挑戦する? ベルジャンシューズ 

いつか取り上げよう、取り上げようと思っていたら、いつの間にか時間が過ぎ去っていました。

今更感がありますが、今回はベルジャンシューズを紹介したいと思います。

目次

ベルジャンシューズとは?

ベルジャンシューズとは、トウにコインローファーのモカ縫いのようなパイピング、甲にタッセル、リボン、ビット、モンクストラップなどを施したデザインで、ヨーロッパ貴族の室内履きからインスパイアされたスリッポンシューズです。

タッセルやリボンも一般的なタッセルローファーやリボンローファーと異なり、非常に小ぶりだという点も見逃せません。

ソールは基本的に超薄底になっており、コバの張り出しもありません。

ルームシューズが原型になっているため、このような仕様は基本です。

数あるブランドの中には、グッドイヤーウエルト製法やマッケイ製法に組み込んで、ベルジャンスタイルのスリッポンを出しているところもあります。

特にマッケイ製法であれば、本家というべきセメント式のベルジャンシューズのような華奢なスタイルに肉薄できるため、使い勝手はいいでしょう。

Baudoin&Lange(ボードウィン&ランジ)

さて、このベルジャンシューズの製造で有名なブランドがあります。

それがイギリス、ロンドンにアトリエを構えているBaudoin&Lange(ボードゥイン&ランジ)

というブランドです。

今、セレクトショップなどでひっきりなしに話題になっているブランドです。

Allan BaudoinさんとBo van Langevsldさんの二人によって設立されたブランドです。

製造はエドワード・グリーンで辣腕を振るった職人が手掛けており、オールハンドメイドで
作りこまれています。無駄のないパイピングのカットや、エレガントなタッセル、飾りくぎなどの部分からそれがよくわかります。

ただし、製法はセメント製法です。

あと同じイギリス靴ブランドで、ガジアーノ&ガーリングでもデッドストックか何かのスタグスエードを使った贅沢なベルジャンシューズが出ていました。個人的にはスタグスエードの使い道の勿体なさに嘆いてしまったものです。

実用性皆無

さて、このベルジャンシューズですが、コバもなければ、厚みもありませんので、衝撃には非常に脆いです。

つま先をぶつけたら、コバではなく、アッパーに直接ダメージが来てしまいます。

厚みもありませんから、歩くたびに地面から衝撃が足に伝わります。

まあ、まず間違いなくこの靴を履いて、1日彼女とデートしよう、なんていう気にはならないでしょうし、出来ないと思います。

100%足が痛くなること間違いなし。途中でおじいちゃんおばあちゃんのように休み休み行くしかありません。

高田純次のじゅん散歩のように元気なお年寄りにすら負けることでしょう。

一応この点を考慮して、「インソールを何層も重ねてクッション性を出しています」といううたい文句で販売されていますが、たかが知れています。

さらにソールもセメント製法ですから、オールソールを断る修理屋さんも多いことでしょう。

ハンドメイドで吊り込んでいるでしょうから、吊り込みシロがあって、そこにマッケイ縫いをかけてオールソールはできるはずです。

ただし、ここまで薄いソールにはどこもしない(というよりかは薄底を用意している修理屋さんも少ない)でしょうから、このエレガントさは損なわれます。そこまでして履きたいのかというと果たして謎な靴です。

このように実用性という点から見ると、皆無といって差支えない機能性のなさが私には気になります。

ハッキリ言って超上級者向け

そして、何より気になるのが、この靴があまりにファッション上級者向けの靴という点です。

ローファーのように気楽に履こうと思っても、華奢な見た目が気楽に履くことを許してくれなさそうです。

ポイントはあまりにエレガントであるということ。そして男の靴にしては華奢すぎるという点です。

悪く言えば女々しいというか、女性が履く靴のようなフェミニンさが滲み出てしまうのも気になります。この点をどううまくバランスを取るかが肝となりそうです。

「スタイル」を大事にする人よりも、「ファッション」が好きな人が飛びつくブランドという感じがします。

これを本当に気楽に履けるようになったら、ファッション上級者ですよ。間違いなく。

でもカッコイイ…のかな?

今期のピッティでは、ボードウィン&ランジを履いている日本のバイヤーの写真が目立ちました。

どことは言いませんが、あのセレクトショップです。

なかにはなかなかカッコいいと思えるものもありましたが、やはり彼らはプロですから、履きこなしてなんぼの商売。冷静に考えて、あのスタイルをそっくりそのまま踏襲するのは危険すぎる気がします。

もう着飾ってやるぞ!あれとあれを組み合わせて…!という意図・工夫を凝らしているのが透けて見えるので、全く「自然な着こなしにはなっていない」ということだけは頭に入れておかなければなりません。

これは人それぞれの価値観ですから、何とも言えませんが、このじゃじゃ馬娘のような靴をうまくハンドリングできる自信がある方、ぜひ挑戦してみて欲しいと思います。

実用性を重視するのであれば、個人的にはクッション性にももう少し期待が出来、きちんと底をマッケイ製法で縫い上げているフェランテのベルジャンシューズの方がおススメです。

しかもこちらのほうが安いですしね。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

スポンサードリンク



シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする