輝けライフでは今まで、各スタイルの名作を独断と偏見に満ちた視点で10点に絞り、紹介してきました。
だいぶ久しぶりになりましたが、今回はこの名作10選シリーズをお届けしたいと思います。
今回のテーマスタイルはチャッカブーツです!
もう大人らしさ全開!カジュアルシューズとして絶対に外せない靴ですよ~。
目次
チャッカブーツって何?
いきなり名作10選を紹介する前に、チャッカブーツの起源を紐解きましょう。
チャッカブーツの発祥はポロ競技にあります。
ポロ競技は紀元前ペルシャの時代から原型となるスポーツは生まれており、シルクロードを伝って世界中に広まったスポーツです。
近代ポロは、植民地であったインドでポロ競技を発見したイギリス人によって19世紀にルール化されました。1人の選手に対し、馬を複数頭用意しなければならないため、貴族などの豊かな層によって育まれた紳士のスポーツなのです。
さて、Chukkas(チャッカ)とはポロ競技における時間の区切り(1試合7分間を6チャッカー)を意味する言葉です(諸説あり)。 英国では実際に19世紀末頃にこのアンクル丈のブーツを、ポロ競技が終わった後のリラックスシューズとして履くようになりました。
この写真を見てもお分かりいただけるように、選手はレガースをつけていて、チャッカブーツは履いていませんね?
そのため、実際にポロ競技を行う選手が試合で履く靴ではなかったのですが、ポロ選手が履く靴であったことは間違いなかったために、チャッカブーツは定着化していきました。
そこから今日に至るまで、愛され続けているアンクルブーツになっています。
ゆえに、チャッカブーツと名付けられています。
主に素材で用いられるのは、スエードとカーフです。
カジュアル用なので、スエードを用いているもののほうが多く見かけるかな~といった感じです。
チャッカブーツはどんな場面に履く?
田舎の狩猟用から生まれたカントリーブーツとは違い、スポーツ競技から生まれたブーツのため都会的なスポーティーさを感じさせ、野暮ったさを感じさせません。
スニーカーよりも遥かにスマートで、適度にリラックス感のある大人の休日靴としても最適です。
基本的にはカジュアルシューズであり、スエードのものが多いため、オフスタイルに合わせるのが鉄板です。
ただし、スムースレザーのものであれば、スーツに合わせることも十分可能です。
スエードのものであっても、ツイードやフランネルといったリラックス感のある素材のスーツであれば合わせることは可能です。
濃紺やグレートのウーステッドスーツになると、スエードのチャッカブーツは工夫が必要になります。ネクタイをウールの物にするなど、カジュアルなエッセンスを取り込む必要があります。
短パンは全体的なバランスが取りにくくなりますが、チノパン、ジーンズ、カーゴパンツ、ウールスラックスまでほぼ合わないものはありません。
バラクータG9とチャッカブーツを合わせたスタイルはスティーブ・マックイーンが特に著名です。そっくりそのまま取り入れるだけで、簡単にこなれてみえます。ありがとうマックイーン。
チャッカブーツのコーディネート例
チャッカブーツを履く季節ですが、個人的には季節を問わないものだと考えています。オールシーズン履け、真夏でもポロシャツに合わせて履ける清楚な靴です。
ジャケットスタイルにあわせて、レストランに履いていくのも良し。
これだけ汎用性がある理由は、ほとんどのチャッカブーツは、飾りのないプレーントウであるためです。
たまにウイングチップのデザインのチャッカブーツなどが出てきますが、実際にベストセラーになっているモデルはプレーントウです。チャッカブーツの原点にして完成されたのが、2アイレットor3アイレットのプレーントウのチャッカブーツなのです。
原型はイギリス式のスタイルで2アイレット。3アイレットはイタリアなどのコンチネンタルから取り入れられたデザインです。
チャッカブーツのおススメ名作10選!
チャッカブーツの歴史的背景やどんなシーンで履くかも学んだところで、いよいよおススメ名作を紹介していきたいと思います!
