of1のパターンオーダーを開催するにあたって、ジョナサン・チャーチがインタビューを受けているのですが、そこに面白い文がありました。
「この8年は伝統の整理、再構築の時代でした。ベビーだった< ジョセフ チーニー >はキッズを経て、ティーンエイジャーになりました」
下地があらかた整ったとして、次に打った手が1 of 1。< ジョセフ チーニー >初のパターンオーダーだった。昨年12月にジャーミンストリートの本店でお披露目、今後順次拡大していく予定という。
また、アッパーには名門ウェインハイマー社のカーフを計6色を用意したほか、本会期中は通常メニューにはないスエードを追加。ソールやライニング、ロゴ、レースカラーなども自由に選択することが可能となり、約120万通りの多彩な組み合わせをお楽しみいただけるのだ。
引用:【インタビュー】ウィリアム・チャーチ|<ジョセフ チーニー>による紳士靴新時代の幕開け
私はフェアに話したいので、ハッキリとお伝えしますが、この1of1のイベントはガッカリすると思います。
なぜならば、革靴の最大の魅力の「革」が全く選択余地がないからです。簡単に言うと選べる革が極端に少ないということです。
以前、ブリティッシュメイドで同様のイベントが開催されたときにこの1of1を見ましたが、あまりの革の種類の少なさに呆気にとられてしまいました。確かにインソックを選べたり面白みはありますが…革が用意出来ないのを誤魔化してるような感がありました。
しかし、ジョナサン・チャーチ氏に言わせれば
まだチーニーはティーンエージャー。未成年です。
この1of1で選べる革も今後はもっと増えていくでしょう。
このブランドが満を持して成人したときが楽しみでなりません。
クオリティはぴかいちですから。
今後ますますチーニーから目が離せません。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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