エンツォ・ボナフェ 3513 履き心地の良さは9分仕立てからもたらされます

イタリア靴ブランドは北の地方で作られるものと、南の地方で作られる靴の顔つきが大きく違います。

ミラノなど北にいけばいくほど、クラシカルでまじめな雰囲気の靴が多いです。

例えば、ア・テストーニステファノ・ベーメルの靴などはその代表例です。

逆に南にいけばいくほど、明るくてデザイン的にも他には独創的な雰囲気になっているものが多くあります。

ナポリのブランドがその好例です。例えば、フェランテフランチェスコ・ベニーニョの靴などがその好例です。手染めの技術を使って、イギリス靴などでは全く見ることのないムラ染めの靴が多いです。

靴を選ぶときもその方のキャラクターが大切です。少々派手でもその方の雰囲気とマッチしていたら、それほどいい靴はないかと思います。

たとえば石田純一さんがガチガチの古臭いイギリス靴を履いていたら、だいぶイメージが変わると思います。それもあまりよくない方向に。やはり軽やかな方は軽やかな靴を履いていた方がそのイメージに合うと思います。

逆にその人その人のキャラクターにマッチするように靴から馴染んでくれるような名作があるのも確かです。

そういった靴が多いのはイタリア靴北部のメーカーによくあるイメージです。

そんな靴を生み出すのが、エンツォ・ボナフェ。

今回は以前内羽根クオーターブローグの名作のうちのひとつとして紹介したエンツォ・ボナフェのアートナンバー「3513」の靴をじっくり紹介したいと思います。

目次

エンツォ・ボナフェ 3513

エンツォボナフェの3513は実にクラシカルな内羽根クオーターブローグのデザインです。

奇をてらった雰囲気もなく落ち着いています。

トウの形状はセミスクエアトウ、キャップの面積はこじんまりとしていて、ノーズがいわゆるイタリア靴とは違って、少々短く見えます。その雰囲気はまるで昔のイギリス靴のようなスタイルです。

しかし、ここからがイタリア靴らしい雰囲気にあふれた仕様になります。

まずクオーターブローグを形成するパーフォレーションがアデレード型のため、すっきりして見えます。ここまでであればイギリス靴にもよく見受けられる仕様ではありますが、そのパーフォレーションの形に一捻り加わります。

画像をよくご覧ください。

履き口周りにもパーフォレーションをあしらう場合、履き口を1周沿うようにパーフォレーションをつけるのが普通ですが、このボナフェのクオーターブローグはヒールのほうにかけて斜めにパーフォレーションが落ちていきます。

そしてカカトのちょうど真ん中くらいの高さで1周をします。

この意匠はエンツォボナフェのブローグシューズではよく見受けられる意匠になっていて特徴的です。

まずイギリス靴にはないデザインであり、イタリア靴らしい雰囲気をまじめな靴の中にエッセンスとして加えることに成功しています。

それでいて奇抜な雰囲気にならないところがさすがエンツォ・ボナフェといったところです。

スエード素材はイギリスの老舗タンナーCHARLES F. STEAD(チャールズFステッド)社のスーパーバックを採用。

スーパーバックはカーフスエードの中でも、毛足が短く、またキメが細かく目の詰まった上品な起毛が特徴で、その品質の高さから世界的有名ブランドで使用されているレザーです。

製法は「グッドイヤー・ア・マーノ」。直訳すると「手製のグッドイヤー」となります。

つまり9分仕立てのことを指しています。出し縫いのピッチも非常に細かく端整なので、高級感も良く出ます。

9分仕立てはすくい縫いにリブを使わないため、返りが非常によく、履き馴染みの良さが抜群です。

特にこのスエード素材の場合はその柔らかさが活きますから、履き心地の柔らかさと同時に中に入ったコルクによってクッション性も保たれ、非常に履き心地の良い靴となります。

スエードながらかなりドレッシーに見えるため、スーツに合わせても足元が浮つくことがありません。

ジャケパンスタイルから綺麗目な休日のオフスタイルにも良くマッチします。

スムースレザーの3513はまた別の雰囲気

そしてこのクオーターブローグはスムースレザーのものもあります。

スムースレザーの3513にはフランスのタンナー、デュプイのレザーを採用しています。

ライニングにもデュプイの最高級カーフライニングを使用し、足当たりが柔らかく、履き馴染みの良さを生み出します。

上から撮られたこの画像をみてもわかるとおり、コバが少し張り出しつつも後半のウェストの部分にかけてはグッと絞り込まれていて、非常に美しいですね。

スムースレザーになるとさらに真面目な雰囲気が強調されるので、ガッチリしたイギリス風仕立てのスーツにもよくマッチすること間違いありません。

反対にブラウン系の軽いイタリア風の仕立てのスーツならその洒落た雰囲気をよく引き立てることもできます。

どんなスタイル=キャラクターにも適応する実力派のクオーターブローグは1足持っていると大変便利です。

ぜひ、ワードローブに加えてみてはいかがでしょうか。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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