チャーチ ライダー3
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まず真っ先に紹介するのが、チャーチのRyderⅢ(ライダー3)です。
カントリーラストとして誕生から半世紀以上経った今なお使用されているラスト81で作られており、捨て寸短く丸いトウが特徴です。
ダイナイトソールで、全天候型チャッカブーツとして、雨の日だろうが雪の日だろうが、どんな時でも履くことが可能です。
007慰めの報酬において、ジェームズ・ボンドはカジュアルな服装でのシーンはずっとこのライダー3を履いています。この靴の合わせ方は彼から教わってください(笑)
2008年に日本で公開されたこの映画でのボンドの服装は今となっては、ちょっとタイトフィッティングすぎて、大人の余裕が感じられないスーツスタイルになってしまっていますが、ライダー3を履いているカジュアルシーンは今見ても新鮮です。
「3」ということなので、当然元祖もあります。元祖ライダーはクレープソールを使用しており、ムニュムニュとした柔らかな履き心地と、ソールの厚み・形状がリラックス感がよりでます。
ダイナイトソールとクレープソールの違いであり、目につきにくいソールのはずなのですが、「ライダー」のほうが断然カジュアルな雰囲気になります。これだから靴は奥深い。
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おっと、この モデルさんもバラクータを着ていますね…。しかもウールスラックス。
カジュアルにも振れるということがお分かりいただけることでしょう。
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ただし、「元祖よりも「3」のほうが個人的にはおすすめです。
クレープソールの履き心地はいいとしても、夏の熱せられたアスファルトの上を歩いたり、ガソリンなどがかかると溶けてしまうということ、ラバーソールの一種であるにも関わらず雨の日は滑ってしょうがないというデメリットがあります。 あとクレープソールにひっついてくる髪の毛なんかのゴミが汚い…。
あとは着こなしの幅ですね!ドレス寄りにも振ることがより簡単にできるライダー3のほうが最終的に使いやすいと思っています。
クロケット&ジョーンズ チャートシー
クロケット&ジョーンズのチャッカブーツといえば、まずはCHERTSEY(チャートシー)です。このチャッカブーツを外してクロケット&ジョーンズのチャッカブーツは語れません。
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1960年代半ばに誕生して以来、ラスト(木型)とデザイン、そしてディテールを変更することなく、 現代まで継続して販売されている、クロケット&ジョーンズのチャッカブーツの基本形です。
古くからあるモデルなので、チャーチのライダー同様に捨て寸はめっちゃ短いです。現代的なUKラストよりもハーフサイズあげることを推奨しています。
同ブランドのチャッカブーツも選んでいけば、最後はここに行きつくといえるほどのマスターピース的存在です。
ぽってりしすぎず、かといってシャープ過ぎないラスト224は、ジャケットスタイルの綺麗目なスタイルにもしっくりきます。ライニングはなめらかなカーフスキンを使用しており、足当たりも柔らかです。
マスターピースであるはずなのですが、なんと2019年7月現在、ホームページからは消されてしまっています。なんともショック。もしかしたら、日本向けだけに細々と作られていくのかもしれません。
このチャートシーは伝統的にはレザーソールですが…
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まるでライダー3のごとく、「3」と名付けてダイナイトソール版も出しています。雨の日にもガンガン使いたいという方はこちらをどうぞ。
……ここで予め一言お断りがあるのですが、これからランクインするチャッカブーツには、同じくクロケット&ジョーンズのものが多く登場します。
あまりに多くのチャッカブーツを作っているのでしょうがないのです。
サンダース ハイトップ(プレイボーイ) チャッカ
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バラクータG9と合わせるのであればこのチャッカブーツを忘れてはいけません。
