先日伊勢丹のセールに行ってみると、これから廃盤になるYANKOが叩き売りになっていました…。
グッドイヤーウェルト製法でよくできたコスパの高い靴だっただけに寂しい想いです。
ああいう靴を作り続けるのも大変なんでしょうかね。
YANKOをはじめとして、今までもスペイン靴ブランドをいくつか紹介していましたが、コストパフォーマンスに優れる「あのブランド」を紹介するのを忘れていました。
新鋭ブランドのCordwainer(コードウェイナー)です。
目次
Cordwainer(コードウェイナー)の歴史
Cordwainerは2007年スペイン最大の靴生産地であるアルマンサ地方に創業した新しいブランドです。
ブランド名であるCordwainer(コードウェイナー)とは、「靴職人」を表す言葉で、その語源はスペインのコルドバ地方にあります。
ブランド創業からわずか10年足らずしか経っていない、若いブランドではあります。
しかし、その実態はただの新鋭ブランドというわけではありません。
勤める職人たちはもともとアルマンサでグッドイヤーウェルテッド製法のドレスシューズメーカーとして世界的に有名なファクトリーで働いていた職人たちです。
その職人たちをモカシンシューズを牽引していたブランドオーナーが工場ごと買取り、誕生したのがコードウェイナーです。
決して一朝一夕で出来たブランドではないということです。
製品の特徴は英国伝統のグッドイヤーウェルテッド製法を用いていますが、ラテンの色気を感じさせる、ロングノーズデザイン・スクエアトウなどがイギリスやアメリカ靴のそれとは大きく異なります。
捨て寸も全体的に長くとられていて、色気のあるデザインが特徴です。
王道のスペイン靴を楽しめます
スペインは地理的にイギリスとイタリアに挟まれています。そのため、革靴においても両者からの文化の影響を汲み取って、それを独自に発展させるというのが、スペイン靴ブランドによく見受けられる特徴です。
そういった点を踏まえて、コードウェイナーを見てみると、イギリス由来のグッドイヤーウェルト製法、張り出したコバなどはイギリス靴のようですが、靴を手染めで仕上げたり、ノーズが長いデザイン、イギリス靴のそれとは違う真四角気味のスクエアトウはイタリア靴を彷彿させます。
しかし、イギリス靴ほどガチガチな雰囲気もなく、イタリア靴ほどデザインが突飛でないため、しっかりした雰囲気の中でカラーやデザインを楽しみたい、変化を付けたいという方にとてもおススメのブランドです。
代表モデルはASIER(アシエル) ラスト168
私が所有しているのが、リアル店舗・ネットショップ双方において、最もよく見かけるラストであるラスト168を使用したストレートチップです。
モデルネームはASIER(スペイン読みでアシエル)です。
ロングノーズですが、やりすぎで尖り過ぎている靴とも違います。
程よくシックなんですね。
見た目通り捨て寸はかなり長めに取られています。全体的にゆとりのある木型で、一の甲はやや低めです。横幅は広い感じはありませんが、甲周りなどはゆとりがあります。
こういったシルエットラインが強調される靴は得てして履きにくかったりするものですが、癖もなく、とても履きやすいです。
UK7.5の方なら7.0か足が細い方なら6.5でも履けるのではないかと思います。
私は普段UK7.5程度の物を履くことが多いですが、このラスト168であれば、6.5でちょうどよいくらいです。
なぜかというと、捨て寸が長くとられているからです。
なので、通常のUKサイズから0.5~1.0サイズマイナスしたくらいで丁度良いでしょう。革はイタリアのタンナーやフランスのタンナーを使用しているようです。
茶色は職人の手作業によるムラ染めが非常に美しいです。不思議とイタリア靴のパティーヌ仕上げよりも落ち着いて見えるので、普段仕事で使う際も、嫌な目立ち方をせずに使い勝手が良いと思います。
ステッチを革で巻いて隠すレベルソ仕立ても、本格靴ならではのディテールでとても素敵です。
なお、アシエルとは違うラストで作ったストレートチップでもアシエルになるようです。ちょっとグリーンっぽい考え方ですね。
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ちょっとだけ気になる点
唯一コードウェイナーの靴で感じるのが、履き下ろす前は革がやや張りが強く、しなやかさが少ないという事です。
いきなりおりゃっ!と履くとガッツリ深い履きシワが入ってしまう恐れがありますので、履き下ろす前にデリケートクリームをたっぷり入れて、保湿し革を柔らかくしてから履くのがお勧めです。
コストパフォーマンス抜群
先ほど気になる点として革の張りがあるということを挙げましたが、裏を返せばそれなりにタフなレザーでもあるということです。
私自身、今まで色々なインポートシューズブランドを見てきましたが、革の質感・作り・値段を考えると非常に良く出来ている靴だと思います。
特にアシエルでも分かりますが、キャップのステッチを革で巻いて隠す、レベルソ仕立ては手間がかかる工程なので、安価なブランドでは見かけない仕立て方です。
レベルソ仕立ては靴の強度を挙げたりする実用性を追い求める工程ではありませんが、結果として靴全体の雰囲気が上質になります。
アンダー4万円でこの内容は素晴らしいと思います。
以前コスパに優れる同じスペイン靴のバーウィックを紹介しましたが、コードウェイナーのほうが元々値段が高いだけあって、1枚も2枚も作りは上手です。
革の品質1つ、縫い方1つとっても、コードウェイナーのほうが上質だと誰が見ても感じることでしょう。そこはきっちりと値段の差は感じます。
本格的にグッドイヤーウェルト製法で作られた靴を初めて買う、という方にもぜひ挑戦していただきたい靴です。
普段イギリス靴・アメリカ靴系統ばかりで、飽きがあるという方も、たまにこういった靴で気分を変えていただくのもいいのではないでしょうか。
特に今楽天で出ているものはセールになっているものも多いようですし、チャンスでしょう。
これでアンダー3万円は驚異的です…。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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