「ある出稼石工の回想 (岩波文庫)」という本をご存知でしょうか?
こんな小さな小さなサイトにもかかわらず、本当に毎日沢山の方にご訪問頂いている当サイトですが、恐らく多くの訪問者の中で、この本をご存知の方はまずいらっしゃらないのではないかとおもいます。
私がインテリぶって岩波文庫に一時期ハマっていた頃、出会ったのが「ある出稼ぎ石工の回想」という本です。
この本は19世紀、フランスの田舎出身の出稼ぎの石工、マルタン・ナドが書いた人生回想録です。
どんな時代にも不利な状況に屈せず、荒波を乗り越えていく方がいますが、マルタン・ナドもそんな1人です。
あくまで回想録なので、文学的価値があるわけでもなく、読みやすい本というわけではありません。
この本の何が素晴らしいかというと、19世紀、華やかなフランスを描いているものではなく、あくまで一市民が見た時代の変遷を克明に記し、当時の風俗習慣がありありと想像できるほど詳しく書かれているという点です。
これを読んだとき、勝手に描いていた19世紀のフランスのイメージは崩れさったものです。
まず、言葉は統一されていません。方々の田舎から出稼ぎにきた人達は腕っぷしのつよさもパリで育った人との文化の違い、その文化の優劣をつける街中では命に関わるほどの喧嘩が
お時間ある方は読んでみると面白いですよ。不屈の精神で現状打破するストーリーが好きな方にもおすすめです。
さて、前置きが長くなったのですが、個人のサイトが担うべき点もこういうところにあるのでは無いかと思うのです。
つまり、あくまで一市民が感じる時代の変遷をいつか遠い時代に見て振り返られるようにしておくことも何気に重要なのではないかと思うのです。
一市民の私がメンズドレスシーンを今「切り取ろう」と思います。
と、いうことで今回書きたいと思うのが、MEN’S EXについてです。
MEN’S EXの陰り
このサイトをご覧いただいている方の多くが、MEN’S EXを読んでいる、読んでいたのではないでしょうか。
高級紳士靴といえば、MEN’S EX。
MEN’S EXの世間への発信無しではここまで広まらなかったのではないでしょうか。
「最高級靴読本」に打ちのめされ、深い紳士靴の世界にどっぷりとつかった人は多いと思います。かくいう私もそうでした。
紳士靴のみならず、MEN’S EXがドレスシーンに与えた影響・功績は素晴らしいものです。
ところが、そのMEN’S EXに陰りが見え始めました。
MEN’S EXは毎号毎号表紙にその時々話題になっている有名人を起用していました。
起用しているというよりも、MEN’S EXに広告を出そうとしている会社があったのだと思います。
この表紙に異変があったのが、2017年9月号でした。
ジャニーズの岡田准一を起用したために完全にシルエットの表紙に…
表紙がシルエットなので、完全に「かまいたちの夜」状態に…。
この情けない表紙は2018年の3月号、TOKIOの松岡君が表紙になったときに再び現れました。
心なしか雑誌も薄くなってきたような気がします。
決定的な変化が起きたのが、その翌月号の2018年4月号。
とうとう有名人の起用をしなくなりました。
そこからどんどん内容も薄くなっていき、今月に出た2019年2月号にはもはやBEAMSとのタイアップ記事がほぼゼロに。
MEN’S EX=BEAMS Fのための雑誌とでもいえるくらい蜜月の関係であったのに、それが全くなくなっています。
雑誌もこれまで以上に薄くなっていました。
異変というよりも完全に赤信号…。
どうしてこうなったのか?
MEN’S EXとBEAMSとの間にトラブルがあった、編集者が変わった色々な要因が推測されますが、少なくともパワーダウンをしているのは火を見るよりも明らかな事実となっています。
2019年でもしかしたらMEN’S EXは終わってしまうのではないかとさえ思ってしまいます。
あれだけ読者を夢中にさせてくれたMEN’S EXはその面影すらなくなってしまっています。
夢の中と書いて、夢中。
まさに読者に夢の世界にいざない続けていた雑誌のはずなのですが…。
これも時代の流れというやつなのですかね?
…この記録が遠い将来に時代の変遷を感じさせるものとして読まれたら嬉しく思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。