メーカーとしてはHi-topという名称で通っており、他にもプレイボーイチャッカ、コバ周りをぐるりと巻き付けてあるマッドガード(泥除け)がついているため、マッドガードチャッカとも言われます。
最近三陽山長が同タイプのチャッカブーツを出していますが、やはり雰囲気がこのサンダースのハイトップチャッカには敵いません。
この高級過ぎず、気張りすぎない雰囲気が絶妙なのです。
スティーブ・マックイーンがブリットで履いていたのもこの周りにマッドガードのラバーがつけられたチャッカブーツでした。
※なお、ブリットで履いていたのは、サンダースではなくHutton(ハットン)というブランドの元祖プレイボーイチャッカでした。
基本的にはオールソールを前提として作られてはいない靴ですが、オールソールを行ってくれるリペア工房もありますので、困ったときは頼ってみましょう。
クロケット&ジョーンズ テッドベリー
TETBURY(テットバリー)はラスト「348」というイタリア靴的な、先端にかけてシェイプの利いたスタイリッシュなデザインのラストを採用しています。
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チャッカブーツながら、丈も比較的高く、ドレッシーな印象を与えます。
これこそが、先ほど紹介したスーツに履けるチャッカブーツです。
ラスト348の先端にかけてナローになっているシルエットがノーズを長く見せます。ジェームズ・ボンドがスカイフォールで履いていたのはこの黒のスムースレザーのテットバリー。
クロケット&ジョーンズのチャッカブーツというと、チャートシーやチルターンなど、コロッとしたデザインのモデルが有名ですが、イギリス靴の中でもシャープなラストの靴を生み出すことに秀でているクロケット&ジョーンズ。
このイタリア靴を彷彿させるすらっとしたデザインがイギリス本国ではとても人気があるようで、ラスト348の靴はベストセラーになるそうです。
ジェームズ・ボンド同様黒のスムースレザータイプを選べば、スーツに合わせることもできる汎用性の高いチャッカブーツになります。
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もちろんスエードタイプもあります。お好みで選びましょう。
オールデン 1339
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チャッカブーツはイギリス靴ばかりで作られているわけではありません。
アメリカ靴の代表である、オールデンでもチャッカブーツがあります。それがこの1339です。
バリーラストが使われたオールデンらしさ全開のチャッカブーツです。
ホーウィン社のシェルコードバンが使われており、この光沢感に魅せられるという方は非常に多いのです。チャッカブーツにコードバンを用いるというところがアメリカらしいですね。
アメリカンカジュアルに欠かせないチャッカブーツですね。RRLなどのオールドなアメリカンファッションに現代的な雰囲気をさりげなく添えることもできるため、アメカジ好きには垂涎の靴でしょう。
アメカジに合わないわけではありませんが、やはりガッツリアメカジでまとめるのであれば、イギリス製のチャッカブーツではなく、アメリカのチャッカブーツを合わせたいところです。
アレン・エドモンズ ダンディー
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オールデンを紹介するのであれば、同じくアメリカ靴ブランドであるアレン・エドモンズからダンディーを紹介しないわけにはいきません。
こちらは正確にはダンディー2.0になります。
511ラスト、質実剛健なアメリカントラッドらしいディテール。
Wソールで荒々しいステッチによって無骨な雰囲気のチャッカブーツなので、ジーンズや軍パンなどと相性が良いでしょう。
こちらはスムースレザーを使用したチャッカブーツにはなりますが、クロケット&ジョーンズのテッドベリーとは異なり、ドレスに落とし込むのであれば、全体的なバランスをどう取るかをしっかり考えなければいけません。
パラブーツ プロトン
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パラブーツのPROTON(プロトン)はノルウィージャン製法で作られているチャッカブーツです。
このノルウィージャン製法で作られているという点がいかにもフランス靴ですね!
パラブーツは古くは、山登り用の靴や渓流釣りに使う靴としても人気がありました。今でもめちゃくちゃお洒落さんは渓流釣りにパラブーツを使うのでしょうか?
