ここのところ紹介の多いイタリアの靴。
ところで皆さんイタリアのイメージというと、どんなイメージをされますか?
輝けライフ!的に靴に目線を合わせると、何だか派手で明るいイメージでしょうか?
どこの国でも同じようなことが言えると思いますが、南に行けば行くほど芸術的文化が花開きます。その分所得は低い傾向にあります。
対して、北に行けば行くほどストイックで地味な雰囲気になり、工業文化が発達します。結果として所得は高くなる傾向になります。
イタリアはその「北と南」の違いの特徴が典型です。
ジローラモのような女を口説いて口説きまくる派手なちょい悪オヤジ的な人は南に多いと言われます。
ジローラモは実際南部出身です。
日本に来た理由は?
という問いに対して、「日本の女を泣かせるため」と答えたという話は有名です(笑)
そういった人間性が地域性が影響するのでしょうか?今まで輝けライフ!が紹介したイタリア靴で、派手な靴を出しているブランドは南方のブランドが多いです。
フランチェスケッティ、フランチェスコ・ベニーニョ、カンパニーレがそのいい例です。
これらは全てナポリのブランドです。
北はミラノやボローニャなどの都市が代表的です。
特にミラノはイタリア最大の経済都市として機能していて、街行くビジネスマンはそのほとんどが地味な無地のネイビーのスーツを好むといわれています。
事実、私が以前イタリアに行ったときは、ネイビーのスーツを着た人が多かったですし、とても真面目で朴訥とした雰囲気でした。
ピッティウオモのような雰囲気の人は誰一人いませんでした。
そんな人間性がこちらも影響するのか、イタリア靴ブランドもイギリス靴に通じるようなまじめな雰囲気なものになる傾向にあります。
ブランドでいえばエンツォ・ボナフェが該当します。
この差は、日本でいえば、東京と大阪で気質が大きく違うのに似ているかもしれません。
ただし、イタリアの場合「国」が大きく変遷しているという歴史があるので、その差は深いのかもしれませんね。
さて、今回紹介するのは、そんなイタリア靴ブランドの中でも「南」。
ナポリのブランド、DI MELLA(ディメッラ)です。
目次
DI MELLA(ディメッラ)の歴史
DI MELLAは1882年にイタリアのナポリで、Antonio Senior氏が創業したブランドです。
創業者Antonio Senior氏は1870年にスルモーナからナポリに出てきて、13歳から陸軍用の靴と騎兵隊用のブーツを作る工場で見習いとして働いていました。
それから12年たったとき、Antonio Senior氏は3人の従業員と共に小さな工房を設立したのです。ブランド誕生の瞬間です。
1915年から1918年の第一次世界大戦中、軍用の靴を作る事で企業は成長し、50人以上の従業員を雇うまでになりました。
1940年、息子Antonio Juniorは自らの会社経営の経験を経て父の事業を引き継ぎ、わずか従業員たちと共に、ナポリに新たな工場を設立しました。
この期間、彼は主にローマ教皇庁(the Curia)向けの靴を作り、彼の一流の顧客達の中には枢機卿達や皇帝などの国家元首もいたそうです。
事業はますます繁栄し、1947年にはより大きな建物に移転し、men’s, women’s ,children’sの3つのラインをスタートさせました。
そこから1980年代の終わりにかけて、事業に参画に参画してきた8人の息子達の助けを得て、事業は着実に拡大を続け、一日に150足の靴を生産できるまでになったのです。
イギリス最大規模のチャーチの工場と比べれば、日産は約5分の1程度の規模です。
もちろん、規模の差が一番の理由でしょうが、マッケイ製法を主流とするディメッラにおいて、グッドイヤーウェルト製法の靴よりも日産数が少ないのは、イタリア靴が手作業を加えながら作ることにあるのかもしれませんね。
現在当主は4代目のジョヴァンナ・ディメッラ氏に移り変わりました。女性です。ジョヴァンナ・ディメッラはCEO兼業でブランドのデザイナーも務めています。彼女は舞台美術家・芸能品修復家という経歴があり、そのエッセンスを取り入れた独特のスタイルの靴を世界中に送り出しています。
DI MELLA(ディメッラ)の特徴
日本で良く見るディメッラの靴は、ローファーが多い印象です。
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その様は、フェランテのISEOと非常によく似ています。フェランテもナポリのブランドですからね。
カラーリングの種類も豊富です。
夏のイタリア靴には欠かせない、イントレチャート(編み込み式)の靴も得意としています。
イントレチャートの靴を見ると、実に夏らしく、心も踊ります。
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履き心地も柔らかで屈曲性に富む、マッケイ製法がディメッラが主に取り入れている製造方法です。
もちろんドレスシューズの製造にも積極的です。
イタリア靴らしいシュッとしたシルエットが美しいストレートチップをはじめとして、
イギリス靴ブランドにはまず見かけることのない、デザインに少し捻りを加えた3アイレットキャップトウダービーの靴なんかも魅力的ですね。
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保守的なチャッカブーツなども出しています。
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私も以前ディメッラの靴を持っていましたが、やはり軽くて馴染みが良く、カカトは小ぶりなので歩きやすい靴で気に入っていました。
マッケイ製法なので、底は薄く、クッション性があまりないので、長時間の歩行には適していませんが、軽く履いておでかけという時には最適な靴です。
私も今年の春夏シーズンは、フェランテやディメッラのようなイタリア靴で涼やかに、そして気軽に靴を履いてオフを過ごしたいです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。