実際渓流釣り用の靴として使っても遜色ないだろうと思う理由が、オイルが染み込んでいるLisse Leather(リスレザー)を使用しているため雨などの水気にも強いのが特徴です。
滑りにくく、頑丈なためにあらゆる職種の人間に重宝されたパラブーツ独自生産のラテックスソールはハードユースにも耐えます。
CHUKKA(チャッカ)
またまた登場クロケット&ジョーンズのチャッカブーツ。
数あるクロケット&ジョーンズのチャッカブーツの中でも永遠のベストチャッカブーツであり、そのままの名前を堂々と与えられたのがCHUKKA(チャッカ)です。
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クロケット&ジョーンズのチャッカブーツの顔である、CHERTSEY(チャートシー)に比べ、ほんの少しシャープなトウは、ラスト200から生まれます。
ラスト200は1934年の1月にデビューしているとっても古いラストです。
アンライニング仕立てになっており、足当たりはとても柔らか!アンライニング仕様こそチャッカブーツであるという方もいますが、アンライニングであると、ほぼ同型のデザートブーツと変わりがなくなるため、個人的にライニングがついたかっちりした雰囲気の方がチャッカブーツらしい大人っぽさが出るのではないかと思っています。
グッドイヤーウェルト製法の硬さを感じさせません。ラスト「200」はほっそりとした細身の木型。チャッカの印象をグッと高めています。
ジャコメッティ マルモラーダ(エレファントレザー)
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イギリスとアメリカのチャッカブーツばかりが目立ちますが、イタリアのチャッカブーツもここいらで紹介しましょう。
イタリア北部ベネト地方の唯一 靴メーカージャコメッティのMARMOLADA (マルモラーダ) のチャッカブーツです。
マルモラーダ自体は様々な素材で作られていますが、今回紹介するのは象革のマルモラーダです。ワシントン条約)によって厳しく取引が規制されている希少素材です。
象革の特徴は見ただけで象の物とわかる独特のシボ感とうっすらとした起毛。
引き裂き、水気などに対する強度も最強のレザーです。
3回にわたって縫合するノルベジェーゼ製法で出来ています。ただでさえ堅牢な革に堅牢な作りになっています。薄いコバで仕上げたスマートなシルエットのため、粗雑なノルベジェーゼ製法の靴とは違いエレガントさが漂います。
手作業が必要な手間のかかるノルベジェーゼ製法と希少なレザーを使用しているため、お値段もエレファントクラスですが、永く履ける素晴らしい靴です。
一味変わったリッチなチャッカブーツをお探しの方はマルモラーダのエレファントレザーを選んでみてはいかがでしょうか。
ジョン・ロブ エルマー
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最後は靴の王様ことジョン・ロブのELMER(エルマー)です。
カジュアルなんだけど、めちゃくちゃ上品。これがジョン・ロブ(パリ)の既製ラインの実力ということでしょうか。
もはやイギリスの靴ではありません。製造元はノーザンプトンの工場であることは間違いありませんが、シルエットライン、ソールの薄さなど、全体的な雰囲気は完全に「おフランス」です。
チャッカブーツらしい野暮ったさというのが全くないので、個人的にはお高くとまりすぎてしまう気がするのですが、最高を求める方にはこれくらい上品でなければならないでしょう。
最高のチャッカブーツはこれです。
チャッカブーツは大人に必携! 最高に使いやすい!
チャッカブーツの名作をまとめてお届けしました。
いかがでしょうか。エドワードグリーンのバンバリーが入っていないじゃないか⁉とかいろいろなご意見があるかと思いますが、あくまで独断と偏見に満ちたものなのであしからず。
チャッカブーツは日頃私も愛用していますが、とにかく履くだけでスニーカーとは違った大人の余裕・信頼感・誠実さを演出できるので、休日にいい加減スニーカーばかりというのもどうかと思っているという人にもおすすめです。
上に紹介したモデルはいずれも修理可能なモデルです。
お餅でない方はぜひ、永く愛用できるワンランク上のカジュアルシューズ、チャッカブーツを手にしてみてください。
私はチャッカブーツはストレートチップと同じくらい、大人には必携の靴だと思っています!
最後まで読んでいただきありがとうございます。